TVで解説しているのを聴きました。
K値では、3月中旬に海外からの流入を閉鎖したために下がってきていて、ホームステイを一斉にしたけれどする必要がなかったと。オリンピックや中国の訪問などで海外から入ってくるのを止めるのが遅かったから、感染が増えた。
水際対策をしっかりやれば、自粛せずに経済が回せると
一方3月末のその時、東京の医療は崩壊寸前だったと言っていました。ぎりぎり。
https://news.yahoo.co.jp/articles/546b2908ba242f6f9f4a6d8cae30eb0862168121
(1)「8割自粛要請の有効性の有無」よりも「なぜ、感染が収束に向かったのか?」についての分析の方が圧倒的に重要
筆者は、5月21日に『【正式の回答を要請します】わたしは、西浦・尾身氏らによる「GW空けの緊急事態延長」支持は「大罪」であると考えます。』(https://38news.jp/economy/15951)という「藤井個人」の「考え」(見解)を配信しました。
藤井聡京大教授「第二波に備え『8割自粛』を徹底検証すべし」【緊急反論③:水際対策の強化こそが感染収束の肝であった】
これについて、ネット上でご専門の先生方も含めて、賛否両論の議論が展開されたのを拝見し、改めて筆者の見解をより詳しく解説する主旨で、この緊急連載『第二波に備え「8割自粛」を徹底検証すべし』を開始したという次第です。
そしてその初回原稿では、「8割自粛要請というものは「極めて深刻な副作用がある劇薬」である一方、その有効性を否定するデータがGW頃には出ていたにも関わらず、なぜ、それを公表せずに、むしろその劇薬の使用継続を専門家として主張したのでしょうか。そのせいで、我々の経済はボロボロになっているのですが・・・」という、いわば「患者から医師への申し立てだ」というのが今回の主旨であることを解説しました。
https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/526126/
そして、「第二波」がやってきた時には、「感染抑止効果が限定的だが、深刻な副作用だけは確実にもたらされる様な対策」には、慎重に判断することが必要だとお話ししました。
そして緊急連載第二弾では、今回の議論の肝となる、「8割自粛『要請』の有効性」について、改めて統計的に検証しました。この連載のために新たに統計分析を行いましたが、やはり、当初から申し上げていた通り、8割自粛要請の有効性が、否定される結果となりました。
https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/540836/
しかし、感染は確かに抑止され、3月下旬から収束に向かっていったのは事実です。
では一体なぜ、そんな風にして日本の感染は収束していったのでしょうか? この点を明らかにすることこそ、これからやってくる第二波対策にとって、極めて重要な知見となるでしょう。
緊急連載第3回目の今回は、まさにこの点について考えたいと思います
■(2)新規感染者数のピークは3月下旬だが、「感染者の拡大スピード」のピークは3月中旬だった
ここ最近、筆者が申し立てた「新規感染者数の推移を見れば、緊急事態宣言の遙か前の、3月下旬で、ピークアウトしていた」という事実が、TV等でもしばしば取り上げられるようになってきました。そして、緊急事態宣言が、ピークアウトさせた原因ではないという、筆者が一貫して主張し続けてきた「真実」がようやく表でも論じられるようになってきたように思います。
ただし、筆者は本日、ここでさらに読者各位に提示したいのは、
「新規感染者数の増加率の推移」
に基づくデータです。これは、日常用語で言うなら、感染者が増えていくスピードのデータです。
図1をご覧下さい。これは、「新規感染者数の増加率」、つまり、「感染者が増えていくスピード」の推移を示しています。
ご覧の様に、日々変動はしていますが、傾向としては、3月中旬あたりをピークとして、徐々に低下していっている様子が見て取れます。
つまり、3月中旬頃までには「感染拡大のスピードがどんどん上がっていっていた」一方、それ以降は、「感染拡大のスピードはどんどん低下していっていた」わけです。
そして、そうした推移の中で3月の下旬に、感染拡大率が「1」を下回ることが多くなったことが分かります。これはつまり、感染者が前日よりも翌日の方が少なくなる、ということを意味しているのであり、したがって、新規感染者数が「ピークアウト」して「収束」に向かうことになったわけです。
昨今TVで取り上げられるようになった「3月下旬にピークアウトしていた」という「真実」の背後には、こうして「1を上回っていた増加率が3月中旬から減少していき、下旬にようやく1を下回ることになったから」という事情があったわけです。
■(3)「感染拡大スピード」が緩まっていった3月中旬に、政府は水際対策を加速していた
ではなぜ、「感染増加スピード」が3月中旬頃から縮小していったのでしょうか?
