South Is. Alps
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Coromandel
Coromandel, NZ
Square Kauri
Square Kauri, NZ
Lake Griffin
Lake Griffin


野菜のパスタ

野菜のパスタ

2004-01-12 21:02:50 | 夕食・自宅 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


青い地図3

クックの航海で不思議に思っていたこと。それは、例の領有宣言である。1770年、ボタニー湾で執り行ったというそれである。あまり深くつっこうもうとは思わないので、とりあえず、ボルヴィッツによっておこう。
クックは、新しく到着した島で「発見の儀式」なるものを執り行う。彼が一番最初に到着したタヒチはすでにフランスのブーゲンビルが到着していたが、その次に到着した島「ファヒネ」(ソサエティ諸島)では、首長に「国王陛下の船エンデバー号。司令官クック大尉。1769年7月16日」と彫り込んだ金属板を贈る(以下、『青い地図(上)』p.123-125による)。航海日誌には「我々が最初にこの島を発見したという、永続的な何よりの証拠になると考えて」と書く。
次の島のライアテアでは上陸して、クックは「イギリス国旗を掲げ、イギリス国王陛下の帆船が使用するために、その島と近隣の諸島を占有。原住民と同じ呼称を採用する」と記す。これが、ボタニー湾以降、オーストラリア各地でも上陸するたびに繰り返されたわけである。
ボルヴィッツによると英海軍省はクックに対して「原住民の同意を得た上で、その国の適切な場所を占有すべし」と指示、また、王立協会は、原住民は、「その土地の生まれついての、もっとも厳密に言えば、合法的な所有者である」とクックに説き、「自発的な同意なしに」に西洋人はその領地を占有することはできない、としている。
ボルヴィッツは言う。海軍省にしても王立協会にしてもどのような同意が必要かを明示していないし、クック自身も言語や文化を異にする初対面の人々に対して、どのように同意をとりつけたのか。クックを科学的な発見航海を装いつつ英国の先遣隊のとしての役割を演じたと同時に、海軍省や王立協会の指示に従っていないという批判も最近では多く聞かれると言われるが、何か腑に落ちない。
ボルヴィッツはクックの慎ましやかな「儀式」や発見した島々やランドマークへの「命名」にしても、多くは現地名をとっており、クックの行為に対する批判について留保している。
しかし、クックはボタニー湾でも同様の儀式を行った。ここでも、同じく「同意」を取り付けた形跡もなく、「マスカット銃と槍の応酬だけ」(ibid. p.247)であった。しかし、1970年クックは上陸、領有宣言し、それを受けて、1788年にFirst Fleetがやってきて、植民地化が始まり、アボリジニたちの苦難の歴史が始まる。この辺りの詳しいいきさつについて、実に不勉強なのだが、クック自身の行為を帝国主義的なものと見なすことについては、ボルヴィッツではないが留保したいところである。

2004-01-12 17:12:42 | 読書 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


青い地図2

スペースシャトルの一機の名前「エンデバー」が、キャプテン・クックの探検船「エンデバー」「レゾリューション」「ディスカバリー」(遼伴船)「アドベンチャー」(遼伴船)にちなむものであるとともに、スタートレックのエンタープライズ号の船長がジェームス・カークであるのは、キャプテン・ジェームズ・クックのもじりだそうだ。未知の世界に飛び込んでいった人物の業績とのアナロジーを呼び覚ましたいとのアイデアは良く理解できる。
著者のトニー・ホルヴィッツはクックの生まれ故郷やロンドンを訪ね、彼の地ではクックの足跡がかき消されるようになっている点(クックの生家やその他関連の建物などはほとんど現在は無関係である)について、クックが世界中に彼の命名した地名を残していることと対比させて、不思議がっている。ちなみに、現在、メルボルンのドメインにあるクックの生家は、クックの両親の住んでいた家ではあるそうだが、クックが生地を離れた後に建築されたものだそうで、クックの生家といううたい文句にだまされてオーストラリアが買い付け、移設されたのだそうだ(知らなかった)。
本書に記載された文章から、キャプテン・クックの資料を集積しているクリフォード・ソーントン(Clifford Thornton)氏の主催する「キャプテン・クック・協会」(Captain Cook Society)のURLを見つけたので、記載しておく。
http://www.captaincooksociety.com/

2004-01-12 17:11:47 | 読書 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )