https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180320-00010000-yomidr-sctch 略
効いているのは5人に1人
それ以前にも、抗うつ薬の効果が限定的なことを示す研究は少なくありませんでした。1995年には、米国の精神科医が、SSRIの一種セルトラリンと、プラセボを比較。セルトラリンでは、うつ症状が改善した人の割合は60%だったのに対し、プラセボでも42%の人が改善したと報告しました。実際に抗うつ薬が効いた割合は、プラセボとの差である20%足らずだったわけです。
独協医科大学埼玉医療センターこころの診療科の井原裕教授は「抗うつ薬が本当に効いているのは、うつ病の5人に1人。残りの8割の人には、薬は無意味です」と言います。略
井原教授は「うつ病の治療は、薬物療法より生活習慣の改善の方が重要」と言います。中でもカギになるのが、睡眠不足の解消です。
うつ病の人は多くの場合、睡眠時間が短く、睡眠のリズムも乱れています。そこで、まず「睡眠日誌」を使い、毎日、何時に眠り、何時に目覚めているかを記録してもらいます。
睡眠時間は1日7~8時間が理想的とされています。それより短くても長くても、うつ病のリスクが高まるからです。うつ病だけでなく、糖尿病やメタボリックシンドロームのリスクも高まり、死亡率も上昇します。
井原教授は、1日7時間、1週間で50時間の睡眠をとることを勧めています。週50時間の睡眠が確保されれば、うつ病は良くなっていくといいます。
良い睡眠をとるには、適度な運動も必要です。肉体疲労が起き、眠気が促されるからです。実践しやすく続けやすいのが歩くことで、1日7000歩が目安になります。
また、アルコールは睡眠の質を低下させます。このため、井原教授は、週50時間睡眠、適度な運動(1日7000歩)、アルコールの減量(薬を服用中なら禁酒)を治療のポイントに挙げています。
うつ病を治すのに最も大切なのは、自己回復力を高めることです。健康を作るのは薬ではなく、睡眠などの生活習慣であることを再確認したいですね。