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ストレス反応と副腎機能 (1/3) セリエ説

2012年07月31日 |  関連(生物学医学)

 前回の記事では副腎関係の疾患を取り扱ったけど、多分あれだけだと分かり難かったのではないかと思うので、ストレスと副腎機能との関係をみていくことにより、●の影響下における副腎機能の重要性をみていこう。今回は、広義のストレスに関するハンス・セリエの学説。

 少し手抜きで、先ずは、某掲示板から発掘しておくと、放射能板から、

137 : 名無しに影響はない(中国地方) : 2012/05/02(水) 16:20:01.30 ID:8bCdASiw [1/1回発言]
  なんでもかんでもストレスで片付けられる。
  ストレスと言っときゃいいみたいな。
  そうじゃなくて、みんな根本から身体が弱ってるんだと思う。


139 : 名無しに影響はない(北海道) : 2012/05/02(水) 16:39:03.29 ID:qEyrmbjp [1/2回発言]
  [中略]
  >>137
  ストレスは、万病の元。

  放射線被曝もストレス(身体的なストレスの一種)で、これを「精神的なストレス」と思い込ませるような報道が続くと思うので(>>130もその一つ)、騙されないように注意した方がよいだろう。


141 : 139(北海道) : 2012/05/02(水) 18:02:33.76 ID:qEyrmbjp [2/2回発言]
  ストレス・セリエ説に関する個人的メモ

  ストレス‐せつ 【ストレス説】
  ttp://kotobank.jp/word/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%B9%E8%AA%AC  [リンクはココ。朝日新聞のサイト「KOTOBANK」から]

  >セリエが体系づけた学説。ストレッサーとよぶ生体に有害な影響を及ぼす要因にさらされたとき、
  >副腎皮質ホルモンの分泌が増加し(警告反応)、次いで全身の防衛反応が起こり抵抗力の増大した
  >状態が維持され(抵抗期)、しかし後にはこの状態が失われ(疲憊(ひはい)期)、病気になるという説。

  〈ストレス〉 ストレスの仕組み-生物、心理、社会的に見た場合-
  ttp://www.pref.kyoto.jp/health/health/health09_b.html [リンクはココ。京都府精神保健福祉総合センターのサイト]

  >急なストレス反応説 セリエの全身適応反応症候群

  >ストレスという言葉をはじめて用いたカナダのセリエは、生体が外部から寒冷、外傷、疾病、あるいは怒り
  >や不安などの精神的緊張(ストレッサー)を受けたとき、これらの刺激に適応しようとして生体に一定の
  >反応が起こることを発見しました。

  >・・・大きく以下の3期に分けることができます。・・・

  >疲はい期[第3の期]では、適応エネルギーの消耗からストレッサーと抵抗力のバランスが崩れ、再び
  >ショック相に似た兆候を示すことになります。体温の下降、胸腺・リンパ節の萎縮、副腎皮質の機能低下
  >などが起こり・・・


  >慢性のストレス反応説 ホメオスタシスの三角形

  >ストレス刺激は、脳の視床下部というところに伝えられます。視床下部は、交感神経と副交感神経を
  >あわせた自律神経系と内分泌(ホルモン)系を統合し、生体のバランスを維持しています。また、
  >免疫系には、生体に異物が侵入すると、それを攻撃する働きがあります。自律神経系と内分泌系に

  >免疫系が加わり、心身のバランスを保つ機構(ホメオスタシス)が維持されていると考えられますが、過剰
  >なストレスが長期にわたってかかることにより、このホメオスタシスが崩れて病気になることがあります。


  ストレスの3つの段階(2)セリエ説
  2009-08-07
  ttp://ameblo.jp/suponta/entry-10315277905.html
  (内容は上のリンクより落ちるけど、行間があいて見やすいバージョン)


 ストレッサーとは、外部から生体に影響を及ぼす刺激のことであり、ストレスとは、その刺激に適応しようとして生体内で一定の反応がおこって歪んだ状態のことである、といえるだろう。

