元気の源

猫が大好き、動物が大好きな、パステル画家・山中翔之郎のブログです。

“黒猫展” 終了!

2011-02-28 10:17:24 | 展示会
                 『黒ごんた』

26日、ボザール・ミューの“黒猫展”が終了いたしました。

今回は・・・、ごめんなさい・・・、新作を出品することができませんでした。
デッサンはもちろん、本チャンの準備も出来ていたのですが・・・。 元さんとの最後のひとときを優先させていただきました。
描き掛けの作品は、必ず次の機会にご覧いただけるようにします。

そこで・・・、3年ほど前に描いた作品になりますが、『黒ごんた』にも再登場してもらいました。
もちろん、初めてご覧いただいた方々には、新しいも古いも関係ないのですが・・・。 これからもその時その時で新鮮な魅力を感じていただけるような作品を描いていきたいと思います。

お出掛けいただきました皆様、本当にありがとうございました。
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春よ来い!

2011-02-26 18:57:42 | My Works -個性派たち-
                         『春うらら』

「ぼくのことばかり考えてないで・・・」
春一番が吹いた昨日、元さんにそう言われた気がした。
だから・・・、少しずつ・・・、前に向かって進み始めよう!


このブログを始めた最初の目的は・・・、なかなか実物をご覧いただけない作品のご紹介。
その本来の趣旨に戻り、今この時期にぜひご紹介したい作品を考えてみた。
それが・・・『春うらら』

2002年1月に制作したこの作品は、ボザール・ミューさんからいただいた銀座プランタン企画“和み猫展”出品のお話から生まれたものだった。
時期が真冬だったが、やがて来る春をイメージして構想を練った。

実はこの絵、発表時は二作一対だった。
この『春うらら』は向かって左側の絵。 同じ大きさの右側の絵には、シンメトリーのように右部分に障子の一部が見え、2匹の三毛の仔猫が障子の桟に爪を立ててじゃれ合っている図を描いた。
二枚の絵が並ぶと、まるで観る者が座敷の奥に座り、開けられた障子の間から縁側越しに外を見ているかのような感じになる。

マンション暮らしの私にとって、この状況はまったくの想像。
いや正確に言うと、幼い頃によく連れて行ってもらった母親の実家で見た風景のかすかな記憶が、この絵の中に現れているのかもしれない。

それにしても猫に縁側はよく似合う。 縁側は猫の為にある・・・と言っても過言ではないくらいに。
寝転んだりじゃれ合ったりする猫たちをつつむ空間に、観る人それぞれの春をイメージしていただければ・・・と思いながら描いたことを思い出す。


ようやく春一番が吹いたばかりで、本格的な春の訪れはまだまだ先のこと。 三寒四温を何回も繰り返さなければ・・・。
きっと私の心も浮き沈みを繰り返しながら・・・、桜の花が満開になり、“春うらら”という言葉が頭に浮かぶ頃には、今より元気になっているだろうか・・・???
それにその頃には、4月後半にボザール・ミューで予定している春恒例のノラ猫個展の準備が追い込みの時期を迎えているはず。
何が何でも、元気になっていなくては困る!

そう言えば・・・、元さんは18年間まったくと言っていいほど外に出たことがない。
しかし・・・、もしかしたら元さんも、桜の花びらが舞う中を歩いてみたかったのでは・・・なんて考える。
今は風になった元さん・・・。 どこにでも自由に行ける。
絵の中で、ちょっぴりノラ気分を味わわせてあげようかな・・・???

