goo blog サービス終了のお知らせ 

ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

2023年8月にテーマ・タイトルを変更(旧は外国語関連)
2015年4月にテーマ・タイトルを変更(旧は健康関連)

はじめに・・・

 gooのサービス終了に伴い移行を迫られているところ、推奨移行先の一つの "Hatena Blog" に本年8月の間に移行中です。移行先のアドレスは:
https://site2508epsilon.hatenablog.com/ となります。(2025年8月記)

 動物の生活様式の本質は遺伝因子に刻まれており、ヒトにおいても難しいことをせずにそのような生活様式を取り入れてみることが健康への第一歩と思います。なぜなら、生物の進化を眺めると、生息環境内で成り立ち得るある種の特徴を持った生態系があり、そこに依存する姿・形が想定する生活様式に倣うことが最も簡単と考えるからです(姿・形は生物側による長期間にわたる最適な変化の蓄積の賜物。例:チンパンジーはツル植物に覆われた密林での果実食に適応し、そのために手及び口の形や移動方法もこれに対応)。
 動物であれば何を食べて生きていくのかということが課題で、生活様式を変えようとすると、野生動物の場合は形質形態を変えるべく遺伝因子の変化を伴います。ヒトはいつの頃からか文化を持つようになり道具・技術を進展させてきましたが、これまでの生活様式を反映した遺伝子による自動制御を活用しないのは勿体ないと思います。(2024年9月記)


 外国語テーマも長く続かずなので、従来の健康ブログに戻してみようかと思いまして・・・ 備忘録的に残しておくと旧タイトルは「タイ語、漢字を使って覚えるの?」でした。(2023.8月記)


 従来の健康ブログ時に記事を書いていて、何故か、そろそろ外国語でも勉強した方がより良いかなーと思いつきまして、以来ちょこちょこと続けてきましたが、なんとなく、ある事を覚えると別の事を忘れてしまうモードに入ってしまったようで、知識量が停滞しつつあるような感じになりました。
 そこで、本ブログを外国語学習ブログに変更して、自分の備忘録的にまとめておこうかなと思いまして・・・。
 しかしながら、少し飽きたのか内容を増やしすぎたのか、書くのに手間がかかるようになり、時間がとれない時は、別ブログ「単語帳の素材?」にてライトな記事を書くことにしました。(この別ブログも徐々にライトでなくなり、記事を500本ほど書いたところで滞り中・・・)
 なお、健康ブログ時代の記事は、コチラの 入り口 からどうぞ。(2015.4月記)
 最近の健康系記事はカテゴリー「タイ語以外(健康2019)」からどうぞ。

福島の健康調査 (4) 甲状腺検査

2012年06月21日 |  今日のメモ

 前回に引き続き、福島県の「県民健康管理調査」についてみていこう。今回は、詳細調査のうち、甲状腺検査。

 5本立て調査についておさらいしておくと、前回紹介した福島県のサイトのほか(県民健康管理調査について http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=24287)、福島県立医大のサイト「放射線医学県民健康管理センター」もあるようなので、そこから引用すると、

県民健康管理調査とは?
http://fukushima-mimamori.jp/overview/ (リンクはココ

「県民健康管理調査」の内容は、次の5項目です。

   1. 基本調査(問診票による被ばく線量の把握)
   2. 甲状腺検査
   3. 健康診査
   4. こころの健康度・生活習慣に関する調査
   5. 妊産婦に関する調査

これらの関係を図的にみておくと、福島県の上記サイトの資料から(「県民健康管理ファイル」の記録編・資料編 http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/fairu.pdf リンクはココ)、


                図 福島県の県民健康管理調査の概要
                    (出典:上記資料、11頁)

図の一番上に「長寿健康県日本一を目指して」と、この資料集のタイトルが読み取れる。本気なのだろうか、いったいどういう根拠でそうなるのか、といった疑問がいろいろわいてきてしまう(疫学調査の対象となった原爆被爆者が長生きした点を念頭に置いているのだと想像するが、それはかなり偶発的な出来事なのではないだろうか)。まあ、pdfファイルを開かないと資料集のタイトルがわからないようになっているので、多少の配慮がなされているのかもしれない。


 本題に戻り、先ずは、甲状腺検査の概要についてみておこう。福島県の冒頭サイトの資料から(第6回「県民健康管理調査」検討委員会の資料 2012/4/26公表 http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/240426shiryou.pdf リンクはココ)、

県民健康管理調査「甲状腺検査」の実施状況について (資料3)