 セリエの学説によれば、このような適応の反応は「全身適応症候群」と名づけられ、

(1) 警告反応期(ショック相と抗ショック相に分けられ、ショック相はショックに対して適応できていない段階、抗ショック相はショックによる生体防衛反応が高度に現れる段階)
(2) 抵抗期(持続するストレッサーと抵抗力とが一定のバランスをとり、生体防衛反応が完成される時期)、
(3) 疲憊(ひはい)期(適応エネルギーの消耗からストレッサーと抵抗力のバランスが崩れ、再びショック相に似た兆候を示す)、

の3期に分けられている。

 この説によれば、警告反応期には副腎肥大、胸腺リンパ組織の萎縮などが起こり、疲憊期に至ってしまうと、体温の下降、胸腺・リンパ節の萎縮、副腎皮質の機能低下などが起こるとされている。これについては、副腎は、警告反応期にはその機能の活性化がおこるものの、疲憊期に至ると疲弊・消耗してその機能の低下がおこるものと解される。

 もう少し詳しく知るために別のサイトを探すと、滋賀医科大学のサイト「痛みと鎮痛の基礎知識」の次の記事がよくまとまっていると思われる。

ストレス stress
http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/react-stress.html (リンクはココ

 ストレスの学説に関し経緯が簡単にまとめられていて、用語の定義のあと、セリエの「汎(全身)適応症候群」、ストレスに反応する生体システム、ストレスに対する自己防衛行動などについて解説がなされている。

 上記リンクの「ストレスに反応する生体システム」部分の要旨を書き出しておくと、
 
 ストレスに反応する生体システム

・ストレス刺激は末梢から感覚神経を介して脳に送られ、情報処理が行われた後、内分泌系、自律神経系、運動系を通してストレス反応が表出される。
(中略)
・ストレス刺激に関する情報は大脳辺縁系で処理された後、神経伝達物質等を介して視床下部へと伝えられる。

視床下部室傍核はストレス応答の司令塔であり、SAM系とHPA系の2つのシステムで担われてる。

SAM axis (視床下部~交感神経~副腎髄質系。sympathetic-adrenal-medullary axis)
副腎髄質や交感神経末端からアドレナリンとノルアドレナリンが分泌される。
・ストレス反応での心拍数の増加、血圧上昇、発汗、血糖上昇、覚醒、闘争反応等の基礎反応の原因となる。

HPA axis (視床下部~下垂体~副腎皮質系。hypothalamic-pituitary-adrenal axis)   
副腎皮質からグルココルチコイド[糖質コルチコイドのこと。主としてコルチゾール]が分泌される。
・グルココルチコイドの作用は血圧上昇、血糖上昇(糖新生の増加)、心収縮力の上昇、心拍出量の上昇、さらにはカテコールアミンの作用に対しては補助作用を示すなど多方面にわたっています。
・ストレス状態におかれた個体にとってグルココルチコイドはカテコールアミン[アドレナリン、ノルアドレナリンの総称]とともに重要な生体防御ホルモンである。

 上記リンクの「ストレスに対する自己防衛行動」部分の要旨を書き出しておくと、

ストレスに対する自己防衛行動

・ストレス反応に対処する戦術に2つの選択肢がある。

(1) SAM系による行動制御→攻撃または闘争・逃走反応

(2) HPA系による行動制御→フリージング

 ・ストレスが強すぎたり、長く続く場合、あるいは、個体がストレスに対処できない場合には、受動的ストレス反応が現れる。闘わずにじっと動かなくなり(フリージング)、行動意欲も減退する。
 ・この時、HPA系が活性化されて、いわゆるセリエの3徴候が出現する。
 ・このタイプのストレス反応では、不安や抑うつなど心理的にはネガティブな面が現れ、さまざまのストレス性疾患が発生する。


 ストレス反応において、副腎が重要な役割を果たしていることがわかるだろう。

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注)・8/1 誤字脱字修正。


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