おっといけない! また気持ちが元さんに・・・。
怒られる~~~!
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あれから一週間

2011-02-24 18:44:59 | 日記

2月17日、元さんが天に向かって旅立った日から、あっという間に一週間が経ってしまいました。

今、小さな壺に入った元さんは、頂戴した美しいお花に囲まれて、家族が一番集まる部屋のテーブルの上にいます。

あの日以来、このブログでいただいたコメントの他にもたくさんのメールをいただきました。
本当に、本当に、ありがとうございました。
その一つ一つを涙ながらに読ませていただき、感謝の気持ちと共にお返事させていただくうちに一日が過ぎていきました。
皆さんが悲しみを分かち合ってくださったのだと思っています。 そのお陰で、私は悲しみながらも元気で居られました。

土曜日には元さんの亡骸を荼毘に付し、家族みんなで見送りました。
週が明けてからは、皆それぞれが普段の生活に戻り始め、私も元さんがお世話になった病院へご挨拶に行ったり・・・。
何かをしていないと・・・、身体を動かしていないと・・・、じっとしているのが怖かったのかもしれません。
しかし、さすがに昨日辺りから、いろいろな意味で静けさが戻ってきました。

そして今日・・・。
心も、身体も、一気にズシッ・・・・と重たくなりました。
やらなければいけないことが山ほど溜まっているのは分かっていても、その重さを振り払うことができません。

元さんの写真は数え切れないほど・・・。
遺影としてどれを飾ってもよいのですが、まだなかなかじっくりと選ぶことができません。 余り深く考えずに、たまたま目についたものを飾りました。
今日また別の写真に取り替えてみました。 どの写真を選ぼうとも元さんに変りはありません。 毎日いろいろな表情を見せてくれていたのですから・・・。

心も身体も何となくバタバタして落ち着かなかったから、こうしてゆっくりと写真を通して元さんと向かい合うのは、久し振りかも・・・。

「元気出せよ・・・」
薄目の元さんがそう言います。
「わかってるよ」
強がって見せるけど・・・???
「ぼくは いつも そばにいるよ」
「・・・・・」
「ずうっと そばにいるから・・・」

ずしんと重たく沈みきった心の奥底で、ある気配を感じます。
僅かだけれど・・・、ほんの僅かだけれど、何かが動き始める気配を・・・。
どうかその気配が気配だけで終わらず、はっきりとした形となって新たな芽を出してくれますように・・・。
そして私の上に降り積もった厚く重い悲しみの層を持ち上げ、一日も早くその先端が太陽の光を浴び始めることができますように・・・。
そうしたら元さん、君の“元気の源”がいっぱい入った水をたっぷりかけておくれ!
私は太陽に向かって精一杯伸び、思い切り葉を広げ、たくさんの花を咲かせるから・・・。

こんな日は、もう今日で終わり!
明日からまた、少しずつでいいから、歩き始めます!


元さんに了解を得ていませんが、今飾ってある写真を載せることにします。
次の機会には、パッチリと明いた瞳で・・・。
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元さんとの約束

2011-02-21 18:48:08 | My Works -我が家の元さん-
                  『どんな時も・・・』

元さんがほとんど自力で動くことができない状態になった最後の数日間、私は少し荒い呼吸を続ける元さんの顔の下に手のひらを入れ、無意識のうちに話しかけていることが多くなっていました。

「元さんは、うちに来てよかった?」
「元さんは、本当に外に出たくないの?」
「元さんは、猫仲間が欲しいんじゃないの?」
「元さんは、・・・・・・・?」
「元さんは、・・・?」

これまでの18年半に及ぶ元さんとの日々・・・。 その中で同じようなことを何度も何度も語りかけては、ただじ~っと見つめられたり、時には「うるさいなぁ・・・」と言わんばかりにそっぽを向かれたりの繰り返しでした。
しかしもうそんな反応さえ示す気力も残っていなかったのでしょう。 聞こえているのか、いないのか・・・? 目を瞑ったまま、身体中を使って相変わらず少し荒い呼吸を続けるだけ・・・。
決して認めたくはなかったけれど、元さんとの別れがもう目の前に迫っていることを否応無しに感じていました。
そのとき、ふとそれまで一度も訊いたことの無い質問が頭に浮かびました。 お医者さんとはまったく縁のない18年間を過ごしてきた元さんがいなくなることなど考えもしなかったのですから、思いつかなくても当たり前かもしれません。
何も答えてくれないと分かっていても、なぜか恐る恐るその質問を口に出してみました。
「元さん・・・、これからも君のことを描き続けてもいいかい?」
するとほんの僅かですがはっきりと、元さんの顔がコクッと頷いたように動いたのです。
「えっ???」
我が目を疑いました。 それでも今自分が見たことを信じたくて、もう一度繰り返しました。
「本当に描き続けていいの?」
一瞬の間を置いて、今度は最初よりも更にはっきりと、コクッ!
その光景に言葉を失った私の目に、更に何回かコクっと頷く元さんの顔が映りました。
私は決心しました。 そして元さんに約束しました。
「わかった! これからもずっと元さんの絵を描き続けるからね」と。