この点を明らかにするために、「日々の変動」の影響を排除して、スピードの増減のトレンド(傾向)を分析するために「移動平均」という方法を使って分析したいと思います。これは、その日を中心に前後数日間を含めた平均値を求め、その平均値の推移をとるというものです。
そのグラフを図2に示します。
このグラフをみると、先程申し上げた「感染拡大スピード」の変遷、つまり、3月中旬までスピードが上がり、それ以降低下し、4月中旬頃に横ばいになっている様子がよりくっきりと分かります。
この図2を見る限り、やはり、緊急事態宣言、あるいは、「8割自粛要請」(ましてやその全国拡大)は感染拡大スピードの下落に何の貢献もしていない、ということが明らかに示されています。
一方で、スピードが上昇から下落に転じた3月中旬頃には、実はかなりの対策を政府が行っていたことが分かります。
中には、「大規模イベント自粛要請の延長」という「国内対策」もありますが、その大半が、水際対策です。
中国、韓国、欧州と言った、感染が拡大していた地域からの入国規制や、渡航自粛要請、あるいは、渡航禁止令などが矢継ぎ早に出されていったのが、この3月中旬だったわけで、その頃から感染拡大速度は低下していったのです。
■(4)感染国である中国・欧州からの入国規制(水際対策)が、感染拡大を下落させた
では、「感染拡大スピードの緩み方」をより詳しく見るために、この図2のデータを使って、「この感染拡大スピードの拡大率」の推移を見てみることにしましょう。
それが図3です。これは要するに、(物理学で言うところの)「加速度」の推移を見ることになります(なお、これについても、日変動を除去するため15日の移動平均を取る処理をしています)。
・・・理系で無い方は何が何だか分からなくなってしまっているかも知れませんが、これは要するに、「クルマのアクセルの踏み込み具合」だと考えて下さい。この数値が高いということは、アクセルをぐっと強く踏み込んでいるという事を意味しており、逆に低いということはアクセルを緩めているという事を意味しているわけです。
この図を見ると、3月9日までは、アクセルを踏み込む力(加速度)がぐっと強くなっていき、3月9日からその力は緩んでいったことが分かります。
そしてこのグラフからは、どの対策がどれだけ有効だったのか、よりくっきりと分かりますね。
まず、やはり4月7日の緊急事態宣言や16日の全国拡大は何の効果も無かったことが見て取れます。
一方で、政府による中国、韓国からの全面的な入国禁止、ならびに、欧州への渡航自粛要請や禁止が発令された3月9日から一気に「アクセル」が弱められた様子が見て取れます。
その後の「10日の大規模イベント自粛の継続発表」も影響している可能性がありますが、これはただ単なる「継続」の発表であり、「アクセルを踏み込む」要因になったとは少々考えにくいとも言えます。
その後、3月12日には欧州だけで無く、アメリカに対しても危険情報が発令されるなど、渡航の自粛・禁止の幅が拡大されていきます。
そして3月17日には欧州との渡航・入国の事実上の「禁止」が公表されます。
そもそも3月当時、日本よりも中国や韓国、欧州の方が感染者が多く、そうした国々との間の移動さえ無ければ、日本に感染が急速に拡大する状況ではなかったのです。
ところが3月初旬では、大量の海外からの渡航者が日々関西空港や成田空港に降り立ち、毎日毎日、ウイルス感染者が日本列島に「新規供給」され続けたのです。だから国内の感染拡大が日々、「加速」していくのも当然だったわけです。
一方で、そういう渡航を制限すれば、「外部からの新規供給」が途絶えるわけで、アクセルが必然的に緩められ、感染速度が収まっていきます。
(残念ながら、「来日者数」のデータは「月ごと」にしか整備されていないので、細かい分析はできないのですが)そもそも2月は、100万人以上の入国者(邦人含む)がありました。一方で、3月には上記のような「入国規制」や「渡航自粛要請・禁止」が発令され、約20万人に激減。そして、4月にはなんと0.3万人以下、つまりほぼ「ゼロ」の状態に至りました。おそらく、3月の上旬は2月とほぼ同様の速度で海外からの入国者がいた一方で、中旬以降は、「ほぼゼロ」という状況になったのでしょう。