1 調査目的
 今回の東日本大震災による東京電力㈱福島第一原子力発電所事故による健康の影響については、現時点での放射線量等の状況から考えて極めて少ないと考えられているが、チェルノブイリ原発事故後に明らかになった健康被害として、放射性ヨウ素の内部被ばくによる小児の甲状腺がんが認められたところ。
 そのため、子どもたちの健康を長期的に見守り、現時点での甲状腺の状況を把握するとともに、生涯にわたる健康を見守り、本人や保護者の皆様に安心していただくため、平成23年10月より甲状腺検査を実施している。

2 対象者
平成23年3月11日(震災時)に0歳から18歳までの全県民(県外避難者も含む。)約36万人
具体的には平成4年4月2日から平成23年4月1日までに生まれた県内居住者(県外避難者を含む。)

3 実施計画等
(1) 検査方法
 甲状腺の超音波検査を実施し、しこり(結節性病変)等が認められた場合は、福島県立医科大学(以下「福島医大」という。)附属病院等において二次検査(詳細な超音波検査、採血、尿検査、必要に応じて細胞診等)を実施する。
(2) 実施スケジュール
 平成23年10月から平成26年3月までに、先行検査(現状確認のための検査)として対象となっている全県民に検査を実施する。
 また、平成26年4月以降は、本格検査として20歳までは2年ごと、それ以降は5年ごとに検査を行い、生涯にわたり県民の健康を見守る予定。
 なお、対象者を平成24年4月1日までに生まれた者に拡大して行う。
 [後略] (同資料の9頁)

対象者は、3.11時点で0歳から18歳だった県内の子供たち、約36万人。検査(1次検査)は、超音波検査のみ。事故後3年間で一巡し、その後は2年毎に(20歳以降は5年毎)。

 今年1月の「県民健康管理調査」検討委員会(8名構成で座長は山下俊一氏)の第5回会合において、超音波検査結果の判定基準がきまったようで、次のように公表されている(第5回「県民健康管理調査」検討委員会の資料 2012/1/25公表 http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/240125shiryou.pdf リンクはココ。なお、この基準をもとに3,765人分の判定結果の概要も公表)




 その後、4月の同委員会の第6回会合後に、38,114人分の判定結果の概要が公表されている(第6回「県民健康管理調査」検討委員会の資料 2012/4/26公表 http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/240426shiryou.pdf リンクはココ)。



この4月公表のデータに関しては、チェルノブイリ事故時より東電福一による健康被害の方が早く出てきているのではないかという観点から、このブログでも以前にも記事にしたところ(詳細はココ)。また、嚢胞については、20mm以下がひとくくりになっており、情報開示として適切でないとの指摘もなされていた。

 最新のものでは、今月12日の同委員会の第7回会合後に、次のような38,114人分の検査結果の分析が公表されている(第7回「県民健康管理調査」検討委員会の資料 2012/6/12公表 http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/240612shiryou.pdf リンクはココ)。3月末の検査結果を一挙に出さずに、小出しにしているようだ。




この6月公表での最大のポイントは、結節・嚢胞の大きさ別の度数分布がわかったことだろう。とりあえず、表にまとめておくと、

表 超音波検査による結節・嚢胞の大きさの分布
 大きさ              結節        嚢胞
 合計             38,114人    38,114人
 なし              37,729      24,730
 あり
 5mm以下            201 *     12,414 *
 5mm超10mm以下         126            949 *
 10mm超15mm以下        26            18 *
 15mm超20mm以下        18              2 *
 20mm超25mm以下          9               1
 25mm超30mm以下          4                0 **
 30mm超35mm以下          1                -
 35mm超               0        -
注)「*」はA2判定に該当するものの印。「**」は25mm超のもの全部を含む。
出典)上記資料、14-15頁。

嚢胞ありで5mm超20mm以下の被調査者が969人(全体の2.5%)もいることが判明し、批判を浴びているようだ。「木下黄太のブログ」から

世田谷区、小学生1年生が「大人なら過去に心筋梗塞か?」という心電図の異常。母親は甲状腺にしこり。
2012-06-14 00:00:03
http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/b89fdd00689fa4027967c4adc47bfe7a (リンクはココ。記事の後半を参照)

5mm以上甲状腺のう胞「チェルノブイリよりはるかに高い発生率です」驚愕するヘレン・カルディコット女医。
2012-06-14 17:05:04
http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/202fd21c72ab7b33120b23bae42704c5 (リンクはココ


