ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

介護支援専門員の給与等の待遇改善は困難?

2009年04月15日 | ケアや介護
 離職率と職場環境との関係について、介護保険サービス事業者の管理者を対象にして調査を今年の1月に実施したが、その中で気になる別の事実に気づいた。この調査は、訪問介護事業者、居宅介護支援事業者、介護老人福祉施設と介護老人保健施設を対象にしたものであるが、この中で、気になったのは大阪市の居宅介護支援事業者の悉皆調査での結果についてである。 

 居宅介護支援事業者については、今回の介護報酬改正で特定事業者加算の敷居を低くし、新たに特定事業者加算(Ⅱ)が作られた。この加算を取れるどうかが、赤字解消の決め手であるということは確かであるが、加算要件の1つがクリア出来るかどうかがポイントであった。その要件とは、2名以上の常勤・専従のケアマネジャーがおり、別個に主任介護支援専門員を配置していることとなっており、3名以上のケアマネジャーがいる居宅介護支援事業者でなければ、加算がとれないことになっている。

そこで、今回行った居宅介護支援事業者調査では、現状の常勤・非常勤のケアマネジャー配置状況は、以下のような結果となっていた。

   

これは、それぞれの項目に数字を入れてもらうことになっており、「無回答」が多くなっているが、この結果からは、現状では6割から7割の多数の事業者は、特定事業者加算(Ⅱ)をとれないことが明らかである。さらに、この調査は大都市の大阪市のデータであり、農村部ではさらに小規模な事業所が多いことが予想される。まさに、独立型を含めて、小さな事業所を切り捨てていくことになるのではないかと心配である。

 確かに、この調査で、訪問介護や介護保険施設に比べて、今回の介護報酬改正で職員の給与などの待遇改善を図れるかとの質問に対して、居宅介護支援事業者は最も改善が図れないという結果となっていたことも頷ける。これは、先日の4月13日のブログにそのデータを入れてあるので、参考にしていただきたい。

 また、講演等で介護支援専門員に加算(Ⅱ)が取る予定について尋ねてみても、4分の1ないしは5分の1程度しか予定事業者がいないのが現実である。特定事業者加算(Ⅰ)だけの時は、99%の事業者は高嶺の花と諦めていたが、今回の改正では、敷居を低くしたにも関わらず、そのおこぼれを頂戴できるのは僅かであるということになる。

 そのため、今後の方向であるが、追加経済対策での「介護職員処遇改善交付金」(仮称)について、居宅介護支援事業者にも公費が投入され、介護支援専門員の待遇改善にも寄与して欲しいものである。