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ほっぺにチューでも感染!? BBQで生肉を触るのもNG!? 妊婦と胎児を狙う “トーチ症候群

2013-10-30 | 医療、健康

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131022-01053039-trendy-sci

ほっぺにチューでも感染!? BBQで生肉を触るのもNG!? 妊婦と胎児を狙う “トーチ症候群”

日経トレンディネット 10月22日(火)9時14分配

 
風疹が大流行し、先天性風疹症候群の問題が大きく取り上げられています。実はこの風疹以外にも、ビジネスパーソンの行動次第で、妊婦と胎児に感染を広げてしまう病気があることはご存知でしょうか? 今回はTORCH(トーチ)症候群についてナビタスクリニック東中…

 ビジネスパーソンが注意するべき“病気”について、専門家に解説をしてもらうこの連載。風疹が大流行し、先天性風疹症候群の問題が大きく取り上げられたことは記憶に新しいと思います。ところが風疹以外にも、ビジネスパーソンの行動次第で、妊婦と胎児に感染を広げてしまう病気があることはご存知でしょうか?  今回はTORCH(トーチ)症候群についてナビタスクリニック東中野 院長 濱木 珠恵 先生に解説してもらいます。

【詳細画像または表】

 風疹の流行が問題になっていることは、この連載でも取り上げてきています。妊娠早期の女性が感染すると、胎児が死亡して流産するか、先天性風疹症候群(Congenital Rubella Syndrome; CRS)という先天的異常を持って生まれてきます。すでにメディアでも取り上げられていますが、現在、今回の流行の影響で妊娠早期に罹患した方が出産時期を迎えており、CRSと診断されるお子さんが増えています。こうしたことは、老若男女を問わず誰もが風疹ワクチンを受けることで、日本から風疹を根絶すれば、起きなくなるはずです。特に行動範囲の広いビジネスパーソンが率先してワクチンを接種すると、格段に状況は変わると考えられます。

 そして今、風疹以外にも、妊婦と胎児に感染を広げてしまう病気があることが話題になってきています。しかもこの感染には、ビジネスパーソンの行動もかかわっています。

 今回はTORCH(トーチ)症候群について解説していきます。

●Q1 トーチ症候群ってなに?

 TORCH(トーチ)症候群という疾患群があります。

 妊婦と胎児に関係する感染症の頭文字をとって名付けられました。これらの感染症は、妊娠中の女性が感染したときに、胎盤や血液を通じて胎児へと感染してしまい(胎内感染もしくは先天性感染)、赤ちゃんが何らかの障害をもって生まれてくることがあるというコワイ病気です。2012~2013年にかけて風疹が大流行したのは記憶に新しいと思います。風疹もTORCH(トーチ)症候群の1つなのです。

 ヘルペスやB型肝炎、水痘は聞いたことがあっても、トキソプラズマやサイトメガロウイルスは、初めて耳にする人が多いのではないでしょうか? そうです。ほとんどの人が知らないからこそ、多くの人が気づかずに感染し、その影響を拡大してしまうのです。

 風疹については過去記事を参照していただくことにし(「オトコだし、風疹なんて、関係ないでしょ? の危険性」「ビジネスパーソンの責任重大!? はしか、風疹がいま流行るワケ」)、今回は上記の中からトキソプラズマ、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルスについて解説します。

 妊婦と胎児に重大な影響……と聞くと、男性ビジネスパーソンは特に「自分には関係ないからいいや」と思ってしまうかもしれませんが、実は外部との接触の多い男性ビジネスパーソンこそ、罹患しやすく、周りへの影響も大きいのが実情です。

 しっかり知識を身に付けましょう。

●Q2 日本では大人の感染率が高い!? トキソプラズマ症って?

 トキソプラズマ症は、トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)原虫という、世界中にいる寄生虫(原虫)により引き起こされる病気です。

 日本では大人になってからの感染率が高くなってきています。ただ、健康な人であれば、感染してもほとんど症状はなく、問題ありません。しかし、妊娠中の女性が初めて感染すると、胎盤を通過して胎児に垂直感染し、先天性感染を生じます。妊娠前6カ月以内の感染も、胎児への先天性感染のリスクがあります。

 妊娠中に感染した女性の30~40%から、先天性感染児が生まれます。

 感染した胎児、出生児は、通常は無症候性ですが、流産・死産になることや、脳症、けいれん、水頭症、網脈絡膜炎といった脳や目の障害、黄疸、肝臓・脾臓の腫れ、肺臓炎、さまざまな発疹などの症状が出ることがあります。

 また、最初から重症で早期に死亡することもあれば、長期の神経学的後遺症が残ることもあります。生まれたときに問題がなくても、成長とともに発育不全、精神発達遅滞、難聴、けいれんなどの神経学的症状が出る場合もあるのです。

 さらに、眼トキソプラズマ症では、眼の網脈絡膜炎を起こし、視野の異常や視力障害となることがありますが、眼の病変だけだと、学童期まで気づかれないこともあります。

 妊婦、あるいは妊娠予定の人は、トキソプラズマに初感染するリスクがあるかどうか、妊活の一環として、採血して抗体検査を受けても良いでしょう。

●Q3 生肉、豚肉、猫の糞!? トキソプラズマはどこにいる?