今になって落ち着いて考えてみれば、口の中に溜まってしまったヨダレを無理に飲み込もうとしたためだったのかもしれません。 その動きが私の質問と偶然にもタイミングが合っただけのこと・・・?
しかし例えそうだったとしても、その偶然が生まれたのは、やはり元さんの思いがそうさせたのだと信じます。


決心に揺るぎはありません。
でも・・・、正直なところまだなかなか描き始める気になれません。

「さぁ!」
「さぁ!」
「さぁ!」

まるで自分を鼓舞するかのように、何回口に出して言ったことか・・・。
実は・・・、怖くてしょうがないんです。
明日から・・・、いや今、次の瞬間にも自分の気持ちがどう変化してしまうかが・・・。
だから大きな声を出して、「さぁ、頑張ろう! 大丈夫だから・・・」と自分に言い聞かせてないと、言いようのない不安に押しつぶされてしまいそうです。

ふとした瞬間、元さんの横顔に、年齢も性別も超えてすべてを包み込むような慈愛ともいうべき表情を見ることがありました。
冒頭の絵 『どんな時も・・・』 は、若くして病に倒れ、まだ幼い我が子を残してこの世を去った母親が天から我が子を見守る姿を、元さんの横顔に重ねてイメージしたものです。
今まさに元さん自身が天の昇り、きっと、きっと、こんなふうに私たちを見守っていてくれるに違いない。
そんな気がして・・・、そうして欲しくて・・・、この絵を想い出してみました。


元さん・・・

もしも私が悲しみに泣き崩れた時は やさしく肩を抱いておくれ

歩き続ける気力を失くした時は 強く背中を押しておくれ

どんな時も・・・ どんな時も・・・ どうか見守っていておくれ

弱虫の私が ちゃんと君との約束を守れるように・・・
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元さん 昇りゆく・・・

2011-02-19 18:25:41 | My Works -我が家の元さん-
                     『昇りゆく・・・』

ここ二、三日の暖かさから再び冬らしい冷たい空気が戻ってきた今日、元さんは18年間一緒に暮らしてきた家族等に見守られながら、その姿を風に変え、天に昇ってゆきました。

元さんの寝顔を見ることも、その身体に直接触れることもできなくなってしまいました。 しかしそうなることで、むしろ元さんの存在感が尚一層大きく、そして強く私の心に刻まれたような気がします。
きっとこれから先、様々な新たな感情が湧きあがってくることでしょう。 そしてそれは、時には辛く悲しいことも・・・。
でも、きっと私は大丈夫です!
なぜなら、直接元さんに会ったことがないにもかかわらず、こんなにもたくさんの方々が元さんを愛してくださっているのですから・・・。


以前愛猫の肖像画を描かせていただいたことがきっかけとなり、今でも交流のある姉妹がいます。
その妹さんの愛猫4匹のうちの1匹Mちゃんが亡くなったとき、妹さんの落ち込んでいる様子をお姉さんから聞いて思わずメールを打とうとしたことがありました。
しかしいざパソコンに向かうと、どんな言葉を送ったらよいのか分からなくなってしまいました。
もちろん元さんは元気いっぱいのころで、その時の私には妹さんの真の悲しみを共有することは不可能だったのです。 それなのに何でも分かっているような偉そうなことを言ったり、ありきたりの慰めの言葉などを送る気にはどうしてもなれません。
しばらく悩んだ末、余計なことを考えるのは止めにして、その時私の心が感じた正直な気持ちを伝えようと思いました。
「Mちゃんのことを思い切り想い出してあげてください」
はたしてそれが妹さんを元気付けることになるのか?
何の確信もありませんでした。 ただ、その言葉しか浮かばなかった・・・。
後日お姉さんからいただいたメールには、私の一言で妹さんが勇気付けられたとのお礼の言葉がありました。
そんなつもりはまったく無かったけれど、素直に嬉しかったのを覚えています。

