新しい映画ではない。
1920年代から30年代、アメリカにおける日系人の厳しい立場や生活環境を「写真(だけで)花嫁(となる縁談)」形式で渡米した或る若い女性を中心軸に描いた作品。
監督は日系アメリカ人のカヨ・マタノ・ハッタで、本人の家族のルーツをベースに、実妹のマリ・マタノ・ハッタとの共同脚本で、
ハワイにおける日系アメリカ人の一世~二世世代について歴史描写している。
日本人がハワイに移民として移住し始めたのは、1885年である。
ブラジルのコーヒー農園と同じように、大きな希望を持って移住してきた日本人は、過酷な生活を強いられる。
主人公の女性は、両親をなくし、1枚の青年の写真を胸にハワイに渡るが、実際に目の前に現れたのは、写真とは別人のような男。
その写真は25年前のものだったのだ。
今、ハワイに住んでいる日系の人たちの祖先が(祖先といってもそれほど古くないのだが)
どんな思いをしてハワイで生き延び、どれだけ祖国に帰りたかったことか。
常夏のパラダイス、という顔のハワイの、その裏側をめくって炙り出したいわけではない。
いいとこ取りをするのを責める気持ちもない。
私だって、ハワイのそういう顔しか見ようとしないでハワイにやってきたし、
それだって確かにハワイであることに違いはない。
だけど、
忘れてはいけない、と思う。
この映画を観たあと、かなりお年を召した日系の人に出会うと、彼らの背後にいる祖先のことを思うようになった。