ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

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〔推測〕 タバコ、アルコールは隠れ蓑だったのか? (5-2/5)

2013年05月29日 |  推測

 前回(ココ)からの続きで、牛乳有害説について補足から。

 前回記事で参考文献が不明とした2番目の記事は、記事をよくみると真弓定夫 氏(小児科医)の名前が出てくるので何か関連があるのかもしれない。彼には牛乳有害説を扱った著作があるようだ(タイトルがかなりオヤジギャグのようだが・・・)。それを解説した記事をブログ「ひだまり の トロピカル☆DAYS」から、

牛乳はモー毒? 真弓先生
2009年04月22日
http://hidamarine.ti-da.net/e2044529.html


 現状、個人的には牛乳有害説を支持している。3.11前は週に1リットル以上牛乳を飲んでいたけど(学校給食の名残りなのだろう、多分)、今は牛乳は止めてたまに外国産チーズを食べる程度となっている。このような評価に至るには、フランク・オスキー氏の本が参考文献リストもあって参考なったと思う。以下では、牛乳有害説が正しいものと過程して話を進めることにしよう。

 とはいえ、牛乳有害説にも幾つか腑に落ちない点が個人的にはあったし、現在もあるのである。その中で最も不可解な点は、牛乳は骨を弱くするという主張であろう。この点を少し眺めてみよう。

 
 何が不可解なのかというと、骨が弱くなるメカニズムが分からないからである。世間の多くの人は牛乳を重要なカルシウム源と認識しているはずなので、牛乳有害説の根幹はここにありそうな気がするのだが、論者によって言うことが違っていて困るのである。

 先ず、牛乳は骨を弱くするという主張の内容をみておくと、他力本願でいくと、例えばこんな感じの話である。「いけがみ小児歯科」(広島県所在)のブログ主のまとめから(記事「牛乳を飲むと歯が強くなりますか?②」 H24年3月14日 http://club-nuts.kids.coocan.jp/h240314.htmlにリンクされたpdfファイル http://club-nuts.kids.coocan.jp/milk-PDF.pdf 参照)、 

図1 牛乳は骨を弱くするとの主張
出典)前掲資料の1頁。



 こんな感じの主張を念頭に置いて、牛乳は骨を弱くするメカニズムの解説の具体例を幾つかみてみよう。最初はオスキー氏の解説を取り上げるべきだろうが、残念ながら忘れてしまっているので、パスしておこう(本は借りて読んだので、骨を弱くするとまで言っていたかどうかも定かでないし、ましてやメカニズムをや、という感じである。記憶力悪くてスミマセン)。


 次に移ると、誰の解説かは不明だけど、前回言及したサイト「るいネット」の記事から、

牛乳の害(ここにもアメリカとマスコミ支配の影が・・・)
05/12/06
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=102095

●牛乳に含まれるカルシウムは仔牛向けなので、分子が大きく人間には吸収しにくい。

●牛乳にはリンがたくさん含まれるため、骨のカルシウムは溶け出し、それまで体内にあった同量のカルシウムと結びついて、リン酸カルシウムとなって体外に排泄される→牛乳を飲めば飲むほど体内のカルシウムが減少していく。→アメリカで骨粗鬆症が多いのは牛乳の摂り過ぎからだと考えられる。また牛乳の飲み過ぎによりカルシウムが奪われ虫歯になり易くなる。


 このメカニズムはおかしいだろう。ここでは牛乳からリンが体内に吸収されるという前提が見受けられる。骨は、タンパク質の骨格にリン酸カルシウムがセメントのようにはりついて補強されてできている。骨からカルシウムが溶け出すなら、リンも溶け出すはずである。前者は牛乳由来のリンと体外に流れていったとして、後者(骨由来のリン)はどこへ行ってしまったのか疑問が残る。


 また、次に移ると、真弓氏の解説を冒頭言及の記事から、

牛乳はモー毒? 真弓先生
2009年04月22日
http://hidamarine.ti-da.net/e2044529.html

日本人の腸には、牛乳のカルシウムを吸収するために必要なラクターゼという酵素が少ない。
(ラクターゼが少ないから吸収できない)

この酵素は大人になると不足して、せっかく牛乳を飲んでもカルシウムは排泄されてしまう。

世界で一番牛乳を飲んでいる国はノルウェーだが、そのノルウェーの骨粗鬆症の発生率は、なんと日本の5倍!! 
(牛乳を飲んだら骨が強くなるはずなのに、かえって弱くなるという皮肉な現象が起こっている・・・)