 この甲状腺検査に対する批判は、これまでいろいろ出てきている。主なものは、次のような感じだろうか。

(1) 1次検査に、血液検査がない。(超音波のみ)
(2) 検査頻度が少なすぎる。(当初3年に1回、その後2年毎。20歳以上だと5年毎)
(3) 検査結果の判定は、そもそも正しいのか。(判定基準の正当性)
(4) 検査結果の詳細を被調査者側に明らかにしない(個別の説明なし、エコー写真もなし)。
(5) 追加検査が困難になっている。(山下俊一氏による日本甲状腺学会会員宛の追加検査不要説明依頼の文書)
(6) 2次検査で何故か細胞診をしない。

 上記(1)については、例えば、次のような指摘がある。

福島の子供たち 甲状腺エコー検査OKでも腫瘍出るのは4年後
2011.11.02 07:00
http://www.news-postseven.com/archives/20111102_68134.html (リンクはココ

[鎌田實氏(諏訪中央病院名誉院長)の談話] チェルノブイリでは、甲状腺がんや機能低下症が多発した経緯があり、多項目の検査をしたほうがよいと考えた。腫瘍を見つけるだけのエコー検査だけでよいのだろうか。血液に異常がある子を見つけ、厳重に管理することで腫瘍の早期発見も可能になってくる。
 腫瘍が出来るのは、4~10年後の可能性が高い。

鎌田氏が指摘するように、放射性ヨウ素の被ばくについては、甲状腺がんにならずとも、甲状腺の機能異常がみられる可能性がある。群馬の専門医の調査によれば、次の点が明らかになっている。

原発事故の後に甲状腺機能低下1175人のうち939人(80%) 群馬の院長調査
2011.11.23
http://savechild.net/archives/12626.html (リンクはココ

 宮下[和也・宮下クリニック院長(同県高崎市)]は、同クリニックの患者のうち、甲状腺機能が正常な状態で安定し、薬の中断や変更がなく、ヨウ素の過剰摂取や妊娠・出産、花粉症など甲状腺機能に影響する他の要員もない1175人について、事故前と事故3か月以内の甲状腺ホルモン「フリーT4」と甲状腺刺激ホルモン「TSH」の変化を調べた。

 その結果、939人(80%)で、フリーT4が低下し、低下を補うために分泌されるTSHは上昇した。・・・

健康な人に対しこの高い割合で影響があるとは思われないが、もともと甲状腺が弱い体質の人なら問題が生じる可能性があるだろう。


 上記(2)~(5)については、例えば、次のような指摘がある。

J-CASTニュースから、
郡山の4歳児と7歳児に甲状腺がんの疑い!?チェルノブイリと同じ健康被害か
2012/2/23 18:38
http://www.j-cast.com/tv/2012/02/23123195.html?p=all (リンクはココ

 福島県の健康管理調査検討委員会座長「自覚症状なければ追加検査必要なし」

 福島県で行っている甲状腺検診は3年かけて一巡するが、甲状腺学会の関係者はこう疑問を呈している。
「動物実験ではたしかに被曝しても一年で発がんすることはないという結果が出ているが、チェルノブイリでは事故直後のデータをフォローしていないので、放射能に対して感受性の強い一歳や二歳の子どもが、事故後一~二年後まで受診しなくても大丈夫だといいきれるのか」

 しかも、福島ではエコー写真を見せてもらうこともできないし、県内でセカンドオピニオンを仰ぐことも困難なのだ。それは「検討委員会」の座長・山下俊一福島県立医大副学長が、全国の日本甲状腺学会員あてに「次回の検査を受けるまでの間に自覚症状等が出現しない限り、追加検査は必要がない」というメールを送っているからだ。・・・

 

中日新聞からは、
福島の子 3割以上“良性”のう胞 甲状腺検査で不安は消えず
2012年5月18日
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20120518160011991 (リンクはココ。引用するとキリがないのでリンクを参照してほしい)

 上記(6)については、今年2月の週刊文春の記事(おしどりマコ氏・「週刊文春」編集部によるもの)の指摘がある。同記事の概要は、J-CASTニュースの上述の記事から引用すると、

 「『今までにこんな例は見たことがありません』 超音波の画像を診た医師はそうつぶやいたという。七歳女児(検査当時・以下同)の小さな喉にある甲状腺に、八ミリの結節(しこり)が、微細な石灰化を伴ってみられたのだ」
 「週刊文春」の巻頭特集「衝撃スクープ 郡山4歳児と7歳児に『甲状腺がん』の疑い!」は、こうした書き出しで始まっている。

