https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171227-00000004-ykf-soci
冬の突然死は、外気温の変化などで自律神経の働きが乱れやすいことが引き金となる。前回、起床時から3時間程度の突然死リスクについて紹介したが、「夜の入浴」も危険と隣り合わせだ。冬場は、寒い脱衣所や洗い場と、熱い湯船の温度差が広がるため、入浴中に突然死のリスクが上がるのだ。
全身と肺に血液をおくる心室は、規則的な拍動をしているが、心室細動になるとブルブルと小刻みに震える状態になり、血液を全く送り出せなくなる。乱れた電気波形をAEDでただちに戻さないと命に関わるのだ。
「内臓型肥満に伴うメタボリックシンドロームの人は、交感神経の活動が亢進している人が多いので注意が必要です。とくに普段から脈拍数が多い人が要注意であり、飲酒後の入浴も危険ですから控えてほしい」
風呂に入るときには、脱衣所はヒーター、洗い場は熱いシャワーで事前に温め、風呂の温度は40度程度にし、42度以上にはしないように。寒暖差をなくすことも大切で、1番風呂よりも家族が入った後の2番目が、洗い場が温まっているのでおススメ。じっくり温まるより「カラスの行水」の方が良いという。
「熱い湯に長く入ると、入浴後も皮膚を含めて全身の血管が拡張します。特に動脈硬化があると、脳や心臓などの重要な臓器に流れる血液量が減少し、倒れやすいのです」
長湯では、発汗による血液量減少もそれに拍車をかける。そのため、山科センター長は、「脱衣所から入浴後まで10~15分間」を目安にするよう、患者にはアドバイスしている。
飲酒後は心拍数が速くなり、血管拡張作用によって一時的に血圧が低下しやすく、入浴は要注意。さらに、飲酒中のトイレで失神する人もいる。多量の飲酒で血圧が下がっているときに、排尿後に副交感神経の働きが優位になって血管が一気に開き、血圧が急降下する。脈も遅くなって意識を失ってしまうのだ。これを排尿後失神という。
「排尿後失神は命に関わりませんが、失神で転倒して頭部を強打するなど、大事故につながるリスクもあります。メタボな方は、自律神経が乱れやすいので、飲み過ぎないようにしてください」と山科センター長は話す。