緑茶に含まれるカテキンの一種と男性機能不全(ED)治療薬を併用投与することで、正常な細胞を傷つけずにがん細胞のみを殺し、高い抗がん作用を発揮することを、九州大大学院農学研究院の立花宏文教授の研究チームが突き止めた。研究成果は25日、米医学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション電子版に掲載された。
立花教授によると、これまで抗がん剤が効かなかったケースでも、高い効果が期待できるという。早ければ年内にも米国で臨床実験を実施する。
同教授のチームは2004年、「エピガロカテキンガレート(EGCG)」と呼ばれるカテキンの一種ががん細胞の細胞膜表面にあるたんぱく質と結合することで、がん細胞を特定して殺す仕組みを解明。今回の研究では、EGCGの抗がん作用を阻害する酵素に着目し、この酵素の働きを抑える化合物を含むED治療薬を投与したところ、抗がん作用を高めることに成功した。
マウスにヒトの乳がん細胞を移植した実験では、2日に1回、EGCGとED治療薬を投与した結果、16日間でがん細胞が死滅した。多発性骨髄腫や胃がん、膵臓(すいぞう)がん、前立腺がんでも同様の効果が得られたという。
・ カテキン+ED薬=抗がん作用強化 動物実験で確認 - 九州大の立花宏文主幹教授らは、カテキンの一種で、抗がん作用があるエピガロカテキンガレート(EGCG)の働きを研究。がん細胞の中でいくつもの分子を介して信号を伝え、細胞を死に導く道筋を解明。朝日新聞デジタル(1月26日)