96億円つけたムンクの「叫び」、落札者が判明
ウォール・ストリート・ジャーナル 7月12日(木)8時19分配信
5月にサザビーズが行った競売で史上最高の1億2000万ドル弱(約96億円)をつけたエドバルト・ムンクの代表作「叫び」の落札者がニューヨークの資産家レオン・ブラック氏であることが、同氏に近い複数の関係者の話で明らかになった。
秘密にされていた落札者が特定されたことで、同作品をめぐる臆測はようやく終息しそうだ。ブラック氏が将来的にこの作品をどうしたいかは依然明らかになっていない。同氏はニューヨーク・メトロポリタン美術館とニューヨーク近代美術館(MoMA)の理事を務めているため、両者の争いに発展する可能性もある。いずれの美術館も、リトグラフ以外の「叫び」は所蔵していない。
ブラック氏の広報担当者はコメントを控えた。ブラック氏は1970年代、ジャンクボンド市場を開拓したドレクセル・バーナム・ランバートを経て、今はアポロ・グローバル・マネジメントを率いている。フォーブスによれば、同氏の資産は3月時点で34億ドル、アポロの運用資産は1050億ドル。
同氏は、近年の国際美術市場を変えた一握りの資産家の1人だ。美術品の購入に惜しげなく資金を注ぎこみアート・フェアを盛んにし、ジャンルを問わず美術作品の価格を値上がりさせた。ラファエロやゴッホの素描、J.M.W.ターナーの水彩画、ピカソのキュビスムの油絵や中国の青銅製の作品など7億5000ドル相当のコレクションを有している。3年前には、ラファエロの「ミューズの頭部」の素描を4760万ドルで落札、紙に描かれた作品の最高記録を作った。
前衛芸術家で「水玉の女王」草間彌生氏、ニューヨーク市内で作品展示へ
マンハッタンが草間彌生祭の舞台となる。今週から夏の終わりまで、かつて「水玉の女王」として知られた伝説的な女性アーティスト、草間彌生氏(83)の作品がニューヨーク市内6つの会場で展示される。
会場は5番街のルイ・ヴィトン旗艦店からホイットニー美術館などに及び、ルイ・ヴィトン旗艦店の建物は目を見張るような草間氏の特徴的パターンの外観で覆われる。市内のルイ・ヴィトン店舗には草間氏のデザインをヒントとする14の窓が登場し、ホイットニー美術館では12日から9月30日まで、過去15年間で初めて、草間氏のニューヨーク回顧展が開かれる。
さらに、ルイ・ヴィトンのソーホー店はポップアップショップの水玉模様のオアシスとなり、同店の旅行関連スペースは草間氏のコンセプトストアと化す。また、プリンス通り外れのピア45には草間氏の彫刻作品「Guidepost to the New Space」が登場する。
草間氏がドナルド・ジャッドといったコンテンポラリーアーティストとともにニューヨークのアートシーンを刺激していた1960年代以来、同氏のアートがこれほど至るところに展示されるのは今回が初めてとなる。草間氏は過去35年間、自主的に東京の精神科病院に入っている――近くには完全完備のスタジオを備え。
ホイットニー美術館のデービッド・キール館長は、「草間氏はニューヨークでアーティストになった」と話す。「彼女の作品はニューヨークでしか起こり得なかった形を取った。彼女はここで自由だったからだ。ニューヨーク時代は非常に重要で、それに続く作品は彼女がここで発展させた言語に由来している。今回のショーは多くの人々にとって目を開かせる体験となろう」と述べた。