手抜きで短く、他力本願でメモを。
福島県が「県民健康管理調査」において実施している甲状腺検査については、様々な批判が出されている。以前の記事では市民と科学者の内部被曝問題研究会(略称:内部被曝問題研)が作成した公開質問状について触れたけど(記事はココ)、今回は、別の似たような批判をメモしておこう。ブログ「安禅不必須山水」の記事から、
甲状腺検査「福島県立医大メソッド」について
2012/11/19
http://ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/2931269/
【緊急資料11月16日】
甲状腺検査・診断における
「福島県立医大メソッド」について
2012.11.16 田島直樹
一般市民、市民と科学者の内部被曝問題研究会医療部会員
私[田島氏]は、これまでの鈴木眞一氏講義を視聴して、甲状腺検査・診断における「福島県立医大メソッド」には、多大な疑問をいだくようになりました。・・・
有識者や医師の皆さんの中には、鈴木眞一教授の説明を、あたかも専門的かつ技術的なもので、純粋に学問的なものだという人がいます。しかし私が精査した限りでは、決してそのようなものではありません。
“ 福島の子どもたちにはチェルノブイリのような放射線を原因とした甲状腺がんは決して起きないんだ ”
という結論ありきのもので、行政的な判断を優先させて、住民に押し付けるものです。 これでは、子どもの健康を憂慮する保護者の方々の安心・安全には程遠いものといえましょう。・・・
長編であり部分的に引用も難しいので、詳細は、上記記事にて確認してほしい。
甲状腺検査については、各方面からいろいろ批判を受けたためなのか、福島県側は、今年10月になって住民説明会を企画したようだ。来年3月までに10か所程度で実施するらしい。福島県のサイトから、
平成24年10月22日 県民健康管理調査「甲状腺検査」説明会開催について
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/241022koujousensetumeikai.pdf (pdfファイル)
県政記者クラブ各位
県民健康管理調査「甲状腺検査」説明会開催について
平成24年10月22日
福島県
福島県立医科大学
「甲状腺検査」住民説明会の開催日程は以下の通り決定しました。この説明会は、現在実施している「甲状腺検査」の内容、甲状腺に関する医学的特徴等を紹介、説明するものであり、甲状腺検査の理解促進を図り、もって、小児甲状腺がんに対する県民の不安の軽減に資することを目的としています。
今回日程決定した3都市以降も順次、開催地を拡大し、最終的には年度内に10回程度の開催を予定しています。
1 名称
県民健康管理調査「甲状腺検査」説明会
2 開催日時と場所
・郡山市11月4日(日)
13:30~15:30 ビッグパレットふくしまコンベンションホールB
・福島市11月10日(土)
13:30~15:30 福島県文化センター小ホール
・南相馬市11月18日(日)
15:30~17:30 ロイヤルホテル丸屋
3 対象
甲状腺検査対象となった子どもの保護者等、県民
[以下略]
説明会の模様についての報道は、例えば、毎日新聞から、
東日本大震災:子どもの甲状腺検査、初の説明会 不信抱く保護者「安全訴えは本末転倒」−−郡山
毎日新聞 2012年11月05日 地方版
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20121105ddlk07040128000c.html
「なぜもっと早く説明会を開けなかったのか」「どのくらい被ばくしたら危険なのか」。4日に郡山市であった、子どもの甲状腺検査に関する初の説明会。開始から1年後の開催に、参加者からは改めて批判の声があがった。一方で、内容は不信感を抱く保護者の求めとズレがあり「不安は解消されなかった」との不満が残された。県立医大は「今後の検査や説明会の課題にする」と受け止めていた。【栗田慎一】
新聞報道では福島県立医大による説明内容がよくわからなかったのだが、今月10日の福島市における説明会での質疑応答部分を文字化してくれた記事があり、これを読むと福島県側の現在の対処方針が個人的にかなり明解になったので、紹介しておこう。ブログ「みんな楽しくHappy♡がいい♪」から、