悲しみから逃げていては、いつまでたっても悲しいままなのですね。
思い切り涙を流しながらその悲しみと真正面から向き合ってこそ、初めて前を向いて歩き出すことができるのかもしれません。

今、そのときと同じ言葉を自分自身に投げかけています。


もし私と会うことがあったら、どうか悲しい顔をなさらないでください。
変に気を遣ったりしないで、思い切り元さんのことを聞いてください。
きっと私は恥かし気も無く涙を流しながら、笑顔で元さんの自慢話をすることでしょう。
それが何より私を元気にさせてくれるはずですから・・・。
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元さんのプライド

2011-02-18 19:13:54 | My Works -我が家の元さん-
          『Jump to the Next』

聖路加個展が終わってから数日は、あののんびりとした抱っこ&チュウのひとときが復活していました。 しかし、それは余り長くは続きませんでした。
年が替わった頃からだいぶ足腰が弱くなってきたと感じることが多くなっていましたが、2月に入ってからは更にひどくなっていました。
まっすぐ歩くだけでもフラフラ・・・。 ほんのわずか方向を変えようとしただけでも、バランスを崩して倒れそうになることもしばしばでした。

息が荒くちょっと苦しそうに見える日もあれば、穏やかに落ち着いて見える日も・・・。 その繰り返しが何日か続いていました。
そしてここ2~3日は、ギリギリまで頑張っていた自力でトイレに行くことも難しくなり、トイレシーツを敷いてあげました。
昏睡に近い状態になることが多くなっても、時折意識が戻ってこちらをじ~っと見つめる瞳は限りなく澄んでいて綺麗でした。 お互いに見つめあったままの無言の会話を交わすひとときは、それまでのいろいろなことが全て消え去り、限りなく純粋で透明な時間が流れていました。

旅立ちの日の前日は、朝から夜までずっと穏やかで落ち着いた一日を過ごしていました。
夢でも見ていたのか、わずかですが両の前足をフニフニと交互に動かす様子は、まさに仔猫がお母さん猫のおっぱいを吸うときの仕草そのもの・・・。 おそらく生後1~2ヶ月で別れることになってしまったお母さんのおっぱいを想い出していたのでしょうか。 それとも新たな世界に生まれ育つための予行演習?
その姿を見ていたら、やたらと涙が溢れてきました。


たぶん元さんは自分が旅立つ時期を悟っていて、その瞬間を探していたように思えてきます。

野生の動物は、自らの魂の火が消える瞬間を誰にも見せないと聞きます。
そういえば・・・、すっかり弱ってしまった足腰にも拘わらず、フラフラ・・・ヨタヨタ・・・としながらも何とか歩くことができた最後の数日間は、気がつくといつの間にか家中の歩き回っている姿がたびたび見られました。
トイレに行くわけでもなく、その徘徊にも似た行動が何のためなのか、しばらくは分かりませんでした。
それこそ本当に病気の影響が頭の方にも及んでしまったのか・・・とも思いました。
しかし、その行動をあえて止めることはせずに、倒れそうになる時だけ手を添えてあげながら見守っていました。
そのうちあることに気付きました。 その行き先は家の中に何箇所かある元さんの隠れ家だったのです。 隠れ家といっても、決して広くはないマンションの一室。 元さんは隠れたつもりでも、すぐに見つかってしまうのですが・・・。
元さんは最期の瞬間を迎えるための場所も探していたのかもしれません。
そんな元さんの思いも知らずに、倒れるのを心配して常に付き添っていた私を元さんはどう思っていたのか・・・???
結局最後は歩くこともできなくなり、隠れ家に籠ることは叶いませんでした。

