30歳以上の4880人の女性参加者のうち、脳卒中または心筋梗塞を既に経験していた女性などを除外した4686人(平均年齢52.8歳)を分析対象にしました。
対象者を、卵の摂取頻度によって「週に1個未満」(203人)、「週に1~2個」(1462人)、「1日に0.5個」(1594人)、「1日1個」(1387人)、「1日に2個以上」(40人)の5群に分けました。
まず、卵の摂取頻度と血清総コレステロール値の間には、統計学的に意味のある関係は見られませんでした。この点について著者らは、「1980年以降に行われた啓発活動により、コレステロール値が高い人が卵の摂取を減らしたためではないか」などと推察しています。
一方、追跡期間中に、循環器疾患による死亡は183件、がんによる死亡は210件、総死亡は599件発生しました。
年齢、BMI(体格指数)、喫煙習慣、飲酒習慣、高血圧・糖尿病などの疾患、食物繊維・肉・ナトリウムの摂取量などを考慮して分析したところ、卵の摂取頻度が高い人ほど、がんによる死亡と総死亡のリスクが高い傾向があることが明らかになりました。一方で、卵の摂取と循環器疾患による死亡の間には統計学的に意味のある関係は見られませんでした。
●「1日2個以上」のがん死亡リスクは「1日1個」の3.2倍
卵を1日1個摂取する女性を対照群(リスク1倍)として比較すると、1日2個以上食べる人では、がんによる死亡リスクが3.2倍、総死亡リスクは2.05倍になっていました。逆に、1週間に1~2個しか食べない女性のがん死亡リスクは、0.68倍(32%減)になっていました。
なお、男性では、卵の摂取は、がんによる死亡と総死亡のリスクに影響を及ぼしていませんでした。その理由として著者らは、「日本では男性のほうが外食する機会が多く、そのために食事の内容が女性より多様化している」、また、「男性のほうが喫煙者と飲酒者の割合が高く、これにより卵の摂取ががんと総死亡に及ぼす影響が薄められている」といった可能性を指摘しています。
今回の研究結果は、日本人女性は、卵の摂取を減らすと健康に利益がもたらされる可能性があることを示唆しました。
卵の摂取量が多いほど、がんによる死亡と総死亡のリスクが上昇