 このメカニズムもおかしいだろう。ラクターゼというのは、乳糖分解酵素の一種で、日本人成人では少ない、あるいはほとんどない人が多いとされている。しかし、乳糖の分解の話とカルシウムの吸収の話が何故関係するのかよく分からない。乳糖分解酵素が不足するとカルシウムが体外に流れるというのでは、話を煙に巻き過ぎだろう。更に言えば、ノルウェー人は日本人とは違い長年乳製品を摂取してきたので成人でもラクターゼを持っている人が多いだろうから、彼らの骨が弱くなる理由になっていないだろう。この点については、このあたりの解説が参考になるだろう。サイト「1日2食健康法」から、

第3章 これがあなたの体を疲れさせている食品だ - 牛乳をやめる
http://www.2shock.net/article/0035.html

 さらに牛乳には乳糖が含まれているのが問題だ。
 牛乳を飲むと下痢をすることがあるが、その原因となっている成分がこの乳糖である。
 乳糖(ラクトース)を分解するにはラクターゼという酵素が必要だが、この酵素をつくることのできる日本人というのは15%しかいない(統計法によりバラつきがあり、5%との説もある)。
 体の中でも、腸のつくりは民族間でかなり異なる。人類の長い歴史の中で酪農民族であるヨーロッパ人は乳糖を分解できる小腸が形成されていったが、農耕民族の日本人は牛乳を飲む必要がなかったため乳糖を分解するような腸にはならなかったのだ。
 

 引き続き次に移ると、新谷弘実 氏の解説を前回言及したサイト「ageha was here」の記事から、

牛乳有害説
2006.08.20
http://agehatype0.blog50.fc2.com/blog-entry-36.html

--日本では牛乳でカルシウムが採れると栄養士は言います。
◆[新谷氏] 牛乳を飲むと血中のカルシウム濃度が確かに上がる。しかし、体温や血圧などを一定に保つホメオスタシス(恒常性)という機能が人体にはある。カルシウム濃度が一時的に上がるとまず、腎臓から急激にカルシウムや他のミネラル、ビタミンまで排せつされます。牛乳のたんぱく質も問題で、分子が小さいためにアミノ酸に分解される前に異物として腸から吸収される。体が抗原と認識して抗体ができ、アレルギー体質になります。栄養士にだまされてはいけない。 (2番目の記事から)


 このメカニズムもおかしいだろう。他力本願でいくと、仁木良哉 氏(北大名誉教授)の反論を同記事から、

仁木 牛乳を数百ミリリットル飲んでもカルシウム-バランスはマイナス。カルシウムのわずかな増加でどのようなメカニズムでホメオスタシスが働くのか。他のミネラルやビタミンまで排出されるという話も全く理解できない。 (3番目の記事から)


 仁木の反論は概ね支持できるだろう(ただ、カルシウム・バランスがマイナスかどうかはよく分からない)。一旦カルシウムが体内に吸収されたとするならば、あと体内でのカルシウム平衡の問題ととらえるべきであろう。しかし、牛乳固有の成分がどのように作用してカルシウムが体外に流れる方向に傾くのかは説明されていないのである。

 ちなみに、新谷氏が指摘するように、牛乳からカルシウムが吸収されるのは間違いないだろうと個人的には考えている。前掲の「いけがみ小児歯科」のブログ主のまとめから、

図2 牛乳からカルシウムが吸収されるだろう
出典)前掲資料の3頁。



 再度次に移ると、佐藤章夫 氏の解説を前回言及したサイト「生活習慣病を予防する食生活」の記事から、

牛乳カルシウムの真実
http://www.eps1.comlink.ne.jp/~mayus/lifestyle2/milkcalcium2.html

8. 牛乳は予防にならないどころか骨粗鬆症をかえって助長する

なぜ、牛乳や乳製品のカルシウムが骨粗鬆症の予防にならないのか。前項で、動物性タンパク質・カルシウムの摂取量の多い国ほど骨粗鬆症による骨折が多いというアベロウの研究[8]を紹介した。アベロウはその理由を次のように説明している。牛乳消費量の多い国では牛乳に加えて肉・チーズなどの高タンパク食品の摂取も多い。タンパク質を構成するアミノ酸の中に、メチオニン・システインなどの含硫アミノ酸がある。動物性タンパク質は植物性タンパク質に比べてこれらの含硫アミノ酸を多く含む。含硫アミノ酸は分解されて最終的に硫酸イオンとなり、体液の酸・塩基平衡を酸性側に傾ける。酸性になった体液をアルカリで中和して酸・塩基平衡を保たなければならない。中和に用いられるアルカリ源はカルシウムである。体内のカルシウムの99%は骨に存在する。中和にはもっぱら骨のカルシウムが使われる。実際、動物性であれ植物性であれ、タンパク質の摂取量が増えると尿中に排泄されるカルシウムが増えることは、1970年代に行われた代謝実験でよく知られた事実となっている[12-16]。


 このメカニズムもおかしいだろう。牛乳の話をしていたはずだが、いつのまにか高タンパク質食品の話になってしまっている。牛乳100 g あたりのタンパク質は3.15 g程度とされていて、それ程高タンパク質食品とは思えないのである(同記事中の図8によれば、問題となってくるのはタンパク質の摂取量が一日50gを超えるグループあたりのようにみえるのだが・・・)。

 仮にこれが正しいなら、骨が弱くなるのを防止するために高タンパク質食品の総量を規制する必要があるのかどうかを論じるべきと思われるが、そのような話は余り聞いたことがない。不勉強なだけかもしれないが・・・

 それに、次のような疑問も残る。牛乳、肉・チーズなどはもともと中性食品である。中性のものから化学変化のみで酸性のものが生じるには、どこかにアルカリ性のものが対生成されるはずだろう。仮に酸性のもののみが体液にたまるとしても(かなり考えにくいのだが)、どこかに生成したはずのアルカリ性のものはどこへ行ってしまったのだろうか(似たようなことは骨がとける部分でもいえて、骨のリン酸カルシウムが溶けたとして、リン酸はどこへ行ってしまったのだろうか)。


 以上眺めてみたように、論者によって言うことが違い、それぞれ簡単に突っ込めるのである。やはり、何かがおかしいだろう。牛乳有害説自体が間違っている可能性もあるが、ここではを正しいとの前提なので、論者たちは、意図的かどうかは分からないが、何かを隠しているのではないか、という気がするのである。


 余り各項目別に深堀りしてもいたずらに長くなるだけなので、二つ目の不可解な点を短く指摘しておしまいにしておこう。オスキー氏の著書と同名の、前回言及したサイトから、

『牛乳には危険がいっぱい?』
http://www.koumatsuba.zansu■.com/gyuunyuunihakikengaippai/top.htm (便宜挿入した「■」を削除してください。内容的には本の目次と要旨のみ。)

第9章 牛乳は青少年の精神面に悪影響を及ぼす
 慢性疲労を訴える子どもたち
 [以下略]


 えっー、慢性疲労。オスキー氏の著作を始めて読んだときには、あまり違和感がなかったのだが・・・


 以上をまとめると、「牛乳よ、オマエだったのか」という気がするのは、自分一人だけだろうか。上記に説明した二つの不可解な点については「牛乳容器説」なる呪文を唱えると(この呪文の意味するところは、各自で考えて欲しい)、他の人はどうか知らないが、個人的には多くの疑問点が氷解するのである。

 仮に牛乳容器説が正しいとすれば、理由はよくわからないけど、かつてから世界の各地域において、多量に摂取すると安全でない時期と少量でも安全でない時期とが交互にやってきていたのであろう。3.11後の我が国は、少量でも安全でない時期にあたる地域が多いのではないかと推測される。このような理解によれば、この記事もそれ程驚くこともないだろう。「OK FOOD」のサイトから

♪smile♪のつぶやき 海外産は安全?
2012-08-30 (15:49)
http://okfood.blog.fc2.com/blog-entry-669.html

さて、2012/8/28にsecuritytokyoさんの独自の調査により、ニュージーランド産イージーヨー(ナチュラル)[家庭向けヨーグルト粉末]から

ヨウ素131      不検出
放射性セシウム134  不検出
放射性セシウム137  0.37Bq/kg 検出

と微量ながらにセシウムが検出されました。


 やっとオチまでたどり着いたので、「やっぱ牧草は安全ではないのか」と疑いつつ、最後に、タバコとアルコールの話に戻って終わりにしよう。隠れ蓑だったのか、そうではなかったのかは決め手を欠くのでよく分からないが、それぞれの地域での土壌汚染度を思い出しつつ次のような報道を眺めると、いずれにせよ引き続き警戒した方がよいような気がするのは、多分考え過ぎのせいだろう。それぞれ福島民報と朝日新聞から、

20戸増え377戸 今年耕作する県内葉タバコ農家
2013/05/16
http://www.minpo.jp/news/detail/201305168449

 日本たばこ産業(JT)が葉タバコ購買の際の放射性物質の畑の基準値を、前年の土壌1キロ当たり1157ベクレルから2226ベクレルに緩和したため耕作農家が増えた。乾燥済みの葉を対象に行う購入前検査のセシウムの基準値は引き続き、1キロ当たり100ベクレルとする。


黄金の二条大麦、もうすぐビールに 栃木南部、収穫間近
2013/5/24
http://www.asahi.com/national/update/0524/TKY201305240282.html (動画、写真付き)


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