(もしかしたら、お別れの時が近いのかな?)
数日前から覚悟はしていました。
その一方で、(いやいや、元さんのことだから・・・)と思う自分も居たり・・・。
その時がいつ訪れるかは分かりませんが、必ずそばに居てあげたいと思い、ほとんどまともに眠れない日が続いていました。
今思うと、それは私の勝手な独りよがりだったのかもしれません。 そして元さんは、きっとそんな私の姿を見兼ねていたのでしょう。
ウトウトしながらも、元さんがちょっと咽ただけでも駆け寄って頭を持ち上げ、ヨダレをふき取ってあげる私の姿を見て、元さんはこんなことを思っていたのでは・・・?
「心配してくれるのは嬉しいけど、いいかげん独りにしてくれよ。 落ち着いて休めないよ」と。


その日の夜中も、私は朦朧とした頭の中で不思議な緊張感を感じながら、容赦なく襲ってくる睡魔と闘っていました。
明け方の4時近くになった頃、少し荒い音を立てていた呼吸が落ち着きをとりもどしたように感じました。
ふと元さんの顔を見ると、穏やかな表情の中でわずかに薄く開いた目が、「今日は大丈夫だからもう寝なよ・・・」と言ってくれているような気がしました。
もう少し経てば、妻が起きてくる時間・・・。 しかし、情けないかな私の体力も限界に近かったのかもしれません。 私はもう一度元さんの穏やかな寝顔を確認して、倒れこむように布団に入りました。

まんまとやられてしまいました。
妻が起きるまでのほんの1時間ほどの間に、元さんはきっと自分の望む通りに、その瞬間を誰にも見られることなく天に向かって旅立ったのです。

妻に起こされて飛び起きたとき、元さんはもう息をしていませんでした。
まだほんの僅かな時間しか経っていなかったのでしょう。 身体はいつもと同じように温かく、私が寝る時に見たのとまったく変らない穏やかな寝顔をしていました。 まさに眠っているかのようなその表情は、微かに笑みを浮べているようにさえ見えました。
悲しみの感情よりも先に私の胸を満たしたのは、不思議なほどにホッとした気持ちでした。
(その時が来たら、どうか苦しむことなく安らかに・・・)
それがここ数日間ずっと願っていたことだから・・・。

姿を隠すことまではできなかったけれど、最後の一瞬だけは誰にも見られることなく・・・という本来野生の動物が持つプライドを、元さんは最後の最後まで失うことがありませんでした。


元さんは明日家族みんなに見送られて荼毘に付されます。
私は信じています。
元さんは消えて無くなってしまうのではない。
その身体はなくなっても、私だけではなく、たくさんの人たちの記憶の中にその姿を残して、“Next・・・次”に向かってジャンプするのだと・・・。
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元さん 天に・・・

2011-02-17 17:11:39 | 日記

2011年2月17日、ようやく東の空が白み始める頃、元さんが天に向かって旅立ちました。
まるでまだ息をしているかのように、穏やかな寝顔のままで・・・。

ごめんなさい・・・、今はまだ・・・・・・・。

ただ、昨年の夏以来ずっとご心配いただき、いつもいつもあたたかい励ましをいただいてきた皆様に少しでも早く・・・という思いでパソコンを開きました。
心からの感謝の気持ちと共に、ご報告させていただきます。

元さんは・・・幸せ猫でした。
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“黒猫展”のご案内

2011-02-13 15:26:07 | 展示会

前回にも少し触れましたが、銀座ボザール・ミュー恒例の人気企画展“黒猫展”が明後日2月15日(火)から26日(土)まで開催されます。

絵画・版画などの平面作品はもちろんのこと、様々な素材からなる立体作品、アクセサリーに至るまで、ボザール・ミューさんと縁のあるたくさんの作家さんたちが創り出した、文字通り“黒猫”をテーマにした様々な作品が並びます。

もちろん私も参加!
DMの向って左側、狸かダルマを思わせるような黒ブー作品『ふわふわ黒』のほか、2~3点を予定しています。
ぜひお出掛けください。

詳細は、ブックマーク欄に登録してある“ボザール・ミュー”をクリックしてください。 “黒猫展”以外のいろいろな情報もご覧いただけます。
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光の中の黒猫

