ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

社会福祉士の今後―「社会福祉士及び介護福祉士法改正」後の課題―①

2009年04月28日 | 社会福祉士
 私にとって今回の韓国への渡航の最も大事な仕事は、25日に行われた韓国社会福祉学会での日韓学術交流シンポジウム「社会福祉士の今後のあり方」のシンポジストとしての参加であった。日本は1987年に社会福祉士の資格ができ、韓国は1級の社会福祉士資格が1997年にできたが、両国とも多くの課題をもっており、今後のあり方について有意義な議論をすることができた。

 ここでは、私の報告を6回に分けて紹介し、議論になったことを、最後回でまとめたい。

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社会福祉士の今後―「社会福祉士及び介護福祉士法改正」後の課題―

1 はじめに

 社会福祉士養成校に問われていることは、その集合体である(社)日本社会福祉士養成校協会(以下、「社養協」とする)にも問われることである。本稿では、紆余曲折を経て、参議院で平成19年11月29日に「社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律」が成立したが、これを受けて、社会福祉士養成校や(社)日本社会福祉士養成校協会には、どのような課題があるかを明らかにしたい。なお、これについては、社養協会長というよりは、今回の制度改革の渦中にいた一個人としての見解であることをお断りしておく。

2 今後の社会福祉士養成の大きな枠組

 社会福祉士制度改革での今後の課題は、大きく二つの側面に分かれる。第一の側面は、養成校内に向かっての側面であり、学生に対する教育をいかに充実させ、社会のニーズに応えられる優秀な人材を養成するかである。第二の側面は、社会に向けての側面であり、社会福祉士なりソーシャルワーカーをいかに社会のニーズに適切にキャッチし、それに応えられるよう外部に対してアクションを起こしていくかである。

 これらの両面については、法改正に当たり、衆議院の附帯決議で社会福祉士に関して記された内容が、今後解決していくべき課題について的確に表現している。衆議院の附帯決議の具体的な内容は、①福祉事務所での社会福祉士の登用、②社会福祉施設の施設長や生活指導員等での社会福祉士の任用の促進、③司法・教育・労働・保健医療分野での社会福祉士の職域拡大、④専門社会福祉士の創設、⑤国家試験の見直し、⑥実習指導体制の充実を図る、の6点であった。

 附帯決議の前提には、法改正の中味そのものである実践能力のある人材養成の推進が基本にあるが、これに加えて、第一の側面である養成教育の課題としては、法改正に基づく教育の推進に加えて、国家試験制度の見直しや実習指導体制の充実を図っていくことである。第二の側面の社会にニーズに応えて人材を輩出していくかについては、福祉事務所や社会福祉施設といった福祉の機関・団体・施設での雇用や、保健医療、教育、司法、労働等の他領域での職域拡大を進めていくことである。