カードの暗証番号がわからなくなって、雨の中、銀行に急いでいた。
銀行の窓口は3時まで。脳細胞に文句を言いながら急いだ。
行く手の路上に怪しげなもの。巨大な虫か?
近づくにつれて、クロワッサンに見えてきた。
雨の道にパンを落とした? いやいや濡れてない。
急いでいたことを忘れて足を止めた。
実際のパンより小さい。プラスチックのような光沢。
おもちゃだ。ままごとセットの落とし物 とみた。
子供が手に持って歩いていて、落としたのかな?
妄想が始まりかけたところで、急いでいることに気づいた。
あと7分しかない。銀行しまっちゃう。
落とし物をそれて通り過ぎることにした。
銀行で暗証番号を教えてもらって帰る途中、まだパンがある。
今度は気持ちの余裕ができて、カメラを構えた。
このパン、もう拾われることはないだろうな。