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イタリアで天井画を見上げたら心臓バクバク…「スタンダール症候群」と「美容院脳卒中症候群」

2019-01-27 | 医療、健康

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190122-00000007-sasahi-life

■天井を見上げたら「急速に活力が失われ…」

 さて、スタンダールにはその名を冠した「スタンダール症候群」がある。普通、症候群はこれを最初に報告した医師の名を冠するが、この場合はスタンダールが報告された最初の患者(?)である。

 軍務・政務を離れたスタンダールは、1817年に母方の故郷であるイタリアへ旅行したが、同年1月22日フィレンツェにあるサンタ・クローチェ聖堂にあるジオットのフレスコ画を見上げていた時に、突然、めまいと激しい精神の動揺に襲われて動けなった。このことは、彼の「イタリア紀行―1817年のローマ、ナポリ、フィレンツェ」に記載されている。「私は天井をよく見られるように説教壇を上って座った。どの絵も最大の喜びを私に与えた。が、とくにVolterranoのSibylsに私は、芸術の美しさと情熱のみが提供できる天国のような感情を経験することができた。サンタ・クローチェを離れた後も、私の心臓は不規則に波打ち、急速に私の中から活力が失われたのを感じた。そして、私は恍惚感を恐れながら前に進んだ」

 このエピソードから170年が経った1989年、イタリアの心理学者グラツィエラ・マゲリーニは同じような症状を呈して、過去20年間にサンタマリアノヴェッラ病院に搬送された106人の外国人患者から、新たな疾患概念を提唱した。マゲリーニは強い感動による心因反応と考えたが、他にもエルサレム症候群やパリ症候群(聖地や憧れの都に来た興奮のあまり体調を崩す)が報告されている。

■中年男女に多い症状

 しかし、不思議なことにスタンダール症候群は、もともと一番多いはずのイタリア人の症例報告は無く、アメリカ人や日本人にも見られない。一番多いのがフランス人、次はドイツ人である。略

■美容院脳卒中症候群とは

 2017年、コロンビア・ボゴタにあるロザリオ大学の神経内科医Palacios-Sancesらは過去の報告例の文献的考察を行い、世界中のどこでも美術館などで芸術作品を鑑賞中に一定の頻度で、頻脈や脱力、方向感覚や時間感覚の喪失、幻覚、多幸感あるいは不安感、耳鳴り、人格変化、そして強い消耗感を生じる患者があることを報告した。胸痛や頻脈、不安感、発汗、脱力などの症状は2日から8日の間持続し、後遺症を残すことは稀であるが、反復して発症する傾向のあること。リスク因子として高学歴、精神・神経疾患の既往歴、疲労、脱水、直射日光曝露、睡眠不足などがあげられた。

 気をつけなければならないのは、器質的な病変が隠されている可能性である。仰臥位(ぎょうがい。上を向いて寝た姿)で頭部を後屈すると、圧迫によって椎骨動脈からの脳血流が減少するが、特に長時間この姿勢をとることによって小脳や脳幹に微小血栓を生じた事例「美容院脳卒中症候群」(Beauty salon stroke syndrome)が指摘されている。

 血栓傾向のある方や脱水があると特にリスクが高まるので、空気の乾燥したイタリアで長時間天井画を見続けることはやめておいた方が良いだいだろう。

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