ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

社会福祉系の研究者は「内弁慶」?

2009年04月16日 | 社会福祉士
 古い話であるが、2月20日のブログで、社会福祉研究者は新たなテーマや課題に取り組むことに対して無関心なようなふりをし、他の専門領域と他流試合をすることを好きとしない、「食わず嫌い」が多いのではないかというようなことを述べた。この時は、在宅ケアに関する研究組織である日本在宅ケア学会への社会福祉や介護の関係者の参加が極めて弱く、その参加を呼びかけたことから書いたものであった。日本在宅ケア学会は学際学会として活動しており、現在私が理事長であるが、依然として看護の方々が中心で、社会福祉や介護の研究者・実務者の参加が弱いことで責任を感じている。是非、社会福祉系の研究者や実務者にもご参加いただき、積極的に活動していただきたいと願っている。

 さらに、4月10日に鈴木亘准教授の介護・保育の規制緩和論に対してコメントを書いたが、その後慶応大学権丈善一授からメイルを頂き、先生のホームページがあることが分かった。そこでは、以下のようなことが書かれてあった。
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3月16日に少し気になる文章が日経にあった。
それは、学習院大学准教授鈴木亘氏「経済教室 介護・保育 サービス拡大へ規制緩和」の中の次である。

「介護も保育も家族が行ってきた分野なのであるから、常識的に考えて高度資格が『全員』に必要だとは考えられない。実際、現場では、専門知識が無くてもできる単純労働も意外に多い」

人的参入規制を緩和すべきとする持論の根拠として論じているんだろうけど、どうなんだろ?
介護、保育団体が、黙っているところを見ると、これって、その通りなんだろうか。
その判断は介護・保育の専門家集団に任せるとして・・・
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 最後の「介護、保育団体が、黙っているところを見ると、これって、その通りなんだろうか」「その判断は介護・保育の専門家集団に任せるとして・・・」との文面である。これについて、実際に介護や保育の研究・実践を行っている者は、自らに降りかかってくる火の粉は自分で払い除け、「取るに足りない話」として無視するのでも、出来る限り論争を避けるということでもなく、議論なり意見を表明していく必要があると考える。

 それは、利用者の生活を守っていくという使命を研究者も実務者ももっているからであり、社会福祉系の研究者や実務者は無口なのか、自分に自信がないのか、自らの殻の中で仕事をし、他流試合を好まないように思っている。結果として、「鈴木准教授の言う通り」というように世間には映ってしまうことになる。

 是非、内弁慶を克服し、他領域と交流できる人材が必要であるが、これについて、鹿児島国際大学の古瀬徹先生は毎日何回か更新するブログ「坂之上の昼下がり」を運営されており、私にとっては大変勉強になっている。4月5日のブログで、私のブログ本を読んでいただいた感想から、学会誌や大学の研究紀要に書かれた論文は、一般には読むことができないが、ブログは誰でも読めるということで、ほかの社会福祉系の先生方にも広がることを書かれている。

  相撲でも、出稽古ということで他の部屋に行って稽古をし、武道でも自分の道場以外で武者修行するように、外に向かっていくエネルギーがなければ、社会福祉は社会からその必要性があるとしても、学問的にも実践的にも衰退していくのではないかと危惧する。

 社会福祉系の研究者や実務者よ、奮起せよ。