「日本の子どもはチェルノブイリとは違ってヨウドが過剰だから大丈夫!」県民健康管理調査『甲状腺検査』説明会 11/10鈴木眞一氏質疑応答(内容書き出し)
2012-11-16
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-2542.html (リンクはココ)
この中で最も気になったのは、鈴木眞一氏(福島県立医科大教授。甲状腺検査の責任者)の回答の次の部分だろうか。
鈴木眞一:
・・・日本における、
今までの日本における小児の甲状腺がんにかんしては、先程治療で難渋されたという症例がありますけど、
それもガイドラインに書いてありますけど、一見進行して見える、我々もそうです。
肺転移までしててもう、むしろ甲状腺がんが大変だなと思った時期がございますが、
実はその人たちも適切な治療をすれば長期の生存ができて、予後は良いというのは、
大人よりも予後がいいというのがわかっているということで、
ガイドラインにはそれを書いております。
ただ、チェルノブイリ型、それよりも激しい癌が、
もし、もっと、我々の知らない位の大量のヨウ素の被ばくをしてて起こるという事になれば、
それはまた違うだろうと思いますけど、
それに関しては我々は全くそういう事は認識していませんけど、
そういうことが起これば、それはまた違ったがんとしてここで説明をしなければいけないと思います。 (強調は引用者)
結局、チェルノブイリ型というか、放射線起因の甲状腺がんは起きないという前提で、甲状腺検査の制度自体が設計されているし、その他の様々な判断も同じ前提で行われているということだろう。
上記の「もっと、我々の知らない位の大量のヨウ素の被ばくをしてて起こるいう事になれば」というフレーズの裏には、福島県側が知っているヨウ素の被ばくというのがあるはずだろう。それはどうも、昨年3月末に政府が行った1,150名の子供の調査らしい(但し、条件が整い測定できたのは1,080人)。朝日新聞から、
福島の子ども、半数近くが甲状腺被曝 政府調査で判明
2011年8月17日
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201108170394.html
東京電力福島第一原子力発電所事故をめぐり、政府の原子力災害対策本部は17日、福島県の子ども約1150人を対象にした甲状腺の内部被曝(ひばく)検査で、45%で被曝が確認されていたことを明らかにした。17日、同県いわき市で開かれた説明会で発表した。すぐに医療措置が必要な値ではないと判断されているが、低い線量の被曝は不明な点も多く、長期的に見守る必要がある。
この調査については、かねてより信頼性に問題があると指摘されている。前出のブログ「安禅不必須山水」から、
3月末に行われた児童の甲状腺検査について
2011/09/01
http://ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/2425894
3月末に行われた児童の甲状腺検査について
2011.8.29 福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
3月24日から3月30日にかけて、原子力安全委員会の依頼をうけた原子力災害現地対策本部は、いわき市、川俣町、飯舘村の1,080名の児童の甲状腺検査を実施しました。その概要は5月12日原子力安全委員会のウェブサイトに発表されましたが(1)、検査を受けた児童と保護者への説明は大幅に遅れ8月となりました。朝日新聞は8月18日、一面トップで「45%が甲状腺被曝」と伝えましたが、いずれも「健康に影響がないレベル」と説明されました(2)。検査のやり方には疑問が残りました。・・・
最近の別の例だと、おしどりマコ氏が講演会(2012年10月28日に東京・東村山市にて)で批判を行っていたようだ。「youtube」から、
"おしどりマコ・ケン"さんのお話 in 東村山
http://www.youtube.com/watch?v=-Dpvoa_jL4k&t=17m27s (時間指定でリンクはココ。関係部分は、20:17辺りまでの3分弱)
このままだと●の影響による小児甲状腺がんの増加を誤魔化せなくなった後に、福島県立医大の担当者達が「我々の知らない位の大量のヨウ素の被ばく」をしていたことが確認された、と宣伝して回ることになりそうだと予測するのは、余りに悲観的過ぎるだろうか。