そう考えると、この図3に示された、3月中旬以降の「感染拡大スピードの加速度の急激な下落」は、3月中旬の政府の「水際対策の加速」による感染拡大国からの入国者の激減に対応していると考えるのが、妥当な結論だと言えるでしょう。
つまり、かつて月100万人の勢いで押し寄せていた(多くの感染者を含んだ)渡航者をほぼゼロに削減したことで、感染拡大は大きく収まっていったわけです。
■(5)初期における水際対策の不徹底こそ最大の禍根。安倍内閣の政治責任は甚大である
以上の検証結果は、水際対策が如何に大切かを意味しています。
日本ではここ数ヶ月、西浦氏達の主張する8割自粛や尾身氏らが主張する2mのソーシャルディスタンス論の重要性ばかりがメディア上で取り上げられた一方、水際対策の重要性はほとんど議論されてこなかったのは、日本の感染症を巡るこれまでの議論の不条理さを改めて浮き彫りにする事実と言えるでしょう。
この点に思いが至るなら、我々は今こそ、初期段階において「水際対策」をやらなかった安倍内閣に、強い批判の目を差し向けるべきでしょう。
そもそも1月下旬、唯一の感染国であった中国に対して水際対策を徹底するどころか、逆に、安倍総理本人が動画に出演までして春節の中国観光客を大量に受け入れるプロモーションを大々的に展開したのです。それさえ無ければ、1000人近いコロナ感染死者も、8割自粛に伴う大量の倒産、失業、貧困も無かったことは間違いないでしょう。
だからこの一点において、安倍内閣には超巨大な政治的責任があるのです。国民はこの安倍内閣の深刻な罪科を絶対に看過してはなりません。
■(6)今後の感染症対策のためにも、「自粛による社会被害」を明らかにすることが必要である
一方で、以上の分析は、「4月7日の8割自粛要請」やその全国拡大(さらには、GW明けのその延長)には、感染抑止効果は無かったことを改めて示すものでした。
今後の対策を考える上で、この検証結果は途轍もなく重大な意味を持つものだと筆者は考えます。
ただし一言申し添えておくなら、だからといって「自粛」「ステイホーム」そのものが全く無意味だったかどうか、という議論はまた別の議論です。言うまでもありませんが、理論的には接触を断てば、感染が縮小するのは自明です。
しかし、少なくとも今回のデータを見る限り、今回の第一波の収束においては、その「自粛による効果」を「渡航者抑制の効果」が「凌駕」していたというのが実態だったと考えられます。だから、「第一波の収束」においては、「自粛」「ステイホーム」は(仮に幾分の効果はあったとしてもそれは)、さして大きな役割を担わなかったと考えられるわけです。
では、そうした事後解釈も含めた上で、今後私達は、どのような感染症対策をすればよいのでしょうか。この点を考えるには、やはり、「自粛による副作用」を明らかにしなければなりません。副作用がないなら、あまり効果があろうが無かろうが8割でも9割でも自粛要請をすればよいのですが、その副作用が深刻ならば当然そういう態度は「大罪」の誹りを免れ得なくなるからです。
ついては次回は、「自粛による副作用」つまり「自粛要請による経済被害の実態」に的を絞った議論を展開したいと思います。
コメントから
医療崩壊寸前だったという声が全国から上がっている。
もう少しで病床が満杯になるところだった、マスクが医療現場に届かない、防護服が無いので雨がっぱやごみ袋を使っている、看護師が足りないから看護学校教員を呼ぶ、保健所の職員の残業時間が過労死ラインを超えている、等々。
自粛がなくても感染者数の減り方は同じだったかもしれないし、自粛をしなければあと少し感染者が多くて医療崩壊が起きていたかもしれない。
タラレバの話もいいけれど、第2波が第1波と同じ感染者数でもびくともしない医療体制に改善することが大事だと思う。
「ソーシャルディスタンス」とは本当に必要なのか、そこで起こる経済への強烈な副作用は無視されて良いのか、そういった事を世界的に総括する時期が来たのかも知れません。
得体の知れないウィルスにパニックを起こすのはある程度仕方なかった。重要なのはその行動や選択が正しかったのかを再検証する事です。
我々人間は頭を使い知恵を絞る生き物だ。思考停止は許されません。