原発事故のあと3か月以上福島暮らし

 北海道へ自主避難している親子309名(子供139名、大人170名)を対象に、昨年末から地元の内科医がボランティアで甲状腺の超音波検査を行っている。郡山から夫と離婚して避難してきた母親の7歳の姉に結節が見つかり、2歳の妹にも2ミリのものが見つかったのだが、妹のほうはがんの疑いはないという。

この文春記事のポイントと個人的に理解しているのは、togetterから引用すると、

2012年2月25日(土) IWJCh4 自由報道協会主催 おしどりマコ氏・「週刊文春」編集部緊急記者会見 @KW36_wavさんのつだり単独まとめ
2012/02/25 20:52:01
http://togetter.com/li/263517 (リンクはココ

おしどりマコ「甲状腺がんの被曝由来は乳頭癌が多い、95%。うち細胞診が甲状腺がんの乳頭癌で一般的な診断方法。細胞診は短時間で、苦痛も少なく最も一般的な方法の一つだと。今回疑われる乳頭癌の細胞診未実施について疑問を」 KW36_wav 2012/02/25 19:33:48

おしどりマコ「やはり、疑いながらも細胞診がされてないことについてインタビューをしたお母様が不安だと」 KW36_wav 2012/02/25 19:34:16

週刊文春「二名の方は細胞診を受けてない。ガンではないと厳密には確定してないというのが編集部の理解」 KW36_wav 2012/02/25 19:34:47

おしどりマコ「見出しについては口を挟めないが、良性であると言うより、良性の可能性ながら経過観察というのが今回では最も正確ではないかと」 KW36_wav 2012/02/25 19:35:18

おしどりマコ・週刊文春編集部側のこの認識は、かつての山下俊一氏の談話から考えると、かなり正しいのではないだろうか。山下氏は、「チェルノブイリ原発事故と甲状腺がん」と題した講演の中で、次のように語っていたようだ(ブログ「院長の独り言」の記事「福島-子どもの甲状腺にしこり(追加検査なし)」 2012年01月31日 http://onodekita.sblo.jp/article/53386380.html から。リンクはココ)。

 放射線誘発による甲状腺がんは組織学的に大半が乳頭癌です。その為、予後が良いのが特徴ですが、小児の場合には触診では進行がんしか見つからず、超音波診断による結節異常に対する穿刺吸引針生検と細胞診が重要です。特に小児甲状腺がんの場合には典型的な乳頭癌よりも、硬化がんタイプで線維化や石灰化の強い例が多く存在します。
 また、1cm以下の結節でも早期に頚部リンパ節への移転や肺移転の頻度が高いのが特徴です。・・・

 いろいろと活躍されている山下氏。前にも紹介した独シュピーゲル誌とインタビュー際の関係の談話をみておくと、ブログ「EX-SKF-JP」から、

放射線研究で世界に冠たろうとする山下俊一教授、独シュピーゲル誌とインタビュー
Saturday, August 20, 2011
http://ex-skf-jp.blogspot.jp/2011/08/blog-post_9917.html (リンクはココ

シュ:子供についてはどうか。

山下:18歳未満の子供全員について甲状腺の超音波検査を実施したいと考えています。全部で360,000人です。被曝してから甲状腺がんを発症するまでには約5年かかります。それはチェルノブイリの経験で明らかになったことです。

ここでは、甲状腺がん、それも約5年後以降に発症するものに言及している。これは、チェルノブイリ事故に伴い疫学的に検証されているコンセンサス的な内容だ。

 ということは、コンセンサス以外はみたくないという誘引が働いているのだろうか。つまり、がん以外の甲状腺の機能異常には興味はないし、むしろ見つかるのは望ましくない、ということなのだろうか。あるいは、甲状腺がんは約5年後以降に発症するものにしか興味はないし、それより前に見つかるのは自然発生だろうけど望ましくない、ということなのだろうか。うーん、よくわからない。

 いろいろな批判があるけど、最大の問題点は、追加検査をしてもらえない、あるいはセカンド・オピニオンが得られない、といった状況にかなり近い状態が発生していることだろう。

週刊金曜日ニュースから、
異常数値が出る子どもを放置――山下氏の指示を黙認する政府に怒号
2012 年 6 月 20 日  5:56 PM
http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?p=2135 (リンクはココ

