3 社会福祉士養成教育での今後の基本的な方向
第一の側面での社会福祉士養成教育の現在の状況として、各養成校は、次年度から新たに始まるカリキュラムやシラバスの準備、演習・実習担当教員を養成するために、演習・実習担当教員養成講習会への参加、新たな実習先の依頼等で、実践能力がある人材養成に向けた基礎づくりで、多忙な日々を送っている。同時に、社会的には、実践能力のある人材が合格するべく社会福祉士国家資格にあり方についての見直しの厚生労働省の委員会報告書も刊行され、いくつかの出版社が、新しいカリキュラムに基づく、教科書づくりも始まっている。
こうした改革での全体の成果は、社会福祉士として様々な領域で仕事をする際に、実践能力が高くなっていることを実証することである。これについては、社会からのニーズのある科目を追加し、実習・演習の質を充実することで実現することを試みることである。ただ、これらは、ミニマムであり、各養成校が、自らの大学の独自性を発揮するために、必要とされる科目を追加したり、演習や実習の時間を拡大することは、大いに歓迎することである。
これを超えての今後の社会福祉士養成教育での課題としては、次の三点が列挙できる。
①社会福祉士の養成教育の基礎として、人権や豊かな人間性を備え、国際性や情報テクノロジーにも優れた人材を輩出していくためには、教養教育をどのような科目を配置するかである。ここでの教育成果は、実践能力だけでなく、先駆性やユニーク性といった型にはまらない人材を養成していくことに貢献することになる。こうした教育が多様な分野でのリーダーを生み出す源泉となり、大学での基礎科目の履修は社会福祉士を養成していくうえで極めて重要な側面である。
②今回の改革では、ジェネリックなソーシャルワーカーとして社会福祉士を位置づけ、その養成に焦点を当ててきたが、スペシフィックな側面をどのように養成していくのかの課題がある。これには、学部教育内で可能なことと、大学院での養成とに分けることが必要である。その結果、それぞれの社会福祉士養成校は独自性を社会に示すことができ、このスペシフィック教育でもって、個々の大学での教育の特徴を表現することができる。なお、社会のニーズの高いスペシフィックな分野から優先的にスペシフィックな教育をしていくという過程も大切であるが、その際に社会のニーズの後追いではなく、社会のニーズを顕在化させていくという作業を行うことを忘れてはならない。これができれば、社会福祉士養成教育を超えて、ソーシャルワーカー養成教育への展開の道が開けることになる。
③社会福祉における教育では、ソーシャルワーカー養成に含めたり、この養成を超えたり、あるいはこの養成とは切り離して、ソーシャル・アドミニストレーションやソーシャルポリシーと言われる、広く社会福祉政策の立案から社会福祉事業の経営・運営に当たる人材の教育をどのようにするのかといった課題がある。海外でも、両者を一体的に行っている国や大学もあれば、別個にやっている国や大学もある。日本では、今までは、ソーシャルワーカー養成教育の部分的なものとして養成してきたきらいが強い。今回の社会福祉士の新カリキュラムでも、そうしたアドミニストレーションに関する科目やシラバスが部分的に追加されている。日本の歴史的な流れも考慮すると、ソーシャルワーカ-養成教育とどのような関係で教育を行っていくかがポイントになる。具体的には、高度専門職の大学院教育や今後議論されていくであろう専門社会福祉士制度とも関連してくるものと考えられる。なお、ここで重要な問題は、ソーシャルワーカー教育と平行して進めるのか、社会福祉士養成教育の後で育成するのか、ソーシャルワーカー養成教育の後で育成するのかの議論は、社会福祉での制度と方法の関係を再度教育の観点から整理する中で、同時に社会のニーズとの関連で検討することで、一定の方向を出すことができるといえる。
第一の側面での社会福祉士養成教育の現在の状況として、各養成校は、次年度から新たに始まるカリキュラムやシラバスの準備、演習・実習担当教員を養成するために、演習・実習担当教員養成講習会への参加、新たな実習先の依頼等で、実践能力がある人材養成に向けた基礎づくりで、多忙な日々を送っている。同時に、社会的には、実践能力のある人材が合格するべく社会福祉士国家資格にあり方についての見直しの厚生労働省の委員会報告書も刊行され、いくつかの出版社が、新しいカリキュラムに基づく、教科書づくりも始まっている。
こうした改革での全体の成果は、社会福祉士として様々な領域で仕事をする際に、実践能力が高くなっていることを実証することである。これについては、社会からのニーズのある科目を追加し、実習・演習の質を充実することで実現することを試みることである。ただ、これらは、ミニマムであり、各養成校が、自らの大学の独自性を発揮するために、必要とされる科目を追加したり、演習や実習の時間を拡大することは、大いに歓迎することである。
これを超えての今後の社会福祉士養成教育での課題としては、次の三点が列挙できる。
①社会福祉士の養成教育の基礎として、人権や豊かな人間性を備え、国際性や情報テクノロジーにも優れた人材を輩出していくためには、教養教育をどのような科目を配置するかである。ここでの教育成果は、実践能力だけでなく、先駆性やユニーク性といった型にはまらない人材を養成していくことに貢献することになる。こうした教育が多様な分野でのリーダーを生み出す源泉となり、大学での基礎科目の履修は社会福祉士を養成していくうえで極めて重要な側面である。
②今回の改革では、ジェネリックなソーシャルワーカーとして社会福祉士を位置づけ、その養成に焦点を当ててきたが、スペシフィックな側面をどのように養成していくのかの課題がある。これには、学部教育内で可能なことと、大学院での養成とに分けることが必要である。その結果、それぞれの社会福祉士養成校は独自性を社会に示すことができ、このスペシフィック教育でもって、個々の大学での教育の特徴を表現することができる。なお、社会のニーズの高いスペシフィックな分野から優先的にスペシフィックな教育をしていくという過程も大切であるが、その際に社会のニーズの後追いではなく、社会のニーズを顕在化させていくという作業を行うことを忘れてはならない。これができれば、社会福祉士養成教育を超えて、ソーシャルワーカー養成教育への展開の道が開けることになる。
③社会福祉における教育では、ソーシャルワーカー養成に含めたり、この養成を超えたり、あるいはこの養成とは切り離して、ソーシャル・アドミニストレーションやソーシャルポリシーと言われる、広く社会福祉政策の立案から社会福祉事業の経営・運営に当たる人材の教育をどのようにするのかといった課題がある。海外でも、両者を一体的に行っている国や大学もあれば、別個にやっている国や大学もある。日本では、今までは、ソーシャルワーカー養成教育の部分的なものとして養成してきたきらいが強い。今回の社会福祉士の新カリキュラムでも、そうしたアドミニストレーションに関する科目やシラバスが部分的に追加されている。日本の歴史的な流れも考慮すると、ソーシャルワーカ-養成教育とどのような関係で教育を行っていくかがポイントになる。具体的には、高度専門職の大学院教育や今後議論されていくであろう専門社会福祉士制度とも関連してくるものと考えられる。なお、ここで重要な問題は、ソーシャルワーカー教育と平行して進めるのか、社会福祉士養成教育の後で育成するのか、ソーシャルワーカー養成教育の後で育成するのかの議論は、社会福祉での制度と方法の関係を再度教育の観点から整理する中で、同時に社会のニーズとの関連で検討することで、一定の方向を出すことができるといえる。