ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

韓国のワークショップで思うことー「生活ニーズは普遍的」

2008年11月20日 | 社会福祉士
 韓国老年学会招きで、30周年記念国際シンポジウムに参加させていただき、「日本における長期ケアでのサービス・デリバリー・システム」について報告させていただくことで、現在ソウルにいる。シンポジウムの合間を縫って、梨花女子大学で、専門職大学院生や現場のソーシャルワーカーを対象にケアプラン作成のワークショップを行った。

 思いとしては、おそらく近々韓国でもケアマネジメントが導入されることになるだろうからである。韓国が一部真似たドイツの介護保険についても、近々ケアマネジメントが導入されることになっている。これは日本からの移出であり、多くを欧米のシステムを真似てきた日本が、逆に移出できるとは大変珍しいことである。こうしたドイツの状況からしても、できる限り早くからケアマネジャーを養成しておくべきであると考えるから、今回は梨花女子大学で開催することにした。日本は、介護保険前に、実験的に10年程度在宅介護支援センターをベースにケアマネジャー人材を養成しており、一定のベースがあったことが大きかった。

 ワークショップには、コミュニティ・センターで相談業務を行っている人やホームヘルパーを派遣している法人でのサービス提供責任者のような仕事ををしている人が参加いただいた。今回梨花女子大を選んだ理由の1つは、この大学では学部のソーシャルワーク教育は廃止し、専門職大学院の教育を行っていることでの期待があった。ある意味、アメリカ流の教育で、新たな学生を掘り起こし、専門性を高めようとしているからである。そうした専門職大学院生に、こうしたワークショップの評価を尋ねてみたかったからである。

 ワークショップの手順は、まずはケアマネジメントについて、特にアセスメントから生活ニーズ把握の方法について講義をした。次のグループで、ハングルでアセスメント用紙に書かれた実際の日本の事例から、生活ニーズを導き出し、最終的には必要なサービス名や内容、さらには頻度や時間数を導き出す作業を行った。これらを各グループが発表し、それに対して講評や議論をしていくものである。

 こうしたワークショップを既に数回、韓国で行ったことがあるが、大変評価が高かった。このワークショップに参加したことから、私の大学に留学してきた実務者もいる。今回も、終わってから、ワークショップに対する評価を調査したが、計画的に支援し、利用者の状況を変えていくことがよくわかったとの評価を得て、無理をしてワークショップをした甲斐があったという気持ちになった。何か、在宅介護支援センターが日本で始まった当時の雰囲気に近いものを感じた。

 このワークショップから学んだことは、生活ニーズは普遍的であり、韓国であろうと日本であろうと、同じ生活ニーズが導きだされてくることである。ある意味、最もな話であるが、同じ状態の人であれば、日本であろうが、韓国であろうが、アメリカであろうが、生活ニーズは同じである。ただし、それぞれの国なり地域の利用できる社会資源の状況が異なる以上、利用するサービスや支援の内容は異なってくることが明らかである。

 このことから、ソーシャルワークは国際的には普遍的な教育が可能であることが分かる。但し、そのニーズを満たすのが、フォーマルケアかインフォーマルケアか、さらには、セルフケアであるかは、それぞれの国の文化や価値観、またサービス基盤整備の状況に影響されることになる。その意味では、もっと国際的な視点での教育や交流が必要ではないかと思う。