・・・「県民健康管理調査」検討委員会の山下俊一座長が、子どもの甲状腺再検査を封じている問題で六月一日、衆院議員会館内で政府交渉が開かれた。・・・

こうした事態は、噂話のレベルだと、紹介状ありでおもむいた専門病院での取り組みにも影響を与えているのかもしれない。ツイッターから、

@GoodBye_Nuclear
お母様の承諾を得てTW。当院エコーで甲状腺に微小石灰化を伴う数ミリ不整型結節が見つかった小学女児。紹介状持参で某大学教授の診察を受けた。1分程のエコーで「なんともない」。さらに「お母様は神経質」。当院エコーは私も立会い、超音波検査士と専門医も「悪性が否定できず」の見解だったのに。
1:24am 火曜 6月 19
 

 ついでに、福島県の在住の方が14項目の検討・要望事項を福島県立医大の「放射線医学県民健康管理センター」などに送付し、その回答を入手したようなので、紹介しておこう。ブログ「人生二毛作の田舎暮らし」から、

福島医大から回答!
2012/06/07 22:31
http://49981367.at.webry.info/201206/article_5.html (リンクはココ

福島医大への要望!
2012/05/23 09:08
http://49981367.at.webry.info/201205/article_18.html


〔関連記事〕
福島の子供の甲状腺の異常  2012/5/3 (既出)
甲状腺の異常 〔YNNチェルノブイリ報告から〕  2012/5/30

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〔メモ〕 認知症の増加、若年性認知症の調査

2012年06月19日 |  今日のメモ

 ちょっと手抜きで、今日の巡回でみつけた認知症関係の記事を二つメモしておこう。東京新聞から、

認知症、在宅ケア強化 専門家が家庭訪問 
2012年6月18日 20時26分
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012061801002308.html (リンクはココ

 厚生労働省は18日、認知症患者の急増に対応するため、看護師らによる専門家チームが認知症と思われる高齢者宅を家庭訪問し、早期に医療支援に着手することを柱とした報告書をまとめた。認知症になっても安易に精神科や介護施設に頼らず、住み慣れた自宅で生活できるように在宅ケアを強化する。・・・(強調は引用者)

若年性認知症 患者の6割「不安」 群馬県が初調査
2012年6月19日 11時02分
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012061990110209.html (リンクはココ

 六十五歳未満で発症する「若年性認知症」の初めての実態調査を群馬県がまとめた。患者の六割が「不安を感じている」と回答し、心配事の上位には「経済的なこと」「家族の健康」が並んだ。・・・

 調査は昨年四~九月、県内の医療・福祉機関千八百四十カ所に協力を依頼して実施。千百五十二カ所から回答(回答率62・6%)があり、認知症患者数は計三百二十九人だった。

 このうち七十二人が詳しいアンケートに答え、認知症の症状があったのは全体の六割強(四十六人)。症状別では不安(二十四人)、暴力・暴言(十九人)、抑うつ(十八人)が上位だった。患者の年齢は五十代(百七人)と六十代(百八十三人)を合わせると全体の九割。十歳が一人、二十代が五人と若い世代でも見られた。

 認知症については、gooヘルスケアから、

認知症性疾患
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10410400.html (リンクはココ

原因は何か
 認知症の原因にはいろいろあります。たとえば、脳血管障害、脳外傷、脳腫瘍(のうしゅよう)や脳炎などで、脳の広い部分が侵されると認知症が起こります。主に50歳以上で起こる認知症の多くは、表2[リンク先参照]に示した脳の老化と密接に関連した認知症性疾患です。

 これらのうち、アルツハイマー病、レビー小体型(しょうたいがた)認知症、血管性認知症が三大認知症と呼ばれ、頻度の高いものです。 (強調は引用者)

 血管性認知症(多発梗塞性認知症などの梗塞性認知症、出血性認知症など)と聞くと、以前に紹介したチェルノブイリでの経験についての河田昌東氏の次の談話を思い出してしまう(詳細はココ)。

「最も多いのは心臓病です。ほかに顕著なのが脳血管病、糖尿病、先天異常そして免疫力低下です。」


 おまけで別の資料も付けておくと、サイト「よなごキッズ.COM」から、

B-1:脳血管性認知症 Vascuiar Dementia
http://www.yonago-kids.com/sick-Dimentia.html#DIMEN-B1-ApoDime (リンクはココ

概念 
 脳血管性障害による大脳半球の病変に基づく認知症を脳血管性認知症と総称する.
 梗塞の多発を示すことが多く,多発梗塞認知症(multi-infarct Dementia)とも呼ばれる.
 老年期認知症の中で占める割合は,欧米では10~20%であるとされているのに対し,わが国では約50%であり,頻度が高い(強調は引用者)

