「揚げ物を摂りすぎると認知症リスクが高まる」
揚げたてのフライドポテトや、カリカリになるまで焼いたベーコンは、ときどき無性に食べたくなるものだ。しかし、このような食品を頻繁に摂取することで、糖尿病やアルツハイマー型認知症の発症率が高まるという研究結果が新たに発表された。
この原因として研究者が指摘するのは、肉や乳製品に多く含まれる、「終末糖化産物(AGE/AGEs)」という化学物質だ。AGEは、特に高温で調理された食品に大量に含まれる物質だが、細胞の老化と炎症を進行させる働きがある。
今回の研究では、高いAGE値を持つ人間とマウスの両方で、記憶と精神機能の問題が生じやすいことがわかった。60歳以上の93人を対象に調査したところ、血液中のAGE値が高い人は、値が低い人と比べてインスリン抵抗性があり、認知における問題も多いという結果が出ている。
また、マウスにAGEを多く含む食品を与えた場合には、AGEが少ない食品を与えたマウスと比べて、アルツハイマー型認知症の指標である「ベータアミロイド斑」の値が高くなった。
研究を発表したマウントサイナイ医科大学のヘレン・ブラッサラ氏は、『ガーディアン』紙に対して、「これは非常に有望な発見だが、グリコトキシン(AGEペプチドのひとつ)の削減が認知症の予防や回復につながるかどうかについては今後さらに確認する必要がある」と話している。
研究者たちは、この因果関係の証明にはさらなる研究が必要になることを認めているものの、今回の結果を考慮に入れて、「水分を使わずに、肉を高温で調理する」方法は避けるよう勧めている。
さらに、炒めものや揚げ物を避けたほうが良いもう1つの理由として、それらの食品に多く含まれる「飽和脂肪酸」の存在がある。昨年発表された研究によると、飽和脂肪酸を多く含む食品を摂取している人は、アルツハイマー型認知症の特徴である、脳の老人斑を発生させるリスクが高いことがわかっている。
「Physicians Committee for Responsible Medicine(責任ある医療への医者の委員会)」の代表を務めるニール・バーナード医師は、『プリベンション』誌の記事で、「体に悪い脂肪の量を減らすなど、食事と生活スタイルを変えることで、アルツハイマー型認知症を発症するリスクを最大80%まで抑えることができる」と指摘している。具体的には、定期的な運動や禁煙、そして健康的な食生活だ(糖の過剰摂取、運動不足、喫煙などで、体内のAGE生成が進み、体内AGEは糖尿病やアルツハイマー病のほかにも、動脈硬化などさまざまな疾患の発症に関与することがわかっている)。
[(English) 日本語版:兵藤説子/ガリレオ]