ロシア、ブルガリア、ウクライナ、ルーマニア、モルドバにかけての地域で、オレンジ色の雪が降った。冬山が砂漠のような色に染まり、超自然的な光景へと変わっている。
【動画】オレンジ色の雪! 東欧で観測
ソーシャルメディアには、「今日は火星でスキーをしている」という投稿まで現れた。ロシアのソチでスキーをしていたユーザーによるコメントだ。
それにしても、雪がオレンジ色になるという現象は、なぜ起こるのだろうか? 前例はあるのか? 今後も起こることがあるのか? こうした疑問に答えよう。
今回の現象は、3月23~25日にかけて発生した。雪がオレンジ色になったのは、サハラ砂漠から吹き上げられた砂が原因だ。ヨーロッパ上空では、低気圧の影響で反時計回りの風が吹いているため、サハラ砂漠のある南から南西の方向より風が吹き込んでくる。つまり、アフリカの砂塵が雪や雨と混じり合い、それが雪として降ってくるというわけだ。
英国気象庁のスティーブン・キーツ氏は、英インディペンデント紙に対し、「砂は大気に高く吹き上げられる際に広く分散します。雨や雪が降るとき、大気中に砂があれば、すべて一緒に降ってきます」と話している。また英ガーディアン紙は、オレンジ色の雪には花粉の粒子も含まれていると報じている。
オレンジ色の雪が降る前の3月22日、サハラの砂を大量に含んだ風が地中海を越えた。ギリシャのクレタ島からトルコにかけての地域がその風にのみ込まれ、赤茶けた靄(もや)がかかって視界が悪くなった。
ギリシャのアテネ国立天文台は、ここ10年間、高濃度のアフリカの砂塵を観測している。同天文台の見解によると、今回起きたサハラ砂漠からギリシャへの砂の移動は、今までで最大規模のものだ。
東欧でも、砂の濃度が通常より高いことが報告されている。口に砂が入ったという人も多い。
英BBCによると、このように砂が押し寄せてくる現象が起きるのは、5年に1度ほどだ。2017年10月には、ハリケーン「オフィーリア」がサハラ砂漠の砂を英国まで運んで空を赤く染め、ポルトガルとスペインでは強風によって大規模な山火事が発生した。
2007年にシベリアで観測されたオレンジ色の雪は、腐臭を伴うべとべとしたものだった。高濃度の鉄、酸、硝酸塩が含まれており、隣国カザフスタンからの化学汚染物質が原因ではないかと考えられている。