ついでに、gooヘルスケアから、

脳卒中(脳血管障害)
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10810100.html (リンクはココ

脳卒中とは
 脳卒中という言葉は一般的な用語であり、医学用語ではありません。正式には脳血管障害といいます。脳卒中の卒は卒倒(そっとう)(突然倒れる)の卒で“突然に”の意味、中は中毒(毒にあたる)の中で“あたる”という意味ですから、脳卒中とは脳の病気で突然に何かにあたったようになる(倒れる)ことを意味します。 ・・・

脳血管障害の分類
 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3つが代表的な脳血管障害です。


〔関係記事〕
河田昌東 著 「チェルノブイリと福島」  2012/5/10 (既出)
宮城での心不全、急性冠症候群、脳卒中の増加 2011.3-4月  2012/5/24

コメント

福島の健康調査 (3) 基本調査

2012年06月17日 |  今日のメモ

 遅ればせながら、福島県の行っている健康調査の全体像を把握しておこう。福島県のサイトから、

県民健康管理調査について
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=24287 (リンクはココ

「県民健康管理調査」について
 福島県では、原子力災害による放射線の影響を踏まえ、将来にわたる県民の皆様の健康管理を目的とした「県民健康管理調査」を実施しています。
 「県民健康管理調査」の内容は、次のとおりです。

1 基本調査(問診票による被ばく線量の把握)
2 詳細調査(健康状態の把握)
 ・甲状腺検査
 ・健康診査
 ・こころの健康度・生活習慣に関する調査
 ・妊産婦に関する調査

正式名称は「県民健康管理調査」で、調査内容は5本立てのようだ。基本調査に4つの詳細調査。

 とりあえず今回の記事では、基本調査についてみてみよう。冒頭のリンク先から、

県民健康管理調査「基本調査」について

 「基本調査」は、原子力発電所の事故後、空間線量が最も高かった時期における放射線による外部被ばく線量の推計等を行うため、全県民の皆様を対象に実施しています。皆様の3月11日~25日の行動記録を中心に、問診票により調査を行います。 外部被ばく線量は、「いつ」、「どこに」、「どのくらい居たか」、「どのように移動したか」など、皆様の行動記録の情報に基づいてしか推計することができません。・・・

 外部被ばく線量の推計結果は御回答くださった方お一人お一人に必ずお知らせしますので、今しばらくお待ちくださるよう、お願いいたします。・・・

問診票形式の調査で、県民一人ひとりの行動を把握するものらしいが、外部被ばく線量しか出さないようだ。内部被曝は、どうするつもりなのだろう。特に、放射性ヨウ素の初期被ばくは甲状腺への影響が顕著であり、注目すべきものと思うのだが・・・

 これでは多分、県民の間で評判が悪いだろう、と容易に想像が付くのではないだろうか。噂話だとこんな意見もみかける。ツイッターから、

@ikarostayuu
@to_ttori そうね、通りがかりの人など殺さないで、福一の危険区域の仕事をすれば確実なのにね。ただ被曝は人それぞれなので、そのデータが欲しいから、健康調査票をしつこく要求してるんでしょう。県民の多くはモルモットになってたまるかと提出してませんがね。数値を聞けば無駄だもの。
11:07am 土曜 6月 16

住民からみると「モルモットになってたまるか」という状態らしい。仮に自分が調査対象者だとしても、回答するメリットがみえるまで出さないだろう、と感じる。

 ここまでこじれた原因の一つには、地元紙に掲載された論説が思い当たる。福島民報に今年2月1日に掲載されたらしい「菊池哲朗の世相診断」(同氏は、前毎日新聞社主筆で福島市出身)のことだ。ブログ「原発問題」(主はジョージ氏)に全文があるので、その一部を借りてくると(記事「福島民報が福島県による人権蹂躙を幇助し、国家の棄民政策を煽る狂気思想、自殺行為の喧伝を行ってしまった」 2012.02.25 Sat http://george743.blog39.fc2.com/blog-entry-1200.html リンクはココ
 
【県民の健康調査】日本、人類への貢献(2月1日)
 [中略]

 今回つくづく人々が感じたことは、放射線による健康被害がどれほど浴びるとどんなものなのか、実は全然分かってないという事実だ。国や国際原子力機関(IAEA)なる組織も、学会も、個別の学者も、各種研究機関も、医者も、電力会社も、誰も彼も結局は、それぞれ説はあっても、確定的に人々を納得させる根拠ある説明はできていない。根拠になる正確な統計や調査がないからだ。
 