2011-02-11 21:30:08 | My Works -黒猫-
来週2月15日から、銀座ボザール・ミューで毎年恒例の“黒猫展”が始まる。
そして毎回この時期になると、必ず思い出すことがある。


「何点か出してみませんか?」
ボザール・ミューの宮地オーナーからいただいたこの言葉が、絵描きとしての私の第二の人生のスタートになった。
1999年2月、ボザール・ミューの目玉とも言うべき企画展 “黒猫展”への出品のお誘いだった。

前年5月の頚椎の手術以降ずっと自宅療養をしていた私は、思い掛けずできた時間を利用して、愛猫の元さんや、知り合いのペットの絵などを描いていた。
それが新たな仕事になるとは思ってもいなかった私は、とある美術雑誌の中に“猫専門画廊ボザール・ミュー”という名前を見つけたときも、(へぇ~、こんなギャラリーがあるんだ・・・)くらいにしか思わなかった。
それでも無意識のうちに何かを感じていたのだろうか、その後ボザール・ミューを訪れ、厚かましいことに、自分の作品を写した写真を宮地オーナーに見てもらったりしていた。
そしてありがたいことに、そのうちの1点がオーナーの記憶に残っていたのだ。

「ぜひ、お願いします!」
予想もしなかったお誘いに昂ぶる気持ちを抑えながらそう答え、それから10日後には納品に・・・。
「2~3点あれば・・・」とのお話だったにもかかわらず、新たに描き上げた作品は6点。 お声を掛けていただくきっかけになった1点を加え、計7点を持ち込むという怖いもの知らず。
今から思えば、なんと図々しかったことか・・・???

更に・・・、ボザール・ミューの企画展に出品できたことだけでもうれしかったのに、私の作品を買ってくださった方がいた。
その作品が今回アップした『光の中で 1』 まさに宮地オーナーの記憶に残っていた、初出品のきっかけにもなった作品である。
N.O.さんというその方は、友人でも知人でもなければ親戚でもない。 もちろんお会いしたことなど無く、私の存在どころか、“山中翔之郎”という名前すら知らない方・・・。
つまり義理などまったく関係なく、ただ純粋にその絵を気に入った・・・というそのことだけで、少なくとも私には決して安いとは言えない金額を払ってくださったのだ。
そのことは私に大きな嬉しさと同時に大切なことを教えてくれた。

「下手な絵ですが、よろしかったらご覧になってください」
それまでは、本心は別として、そんな風にへりくだった言い方をしていた。 しかし、あの黒猫展以降、私は同じ言葉を二度と口にしていない。
それは・・・、貴重な対価を払うまでに私の絵を気に入ってくださったN.O.さんに、そしてギャラリーの名を懸けて勧めてくれた宮地さんに、更には自分自身が精一杯心を込めて描いた作品そのものに対しての最低限の礼儀だと思ったから・・・。
あの時はまだまだ駆出しの思い切り端くれではあったが、“プロ”ということ、“絵描き”であることを初めて意識した貴重な瞬間だった。


          

この作品は『光の中で 1』の姉妹作ともいえる『光の中で 2』
前者はA4ほどの比較的小さな作品だったので、同じ雰囲気で黒猫展用に大きめな作品(50cm×35cm)を描いてみた。
私にとってはどちらも同じように感慨深い作品である。
暗闇をバックに差し込む光の中の黒猫を描いた『光の中で』シリーズは、このあと連作として10点まで描いた。
しばらく間が空いたが、またいずれ新たな気持ちで『光の中で』新シリーズを描いてみたいと思っている。

あれからいったい何点の黒猫作品を描いてきただろう。
“黒猫展”に来てくださる黒猫ファンの方々の静かにして熱い期待が、私の代表作とも言えるような作品を何点も描かせてくれた。
はたして今年は・・・?
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願い

2011-02-05 17:15:01 | My Works -天体シリーズ-
流れ星をみつめるこの後ろ姿の二匹にはモデルがいる。
名前は“小春”と“小夏”。 その名付け親は、昨年暮れにご紹介した絵本『うさぎのユック』の原作者 絵門ゆう子 さんである。

