ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

学部レベルでの社会福祉専門職養成教育における達成課題について(5)

2008年11月13日 | 論説等の原稿(既発表)
5.あるべき社会福祉専門職像のイメージ
 以上のような幅広い養成教育を行っていくためには、膨大な時間を要し、必ずしも十分なことができないことは明白である。但し、こうした養成教育を推進していくためには、あるべき社会福祉専門職像を示し、そうした人材をいかに養成していくかの具体化を示すべきである。

 創設時に社会福祉士制度は、社会人が一般養成施設に入り、国家資格を取得していくことを基本に作られ、社会福祉領域で働いていたかどうかは別にして、社会人が社会福祉士国家資格を取得していくことをモデルにしてきた。そのため、大学を卒業して即社会福祉士になることは亜流として位置づけられてきた。そこには一定の成熟した社会人が専門教育を受けて、社会福祉士という専門職になるという専門職像があった。

 しかしながら、本質的に大学教育を介して社会福祉士を育成すること、さらには現実的に大多数の国家試験受験者が大学の新卒者であるという事実からも、大学を卒業し社会福祉士として働く人の像をモデル化し、そこにどのような養成教育を実施すべきかを考えるべきである。

6.社会福祉専門職確立に向けての戦略
 こうした大学を起点にした社会福祉専門職養成教育を考えると、単に大学教育で終始するのではなく、大学院での専門職教育や継続教育によって賄わなければならない部分も多い。しかしながら、大学院専門職教育を推進するには、一定の社会的待遇と職場確保が不可欠である、現時点では大学院専門職教育に大きくシフトすることには無理があるといえる。

 ここでは、結論として、図4のように社会福祉専門職教育を、「社会人としての基礎知識」「専門職としての基礎知識」「ジェネリックな社会福祉専門職としての価値・知識・技術」「スペシフィックな社会福祉専門職としての価値・知識・技術」、さらには「マネジャーとしての価値・知識・技術」の5つの社会福祉専門職養成教育を連動させることで、社会的に信用され、かつ実践応力のある人材を養成できるかである。さらに、最も右にある「スペシフィックな専門職としての価値・知識・技術」については、個々の大学の特徴を発揮することで対応したり、社会福祉系大学での単位互換でもって対応していくことが考えられる。