 結局いまだに各人どれを信じるかであって、確かな根拠はないに等しい。実感的にまあ大丈夫かと自らを納得させているだけだ。
 
 だから、いずれどうせまた世界のどこかで起こるであろう放射能被害に備えて、健康被害の有無を含めた情報を蓄積しておくことは、人類への貢献なのだ。それはとりもなおさず日本のあるいは日本人の、人類に対する医療的な社会倫理的な責任で、つまり医療制度全体のまさに根幹だ。 (強調は引用者)

かなりの上から目線で、すごい論説だ。健康被害がどれほど出るかわかっていないから調査に応じろ、応じることは世界のどこかで起こるであろう放射能被害に備えるための人類への貢献だ。こんなの読んだら、調査対象者がその置かれた立場に気づくだろと思わなかったのだろうか。それにこの菊池氏は、「人類への貢献」を持ち出しながら、チェルノブイリの人々の貢献(経験)から学び予防原則を適用し、福島の人々の被害を最小限にとどめるということは全く念頭にないようで、恐れ入る。

 このような論説を掲載するということは、福島民報は、山下俊一氏(福島県立医大副学長)が行いたいとする「科学界に記録を打ち立てる大規模な研究」を全面的にサポートするという姿勢なのだろう。山下氏は、昨年8月の独シュピーゲル誌とインタビューで次のように語っている。同記事の全文和訳がブログ「EX-SKF-JP」の記事にあるので、その一部を借りてくると、

放射線研究で世界に冠たろうとする山下俊一教授、独シュピーゲル誌とインタビュー
Saturday, August 20, 2011
http://ex-skf-jp.blogspot.jp/2011/08/blog-post_9917.html (リンクはココ

[シュピーゲル、コーデュラ・マイヤー記者]:研究ではどういうことを調べるつもりなのか。

山下[俊一教授]:被験者を3つのグループに分けます。原発労働者、子供、それから一般住民です。労働者は高線量の放射線に被曝しています。がんをはじめとするいろいろな疾患について、放射線の影響を追跡調査することが絶対に必要です。一般住民はさらに2つのグループに分かれます。比較的低線量の被曝をした住民と、比較的高線量の被曝をした住民です。福島県の保健福祉部では、26,000人の住民を対象に先行調査を行なっており、まもなく問診票の回収を終える予定です。

シュ:でも住民自身は自分の被曝量がわからない。

山下:それは私たちが突き止めないといけません。3月11日には何時にどこにいたかをきき、以後も3月中の毎日について同じ質問をしています。それから、事故後最初の2週間に何を食べたかや、自宅やアパートが木造かどうかといったことも確認します。そうしたデータと、放射能の雲の分布状況を組み合わせて、それから被曝線量を計算するのです。

シュ:どれくらいの人が被験者になるのか。

山下:200万人の福島県民全員です。科学界に記録を打ち立てる大規模な研究になります。政府は原発事故の被害者に対する補償金について先ごろ決定を下しました。そうした補償プロセスを通じて、県外に避難している住民の方々にも連絡を取りたいと考えています。 (強調は引用者)


 基本調査の人気の無さをデータで確認しておこう。冒頭のリンク先にある資料「第7回『県民健康管理調査』検討委員会の資料」(平成24年6月12日公表 http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/240612shiryou.pdf リンクはココ)から、

県民健康管理調査「基本調査」の実施状況について

1 問診票の回答状況
 平成24年 5 月31日現在、全県ベースでは対象者2,056,994人のうち、465,041人か ら回答が寄せられ、回答率は22.6%となっている。
 先行調査地区については、回答率が半数を超える55.2%に達しているのに対し、 全県民調査においては、22.1%に留まっている。・・・ (4頁目の資料1から)


約2割の回答率。他の調査をみると、5割程度はあるような印象なのだが・・・。このままでは「科学界に記録を打ち立てる大規模な研究」への道はかなり険しそう・・・

 ちなみに、上記の資料が公表された際の、基本調査についての報道振りもメモしておこう。例えば、朝日新聞から、

外部被曝、最高25ミリSv 福島県推計
2012年6月12日22時54分
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201206120722.html (リンクはココ

 福島県は12日、東京電力福島第一原発事故後4カ月間の県民の外部被曝(ひばく)線量について、新たに約1万5200人分の推計値を発表した。原発作業員らを除く一般住民の最高は25.1ミリシーベルトだった。・・・