 トキソプラズマは、家畜の肉や感染したばかりのネコの糞や土の中など、ごく身近なところにいます。

 寄生虫と聞いて、日常生活を送っている分には感染の可能性はないだろうと考えていると、思わぬところで接触の可能性があるわけです。また、自分1人が猫と接触しなければ感染の可能性がなくなるということでもなく、感染した豚や羊などの肉を調理したり、十分に加熱せずに食べることでも、感染の可能性があるのです。

●Q4 予防ワクチンがない! トキソプラズマから赤ちゃんを守るには?

 トキソプラズマには、ほとんどの妊婦が感染する可能性があります。

 1997年から2004年に宮崎県で行われた調査では、35歳以下のトキソプラズマ抗体陽性率は10%程度でした。つまり、90%の方は、今後感染しうる、ということです。

 したがって、妊娠を考えている人はトキソプラズマの抗体検査を受けましょう。すでに陽性であれば、妊娠中に初感染するリスクはありません。陰性であれば、トキソプラズマに感染するのを防ぐために注意が必要です。トキソプラズマを予防するワクチンはありません。

 では、検査で陰性だった人は、どう対策したらいいのでしょうか?

●[1]生肉、非加熱食品に要注意!

 肉に含まれたトキソプラズマは67℃になるまで加熱しないと死にません。すべての肉をよく加熱しましょう。中心部の赤みがなくなり肉汁が出なくなるまで加熱が必要です。生ハムやサラミもダメです。レアのステーキもダメ。レバ刺し、牛刺し、馬刺しなんてもってのほかです。レストランでは、サラダに生ハムが入っていても、表記されていないことも多いです。

 殺菌されていないミルクや、殺菌されていないミルクで作られた乳製品も避けましょう。ナチュラルチーズやソフトチーズなどです。

 生肉を調理するときには、包丁やまな板などの調理器具はよく洗い、清潔に保ちましょう。その後で、しっかり手洗いしましょう。可能ならば、妊婦は生肉を扱うのを避けるか、ゴム手袋をしたほうがよいでしょう。

●[2]庭いじりや土・砂に触れるとき

 感染したてのネコが公園や庭、畑で糞をしていたり、それらの土で河や井戸水が汚染されていたりする可能性があります。

 土をいじる作業には、手袋や眼鏡、マスクをして、作業後には十分に手洗いしましょう。野菜や果物は皮をしっかり洗浄しましょう。濾過あるいは蒸留処理された水道水以外(塩素処理だけではダメ)の生水を、妊婦は絶対飲まないようにしましょう。もちろん、名水100選で汲んできた水でも生水はダメです。

●[3]ネコ用トイレの掃除は毎日・妊婦以外! どうしてもの時は手袋を

 ネコはとてもかわいいですし、家族の一員という人も多いでしょう。ところがいくらかわいくても、トキソプラズマの立派な感染源となってしまいます。家族の一員だというのであれば、なおさら、家族内でちょっとしたルールを決めましょう。

 まず、ネコ用トイレの掃除は、妊娠中ではない人にしてもらいましょう。どうしてもそれがムリなら、必ず手袋をします。使い捨て手袋や眼鏡、マスクを使うのも良いでしょう。そして 終わったら必ず手洗いを!

 またネコ用トイレは「毎日」掃除しましょう。ネコの糞の中のトキソプラズマが感染力を持つのは1~5日経ってからなので、毎日掃除して糞を除去しておくほうが安心です。

●[4]飼いネコがトキソプラズマに感染するのを防ぐ

 飼い猫は屋内飼いにしましょう。お散歩などと称して、日中外に出すことは、トキソプラズマへの感染の意味で大変リスクが高まりますし、それ以外にも、猫自身が野良猫と接触することによりウイルス感染症にかかったり、道路上での交通事故に遭ったりするなど、危険が多くあります。

 えさはドライフードか缶詰に。ネコが生肉や加熱不十分な肉を食べて感染することがあるのです。もし肉を与えるときにはしっかり加熱してください。

●[5]妊娠中に新しくネコを飼いはじめないで!

 猫が好きで、野良猫の赤ちゃんを保護したいという気持ちになるかもしれません。あるいは、保護猫を引き取りたいと考えているかもしれません。でもそのネコは、屋外にいたことがあるかもしれないし、生肉を食べていたかもしれません。

 くれぐれも、野良猫に触れるのも止めるようにしましょう。

●Q5 20代女性は免疫のない人が40%以上!? サイトメガロウイルス感染症とは?

 サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus:CMV)は、おそらくビジネスパーソンはほとんど知らないのではないでしょうか? しかし、ありふれたウイルスで、特に近年、感染が問題視されています。

 日本では成人の半数以上が感染していて、免疫をもっています。ただし不顕性感染といい、感染しても症状がないので気づきません。一度感染したウイルスは、一生、体内に潜伏していますが、免疫力が低下しない限りは深刻な問題は起こりません。例えば、リウマチ、がんの治療を受けている場合や、AIDSを発症して免疫力が低下している人では、腸炎や網膜炎などの症状を呈します。

 しかし、女性が妊娠中に初めて感染した場合には、胎盤を通じて胎児に感染します。先天性CMV感染症は世界中で出生の0.2~2.2%で生じています。日本の若年女性のCMV抗体陽性率は、30年前は95%でしたが、最近は60~70%に低下しています。下図は、年齢別のCMV抗体の陽性率です。陽性の人(赤いバー)は、すでに感染して、免疫の力でウイルスが抑え込まれています。しかし、妊娠する人の多い20代では40%以上の人がCMVに対する免疫がなく、妊娠中に初感染するリスクが高くなっています。

 胎児のときに感染して出生した新生児では、約1割が先天的異常を有するとされています。子宮内での発育遅延、早産、小頭症、脳室周囲石灰化、黄疸、点状出血などの症状があった赤ちゃんでは、のちに難聴・精神発達遅滞・視力障害といった神経学的障害が残ります。

 また出生時に異常が見られなかったこどもでも、あとから何らかの神経学的障害が出てくることもあります。

●Q6 第2子以降は要注意! サイトメガロウイルスから胎児を守る対策

 CMVの感染を予防するワクチンは開発中です。CMVは、唾液・母乳・膣分泌物・精液・尿・糞便・血液を介して人から人へと感染します。なるべくこれらの体液に直接触れないこと。でも、触れても、手洗いをきちんと行えばよいのです。

 妊婦のCMV感染で多い感染経路は、保育所に通う小さな子どもを世話していて感染するケースです。小さな子どもを世話するときなど、次のことに気をつけましょう。

 また、CMVはせっけん、アルコール、漂白剤などに弱いので、手洗いや掃除のときには、これらが含まれている消毒薬や清掃用品を使うようにしましょう。また、乾燥にも弱いので、敷物や布団類は天日で十分に乾燥させましょう。

 また、パートナーとの性行為で感染することもあるので、未感染の妊婦さんはコンドームを使う、パートナーがCMV単核球症と診断されたら親密な接触は避ける、などが考えられます。

 なお、新生児の300人に1人が感染する現状に対し、2013年1月には、厚生労働省研究班(主任研究者・山田秀人神戸大産婦人科教授)が、研究成果や診断・治療情報を掲載したホームページ(http://www.med.kobe-u.ac.jp/cmv/)を開設しています。

●Q7 治療しないと新生児の3人に2人は死亡!? 単純ヘルペスウイルス

 単純ヘルペスウイルス(Herpes Simplex:HSV)感染症では、皮膚、唇、眼、陰部などの粘膜に、痛みのある小さな水疱や潰瘍が繰り返し発生します。

 とても感染力が強く、眼や脳など、身体のほかの部分にも感染することがあります。いったん感染すると、その部分の所属神経節に潜伏感染してしまいます。何度でも再活性化することがあり、風邪や月経、精神的ストレス、疲労などによる免疫低下により口唇ヘルペスや陰部ヘルペスを繰り返します。

 経験のある方が多いのではないでしょうか? だからこそ「なーんだ、大したことないじゃない」と考えがちなのですが、それは誤りです。新生児ヘルペスは重大な結果を招きます。

 新生児ヘルペスは、HSVに感染した母親の産道・外陰部から胎児や新生児へと感染して起こります。通常は、分娩時に起こりますが、まれに、妊娠中にHSVが胎児に感染することもあります。分娩時の感染は、母親が最近HSV感染症にかかって膣部位に目に見えるような水疱や潰瘍がある場合に起こりやすいのですが、明らかな潰瘍がなくても感染することがあります。

 分娩時に感染した場合、生後1~4週のうちに症状が出てきます。通常は、小さな水疱が出てきます。それが眼、肺、肝臓、脳、皮膚など多く臓器に感染が広がります。活動性の低下、筋肉の緊張の低下、呼吸困難などが出ることもあります。

 また新生児ヘルペスの予後は非常に悪いので、治療をしないと3人に2人は死亡します。さらに治療をしても、ほとんどの場合で重度の脳神経障害が残ります。このため安全性を考慮し、母体がHSVに感染している場合、帝王切開を行うこともあります。

●Q8 胎児を単純ヘルペスウイルス感染から守るには

 HSVは感染力が強いので、女性が気をつけるだけでなく、男性の協力が必要です。

 唇に感染している人は痛みなどの症状が出たら、潰瘍が完全に治るまで、キスや食器の共有を避けましょう。オーラルセックスも避けます。

 陰部ヘルペスに感染している人はコンドームを使用します。症状がなくてもウイルスが陰部の表面に存在していることがあり、パートナーに感染する可能性があります。

 また、パートナーの妊娠中に風俗に行き、ヘルペスどころか、いろんな性行為感染症(EBウイルス、B型肝炎、C型肝炎、HIV、クラミジア、淋病など)をもらってくることなど決してないよう、十分に気をつけましょう。

 「トーチの会」では、妊婦さんが気をつけなければならない感染症についてパンフレットを作成しています。こちらからダウンロード可能です。

(文/ナビタスクリニック東中野 院長 濱木 珠恵)

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