ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

学部レベルでの社会福祉専門職養成教育における達成課題について(1)

2008年11月08日 | 論説等の原稿(既発表)
 昨日開催された「日本社会福祉教育学会」のシンポジウムで、「学部レベルでの社会福祉専門職養成教育における達成課題について」というテーマで報告をした。そこで、そこでの内容を再掲する。

問題提起
 日本では社会福祉教育は行われているが、社会福祉専門職教育が必ずしも十分に行われているわけではないのではないか。なぜならば、専門職教育であれば、卒業生は一般的に専門性を活かした職場に就職していくことになるが、決してそうした状態になっていない。また、社会福祉士や精神保健福祉士といった国家資格を出しているが、合格者が低いことでも、教員・学生の両者ともに、医師や看護職のような、この資格がなければ仕事ができないという真剣さや厳しさが欠けている。そのため、社会福祉教育を超えた社会福祉専門職教育への舵を切っていくことが必要不可欠と考える。但し、この専門職養成教育は、単に知識や技術を身につけさせるだけでなく、ひとりの人間として社会で生活していく上で必要な素養を身につけた上での専門職養成教育を目指すべきである。

1. 社会福祉教育の現状
 日本の社会福祉教育の現状をみると、情況はこの20年間で大きく変わった。社会福祉士の国家資格制度発足以降20年が経過したが、この間社会福祉士を養成する大学は急増した。国家資格制度発足前の昭和61年には、日本社会事業学校連盟への加盟校数は僅か48校に過ぎなかったが、平成20年9月現在の日本社会福祉士養成校協会の会員数は大学が190校、大学院1校、短大・専修学校が47校、一般養成施設が38校、合計276校になっている。

 こうした急激に増大してきたため、社会福祉士を養成する大学は、大きく二分されているといえる。国家資格ができる前から社会福祉教育を実施してきた大学は、リベラルアーツを基礎とした社会福祉を強調し、文学部や社会学部系に位置づけられる傾向が強く、アドミッションポリシーも必ずしも社会福祉士を目指す学生を集めているのではない。一方、国家資格ができて急増してきた新設大学は、当初から専門職業人教育を目的にし、保健・看護やPT・OTといった医療系の学部・学科と並立して新設される傾向があり、アドミッションポリシーは社会福祉士を取得させ、専門職として社会に送り出すような学生を募集することになっている。もう一方、社会福祉士は社会からのニーズもそれなりに高かったことと、教員定数等容易に設置可能なため、多くの他の既存学部が学部・学科名を変更し、社会福祉士資格取得を目的にする学部・学科に移行してきた。

 社会福祉系学部・学科はこのように多様な出自をもっているが、今回のカリキュラムの変更や実習・演習の充実、さらには、数年前から始まった社会福祉士合格率の公表以降、多くの大学は社会福祉専門職教育の方向に舵は切られ始めたと考えている。