ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

学部レベルでの社会福祉専門職養成教育における達成課題について(2)

2008年11月10日 | 論説等の原稿(既発表)
2. 社会福祉専門職としての養成の課題
 学部段階から社会福祉専門職業人を養成していくためには、基礎教育と専門教育に分かれ、それら両方のウイングに教育の幅を広げていくことが課題となる。日本学術会議の「近未来の社会福祉教育のあり方について―ソーシャルワーク専門職資格の再編成に向けて―」においても、基礎教育として、以下のような提案を行っている。

「社会福祉士養成教育に偏りすぎるきらいのある福祉系大学教育の是正には、社会思想・社会哲学・社会史、社会学、経済学、経営学、政治学などの社会科学や、生命倫理、人権思想、文化人類学などの人文科学等、幅広いカリキュラムで編成できる教育体制の構築が求められる。社会福祉制度の多元化に対応するためには社会計画論、社会運動論、社会起業論、福祉経営学など研究・教育内容を広げる必要があり、スピリチュアリティやホスピスなど現代社会が抱える人間科学的な内容やユニバーサルデザインなど行動科学的な内容にもリンクしたカリキュラム改革も必要とされる」

 一方、社会からのニーズに応えられる人材の育成のためには、現状の実践能力を有した人材が輩出できてこなかったという反省からは、専門教育へのウイングを広げていく必要がある。同じ提案の中では、以下のように言っている。

 「幅広く学際的に活躍するには修得すべき教育内容のウイングを広げる必要はあるが、学際的実践チームの一員として認められるには、社会福祉学およびソーシャルワーク実践の固有性をあわせて追究しなければ適切なポジションは得られない」

 以上の結果、基礎的な教育と専門職教育の充実の両者がバランスよく教育されることが必要となっている。しかしながら、限られた時間数の大学教育の中でこれらの両面を充実していくことは至難の業と言える。そのため、一般教育科目でのリベラルアーツ等で工夫を凝らすことが求められる。一方、学部内での専門職教育については、ジェネリックな専門職教育とスペシフィックな教育をいかに整理し、社会のニーズに応えられる人材が輩出していくかが問われることになる。