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Mayumiの日々綴る暮らしと歴史の話

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◆フリーメイソンから破門された 『ロッジP2』

2018-01-22 05:11:25 | Weblog

*「教皇の銀行家」が暗殺される
 1982年、ロンドンのテムズ川に架かるブラックフライアーズ橋で、バチカンやイタリア政界を揺るがすことになる奇妙な首吊り死体が見つかった。
その死体の身元はロベルト・カルヴィといって、イタリアの大銀行であるアンブロシアーノ銀行の頭取だった。
そのアンブロシアーノ銀行は、バチカンの資金調達と管理を行っている宗教事業会、通称バチカン銀行と深い繋がりを持っていた。その為、カルヴィは「教皇の銀行家」とまで言われた男だった。而も、当初は自殺と思われたカルヴィの死体には、幾つもの不審な点が見つかっている。その一つが、彼のズボンのポケットから出てきた煉瓦だ。煉瓦は、石の加工職人たちの組合から発展したと言われる、あの世界的な秘密結社フリーメイソンの象徴でもある。更に、死体が見つかった橋の名前も何かを暗示しているようだった。ブラックフライアーズ=黒い修道士とは、イタリアではフリーメイソンのことを指すからだ。
実際に、カルヴィはフリーメイソンのロッジP2に所属していたのである。

*フリーメイソンから追い出される
 ロッジとはフリーメイソンの支部のことをいう。ロッジP2(正式名称 PropagandaDue)は、元々フリーメイソンのイタリア・グランドロッジ(本部)傘下で活動していたロッジだ。
だが、1975年に元ファシスト党員で反共主義者のリーチオ・ジェッリがロッジ長に就任すると、極右的な違法活動を積極的に行って、翌年にはフリーメイソンからロッジとしての認証を取り消されている。
しかし、ロッジP2のメンバーはそのまま秘密裏に活動を続け、イタリアを震撼させた数々の事件に関与したと疑われている。
その一つであるボローニャ駅の爆破テロ事件は、駅舎のほとんどが崩壊し、80人以上の負傷者を出す大惨事だった。
翌年には爆破テロ事件に関与した疑いなどでジェッリの自宅へ家宅捜査が入ったが、そこで見つかったロッジP2のメンバーリストには政治家や高級官僚、現役の将軍、銀行家、実業家など、イタリアの政界や経済界の大物が多く含まれていた。
イタリアを揺るがす大スキャンダルとなったこのリストには、後にイタリア首相となるベルルスコーニの名前も載っていた。

*教皇の暗殺にも加担した?
 カルヴィが殺されたのは、そんな騒ぎの最中であり、アンブロシアーノ銀行が巨額の使途不明金を抱えて倒産した直後でもあった。而も、カルヴィが暗殺される前後にも、この件に関わった人物が次々に不可解な死を遂げている。
カルヴィ暗殺事件の前には、アンブロシアーノ銀行とバチカン銀行の関係を調査していたイタリア警察の担当調査官が暗殺された。事件後にはこの調査官の暗殺をマフィアに依頼した疑いで逮捕された銀行家のミケーレ・シンドーナが刑務所内で自殺している。シンドーナはロッジP2のメンバーであり、この自殺も他殺ではないかと噂されている。
また、1978年に僅か在位33日で心筋梗塞により急逝した教皇ヨハネ・パウロ1世の死にもロッジP2が関与しているのではないかという疑惑もある。ヨハネ・パウロ1世は清貧の精神を保った人物で、バチカン内のフリーメイソン勢力を一掃しようとしていたというから、暗殺だったとしても決しておかしくないのだ。いずれにしても、全ての真相は藪の中である。
その後、代表のジェッリはカルヴィ暗殺事件の容疑などで逮捕されたが、数年後に証拠不十分で無罪となった。2003年にはジェッリがロッジP2の再生プランを発表しているが、いまだ実現に至っていない。

*画像
 1980年に起きたボローニャ駅爆破の様子
 この事件でロッジP2の代表リーチオ・ジェッリは県議をかけられた

 左上・端に吊るされたロベルト・カルヴィ
 右上・疑惑に包まれたリーチオ・ジェッリ
 中央・ブラックフライアーズ橋

               本当に恐ろしい地下組織
                  歴史を変えた地下組織

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