ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

地域包括支援センターの真なる仕事に向けて

2008年11月18日 | ケアや介護
 最近、地域包括支援センターの真なる仕事についての講演を依頼されることが多い。地域包括支援センターの職員は、特定高齢者や要支援者ケアマネジメントで多くの時間が割かれているが、おそらく地域包括支援センターの真なる仕事を模索しているのであろう。

 特定高齢者の介護予防については要支援になることを予防する効果がなかったという厚生労働省の委員会報告が出ているが、真なる仕事は、平成2年度にできた在宅介護支援センターの時代からの宿題がまだできてないことにように思える。

 確かに、個々の利用者に対してアセスメントし、ケアプランを作成・実施するケアマネジメントが一定の成果を上げることが、在宅介護支援センターの時代にでき、今日まで発展してきた。しかしながら、地域の中で、ケアマネジメントを必要としないよう予防する仕組みがあったり、問題をもっている利用者を発見し、伝えてくれる仕組みがあったり、地域住民で助け合う仕組みがなければ、効果的なケアマネジメントができない。こうした種々の仕組みを作り上げていくことが積年の課題であったが、それを地域包括支援センターに求められていると言える。こうした仕組みを生活圏域で創っていくことが、地域包括支援センターの真なる仕事であると言える。

 これを実施していくためには、地域の課題を見い出し、当該地域のその課題の状況を詳しく捉え、解決する計画原案を作り、関係者が会して合意を得て、計画を実施していくことになる。さらに、実施状況を評価し、計画内容を修正・実施していくことである。これは、個人へのケアマネジメントと同じ過程であり、問題の発見→アセスメント→仕組みづくりの計画作成→仕組みづくり計画実施→モニタリング、の過程をとることである。

 ただし、地域包括支援センターがこの過程を辿っていくためには、補助的に支援できるアセスメント用紙や計画作成用紙があることが望ましい。現状ではそうした用紙がない以上、現場での創意工夫や、現場から用紙の提案が求められる。

 こうした計画がきちっと実施されれば、地域包括支援センターは計画的に地域社会や時には地域の組織を変えていく(planed change)ことができ、1つの地域包括支援センターの実践が全国の他のセンターに波及していくことができる。ひいては、全ての地域包括支援センターはまちづくりでよく使われる「プラットホーム」になることがきる。すなわち、支援が必要な人も支援を提供してくれる人もやってくるセンターとなり、そのセンターから、やってきた人が乗った多様な電車が発車していくことになる。結果として、電車が走っていていくことで、地域の仕掛けが作られ、個々の住民が地域の中で支えられていくことになる。

 このようになれば、将来に、万が一要支援者が介護保険制度の予防給付から外され地域支援事業に移行することがあっても、地域包括支援センターは真なる仕事を行っており、生き残ることができる。

 どこかの団体がアセスメントや計画の用紙作りを考えておられるなら、私も是非参加させていただきたいものである。