幸せの深呼吸

幸せは自分の中にある。
幸せは自分が決める。

睡眠研究の第一人者が説く、良い眠りの「真常識」

2018-07-15 | 医療、健康

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180713-73006419-trendy-life

 「年齢を重ねれば筋力や視力が衰え、白髪が生えてくるのと同様に“睡眠力”も衰えてきます。この衰えは、実は筋力の衰えよりも激しい。筋力は筋トレなどでかろうじて向上や維持ができるかもしれませんが、眠る力はそうはいきません。中高年になってエネルギー消費量や基礎代謝が落ちてくると、深い睡眠の必要性も低下してきますので、これはもう自然の摂理と捉えるべきですね」(三島先生)

 睡眠力の減退は必然と心得よ、というわけである。とはいうものの、一日の激務が待っている身としては、いい睡眠をとって、目覚めスッキリといきたいもの。だが、この“いい目覚め”もクセモノらしい。

 「いい目覚めが、いい眠りに直結すると思いがちですが、実はそうではありません。もちろん眠りが充足していて目覚めがいいと感じるときはありますが、たとえ眠りが浅かったり睡眠不足気味でも、レム睡眠の後の少し浅い睡眠で目が覚めるなどタイミングが良ければ、目覚めがいいと感じることもあるんです」(三島先生)

 単に目覚めを良くしたいだけなら、レム睡眠が終わった直後の浅い睡眠の段階を狙って起きるのも、一つの手だ。しかし、その結果「よく寝た」と感じたとしても、それが「いい眠りだった」には結びつかないということ。眠りの良しあしの判断基準は、別のところにあるのだった。

注目すべきは日中のパフォーマンス

 「その人の眠りが十分かどうか、あるいは不眠症かどうかなどの睡眠障害を判断するのに、睡眠時間、寝付きや寝起きの良しあし、夜中の目覚め回数などはバロメーターになりません。注目すべきは夜の症状ではなく、日中の体調やパフォーマンスがいいかどうか。要するに日中に機能障害があるかないか、この一点に尽きるんです」(三島先生)

 例えば不眠症でよくみられる「日中の機能障害」とは、以下の通り。

(1)眠気

(2)疲労感、不快感

(3)注意、集中、記憶力の低下

(4)仕事の能率低下・運転事故

(5)抑うつ、いらいら感

(6)活動性、積極性の減退

(7)緊張、頭痛、消化器症状

(8)睡眠の心配、悩み、固執

 「現在の不眠症の国際基準は、『週に3回以上の不眠症状があり、日中にも機能障害がある』、さらにそれが『3カ月以上続いている』とされています。週に1回とか、たまたま心配事があって眠れなくて日中に倦怠(けんたい)感が出るとかは、特に心配いりません」(三島先生)

 研究データでは、何らかの不眠症状のある人は約30%。このうち医療が必要な状況の人は、軽症の人も含めて10%程度だといわれており、その割合は先進国では共通だとか。つまり、残りの20%は短期的だったり、日中の機能異常を伴わない“心配のいらない不眠”なのだ。

 ところで、いい睡眠、良質な睡眠といえば、ほぼ決まって引き合いに出されるのが“深い睡眠”だ。が、三島先生によれば、質のいい睡眠=深い睡眠というのは典型的な間違いとのこと。

 「深い睡眠が何%あれば質のいい睡眠かという基準はなく、その人の眠りに深い睡眠が現れるかどうかは、“ニーズがあるかどうか”です。基礎代謝が高く日中の運動量も多い若者の場合は、一晩のうち深い睡眠が占める割合は20%以上ありますが、50代では10%前半になり、時には数%の人もいる。ですから若い時代の睡眠を思い出して『あのころは良かった』と思う必要など、全くありません。もともと深い睡眠とは、日中にホットになった脳の神経細胞の活動を抑え、クールダウンさせるためのもの。脳がそこまでホットになっていないために深い睡眠を取らなくても大丈夫というのが、中高年の睡眠なんです」(三島先生)

 要するに、若い時代のような満足のいく睡眠が取れなくても、日中のパフォーマンスに何の支障もなくバリバリと仕事をこなすことができるなら、その人にとっては“いい睡眠”がとれているということになるのだ。

働き盛り世代の大敵は睡眠不足

 寝覚めが悪いとか、日中のパフォーマンスの低下などは、老化以外の要因でも起こる。それが睡眠不足だ。むしろ40~50代の働き盛りが心配すべきなのは、この睡眠不足のほう。

 「睡眠不足が続くと、最初は日中の眠気が日ごとに強くなっていきますが、ある程度までいくと眠気に慣れてしまい、感じなくなってきます。しかし脳波上での眠気は強くなり続け、パフォーマンスも下がり続けます。たとえ、眠気を感じたときに、立って伸びをしたり、顔を洗ったりするなどの眠気覚ましをしても、自覚的な眠気が一時的に取れるだけで、やはりパフォーマンスは下がり続けます。小手先のことでは、睡眠不足によって蓄積された脳の疲労やパフォーマンスの低下は回復しないんです」(三島先生)

 「でも移動中に電車の中でちょこちょこ仮眠を取っている」などと言うなかれ。これには危険なワナが潜んでいる。「夜はベッドに潜り込めば、あっという間に眠れる」というのを自慢にしている人も、同じように要注意だ。

 「電車の中でうとうとして、目覚めれば復活するパターン。実はこれ、睡眠不足としてはかなり危険な状態で、完璧に体に負担がかかっていると思っていい。また、現在の睡眠障害の検査の基準では、消灯後、8分以内に眠れる人は病的な眠気があるという判断が下されます。本当に睡眠を充足させた健康な人は、横になっても脳波上ではすぐ眠れる状態にならず、寝入るまでに14~15分かかるものなんです」(三島先生)

 睡眠不足には、高血圧や糖尿病、高脂血症、脳卒中、うつ病、心筋梗塞、認知症など、あまり聞きたくない名前の健康リスクが多いことは、もはや証明済み。生物として必要な休息を取るという当たり前のことを、もう一度見直すべきかもしれない。

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