太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

天使に出会った実話 15

2024-07-24 08:40:22 | 天使に出会った実話
Carmel reilly  「With angels beside us」

Hilarry  32

私は若い頃、極度の人見知りだった。家族の前では普通にできるのに、いったん知らない人を相手にすると、途端に委縮してしまい、何も話せなくなるのだった。その上、私には軽い吃音があったからなおさらだ。父の仕事の関係で、いくつもの学校を転々としたが、そのどこにおいても私はただ自分の殻に閉じこもっていた。

母は私の悩みを承知していて、力になろうとしてくれたけれど、私は母にすら心を閉じていた。
友達はいなかったし、1週間、誰ともちゃんとした会話もせずに過ごしていた。さらには、あろうことか私は自分の体を傷つけ始めてもいたのだ。

私の転機は、大学に進学するために家を離れるときにやってきた。
もちろん私は新しい生活に恐れおののいていた。高校生活が惨めだっただけに、明るい未来など描こうにも描けなかった。

ある夜、私はとっても鮮明な夢をみた。
天使は輝く銀色の光に包まれており、どうみてもスピリットだ。
天使は私に、二つのことを覚えておくように、と言った。
母に全てを話すこと、誰も私が友達を作ることを止めることはできない、ということ。他のなにかのせいにしないで。
必ず守ることを念押しして、天使は消えた。

翌朝、私は落ち込んでいた。
大変な約束をしてしまった。
ただの夢なのだから、何もなかったことにしようとさえ思った。でも、どうしてもそうできないのもわかっていた。夢にしてはリアルすぎた。

私は母に全てを打ち明けた。
驚いたことに母は私が普通にできないことや、社会に溶け込めないことを怒らず、それどころか母自身も若い頃に落ち込んで(それは人見知りではなく怒りだった)、自傷行為をしたこともあると話してくれた。
母が見せてくれた傷は、昔猫に引っ掛かれたと話していたものだった。

常に自信満々の母、どんなこともちゃんと管理できて沈着な母が?

私は目の前の曇りが晴れたような気がした。
今まで私は自分が悪いのだと信じてきたけれど、実は私は普通でどこも悪くないと思えてきた。あの完璧な母ですら・・・・

私は、「大丈夫、出来る!」と心に誓い、前を向いて大学に進んだ。
もちろん一夜にして変わったわけじゃないのだけど、少しずつ、自分の枠を外側に広げていった。

大学の寮のルームメイトに初めて会った日、彼女は私をお茶に誘ってくれた。
そして彼女も地方から出て来て、とても心細いのだと言った。
なんだ、みんな同じだ。
私だけが人見知りで、私だけが劣っていて、私だけが社会に溶け込めないのではないんだ。
私はクラブ活動にも参加し、それまでの私ならとても話しかけられなかった種類の人達と話すことができた。

夢の中の女性は、やはり私の天使だったと思う。
母に心を打ち明けることが最善の道だと知っていたのだから。
あの約束がなかったら、母は私にとって最も高いハードルで、落胆させたくない人だったから、絶対に打ち明けることなどできなかった。

ルームメイトとは、今でも親友だ。
私の人生を変えてくれた天使、母に感謝、そしてやり遂げた自分を褒めてあげたい。






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