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福島の健康調査 (2) 妊産婦

2012年06月15日 |  今日のメモ

 また、短い記事を一つ。河北新報から、

原発事故後流産増えず 福島県が妊産婦を調査
2012年06月13日水曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/06/20120613t61005.htm (リンクはココ

 少し引用すると、

 福島県の妊婦の流産や中絶による非出産率が福島第1原発事故の前後で増減していないことが12日、福島県と県立医大の実施した「妊産婦に関する調査」で分かった。
 昨年3月の原発事故当時に妊娠中で母子手帳の交付を受けた妊婦のうち、非出産率は2.4%にとどまった。同大の藤森敬也教授によると、原発事故前の2010年の非出産率は2.9%で事故前後で統計的な有意な差はないという。
 事故当時の非出産率の内訳は流産1.5%、中絶0.4%、死産0.5%だった。・・・

 調査は10年8月~11年7月に県内の市町村で母子健康手帳を交付された妊婦1万5957人を対象に実施。回収率は57%だった。

非出産率について特段の異常はないという調査結果であり、以前の記事(福島における出産異常の状況(3.11後))と同様の結果となっている。

 果たして本当だろうか。

 SPEEDIの計算結果を隠蔽した自治体による調査だから、余り信用できない気が個人的にはしている。それに噂話をみていると、ちょっと違う印象を持つのだが・・・

@hiromi_8
飯塚市の健康関連職の方の情報「自分が知るだけでも飯塚市でもこの1年で指が6本の子供が2人生まれている。」@onodekita @KinositaKouta #iizuka #tagawa
6:56pm 土曜 6月 09


@KinositaKouta
西日本の産婦人科関係者から、そこの病院で奇形が多くなっているという懸念の声。食べ物による内部被ばくの影響も考えるべきか。もちろん、わずかな放射性物質のなんらかの粒子によって広範囲にそうした現象が起きる可能性も否定はできない。慎重に検討する。
11:33am 日曜 6月 10

@Catherinemama
@KinositaKouta 東京在住で、妊娠しています。胎児の成長が悪く、おととい「染色体異常かもしれない」と言われました。
7:15pm 日曜 6月 10

@panda_tokushima
@KinositaKouta 私の友人が今年1月に滋賀の個人病院で出産しましたが、同時期に産まれた5人のうち一人は未熟児、もう一人は耳が聞こえない+心臓がよく止まる。その後の母子の集まりで知ったそうです。幸い、食に気を配っていた友人の子どもは元気です。
8:51pm 日曜 6月 10

 

7/23追記
 変な記事をみかけたので、メモ。特段新たに報道発表があったわけでもないのに、何故か古い公表内容(6/12に公表したデータ9,024件の集計結果)を約1か月遅れで記事にしたのだろうか。福島民友から、

放射線影響、妊産婦26%が不安 福島医大調査
2012年7月16日
http://www.minyu-net.com/news/news/0716/news1.html (リンクはココ

 福島医大などが・・・実施した、県内の妊婦や出産後の母親に対する調査で、「(最近1カ月で)気分が沈んだり、憂鬱(ゆううつ)な気持ちになったことがあるか」との設問(4月13日集計)に全体の26.2%が「ある」と答え、母親が大きな不安を抱えながら子育てしていることが15日、分かった。・・・


〔関連記事〕
福島における出産異常の状況(3.11後)  2012/4/17 (既出)
胎内被曝 〔YNNチェルノブイリ報告から〕  2012/4/16

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注)7/23 追記。

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福島の健康調査 (1) こころの健康度・生活習慣

2012年06月13日 |  今日のメモ

 短い記事を一つ。ブックマークを整理していて出てきた4月の記事。

 共同通信から、

避難住民5%に「心のケア」必要 福島県の健康調査
2012/04/26 20:17
http://www.47news.jp/CN/201204/CN2012042601001856.html (リンクはココ

・・・福島県は26日、避難区域の住民約21万人を対象とした精神的ストレスの調査結果を発表。3月末までに回答があった8万8613人のうち4602人(5・2%)が、臨床心理士などによる早急な支援が必要な状態と指摘した。


 調査回答者のうち、5.2%(4,602人)に早急な支援が必要と指摘。

 福島でストレスの調査をしているらしい。建前では、精神的ストレスだが、本音も同じだろうか?


〔関連記事〕

放射線療法の副作用との類似性 (3)  感情の変化(症状)  2012/6/9

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