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次世代の高層ビルは、木でつくられる──世界各国で進む木造高層建築プロジェクト
未来の高層ビルは、木材を使って建てられるかもしれない。最新技術との組み合わせによって、1世紀前には考えられなかった高さの建築物も立てられるようになった木材。いま世界各地では、木造の高層建築物の建設プロジェクトが進められている。
来たる「木材の時代」
リヴァー・ビーチ・タワーは、この数年間に登場した野心的なアイデアのひとつに過ぎない。ロンドンでは、80階建ての木造超高層ビル「オークウッド・タワー」が提案されている[日本語版記事]。スウェーデンのストックホルムでは、街で最も高い約130mの高さの居住用高層ビルの計画が進行中だ[日本語版記事]。2016年に死去した建築家ザハ・ハディドの建築設計会社は2016年11月に、うねるようなデザインの木造サッカースタジアムを英国で建設する契約を受注した。
「クロス・ラミネーティッド・ティンバー」(CLT、直交集成板)と呼ばれる非常に強度の高い合板は、異なる木の板や角材を貼りあわせることによって、鋼鉄に匹敵する強度をもつ積層構造の複合材料だ。この新しい材料を、コンピューター数値制御(CNC)によるフライス加工のような精密なデジタル製造プロセスと組みあわせることによって、1世紀前には考えられなかった高さの木造建築が可能になった。
環境上の特性[PDFファイル]はさらに魅力的だ。木材は二酸化炭素を閉じ込める働きをするため、大気中に余分な二酸化炭素を排出しないですむのだ。
理想的なデザインは材料に訊け
現在、世界で最も高い木造建築物は、ヴァンクーヴァーに建てられた18階建て学生寮「ブロック・コモンズ」だ。このビルの長方形の箱のような骨格は、多数の木製モジュールをレゴのように組み立ててつくられている。外見は、ほかの鋼鉄やコンクリート製のビルと変わらない。それでもこのビルは、大規模な建物に木材を利用できることを証明する重要な事例である。
軽くて強い木材は、自重を支えなければならない高層タワーに適している。一方で、鋼鉄やコンクリートほど剛性(ネジレ、ズレに対する弾性)が高くないため、強度を維持しながら横方向に伸ばせる距離は制限される。そのため、シカゴのリヴァー・ビーチ・タワーは、実際には細長い2棟のビルが、斜めに交差する梁からなるアトリウム(内部公開空地)でつながっている。これらの梁は、建物正面にあるハニカム構造のモジュールに接続され、このモジュールが建物の荷重のほとんどを支えている。