2002年のちょうど今頃・・・、先日17回目を終了したばかりの聖路加画廊で、まだ2回目の会期中に絵門ゆう子さんと出逢った。
それがきっかけとなり、2004年の秋には絵本制作という素晴らしい機会をいただくことになった。
『うさぎのユック』が完成するかしないかのうちから、絵門さんは顔を合わすたびに「第2弾を・・・」と張り切っていた。 彼女の頭の中だけにあった第2弾のアイデア・・・。 その中には愛猫二匹のイメージがあったようだ。
「参考までに渡しておくね」
そう言って手渡された5~6枚の写真には、まだ仔猫の頃の“小春”と“小夏”のじゃれあう姿が写っていた。

第2弾の絵本は実現しないまま、2006年の春に絵門さんは天国に旅立った。
二匹の写真は私の手元に残されたまま・・・。

その年の秋、ボザール・ミューでの個展にこの『願い』を描いて出品した。
第2弾制作の夢が果たせなかった無念さと共に、絵門さんへの追悼の気持ちがこの絵を描かせたのかもしれない。


大好評をいただいたが、その個展中に買い手がつくことはなかった。 余りに好評だったので、そのことはむしろ不思議にさえ感じた。

年明けの聖路加個展にも出品。 展示作業を終えたとき、気のせいか『願い』がその場所にとてもしっくりと合っていて落ち着いて見えた。
そしてその時も前回に勝るとも劣らないほどの人気を集めながら、なぜか買い手がつかないまま迎えた4日目・・・。
「この絵・・・、取っておいてください」
そう言ってくださったのは、このとき初めてこの絵を見た絵門さんのご主人だった。
ご売約済みを表す赤丸のシールを貼ったあと、何人もの方がこの絵を欲しがられ、売約済みになっていることを悔しがられた。
絵門さんのご主人がご覧になるまで、他の方には絵の中の二匹が “買っちゃダメ”オーラでも出していたのだろうか・・・。

その時、私はふっと思った
人が絵を選ぶのではなく、絵が自分の居場所を決めるのだ・・・と。
一作一作それぞれの絵がお世話になる先は、まさに“運”と“縁”によって決まるのかも知れない。
それは描き手の私がどうこうできることではなく、描かせてもらったことにただひたすら感謝しつつ、その絵の運命を素直に受け入れることが絵に対する礼儀なのだろう。


『願い』は今、絵門さんが過ごされたご自宅にご主人によって飾られている。
ご主人の背中をそっと押したのは、絵の中の二匹か、それとも天国の絵門さんか・・・?
聖路加個展の頃になると、毎年そんなことを考える・・・。
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17th聖路加個展 -ぬくもり 感じて- 終了!

2011-02-01 19:00:13 | My Works -我が家の元さん-
           『伝えたいこと・・・』

1月30日、17th聖路加個展が終了いたしました。

今年の一週間は、晴天には恵まれたものの、これまでの中でも一、二を争うほど寒さの厳しい毎日でした。
更に、インフルエンザや風邪もかなり流行していた(いる?)とのこと。
そのような中をお出掛けいただいた皆様、本当にありがとうございました。
『ぬくもり 感じて』という今回のタイトル通り、多少なりともほんわかとしたひとときをお過ごしいただけたでしょうか。

また、お気持ちはありながらどうしてもご都合がつかなかったり、運悪く流行のウィルスに好かれてしまったりでお出掛けいただけなかった方もいらっしゃるのでは・・・。
お会いできなかったことは本当に残念です。 しかし、また必ず次の機会があるはずですから・・・。 その時が来ることを信じて、楽しみに待つことにしましょう。

今回、ギャラリーの入り口で皆様をお迎えしていた『伝えたいこと・・・』は、17回のうちでこの大役を一番多く担ってくれています。
私の作品群の中では一番大きなサイズの中の一つということもありますが、やはりこの元さんのゆったりとした姿と表情が、その前を通り過ぎようとする何人もの人たちの足を止めさせてしまう力を持っているからなのかもしれません。
そのタイトルのように、今回私が皆さんに伝えたいと思ったこと・・・。
いつも笑顔にさせてくれる身近な動物たちのぬくもりを感じていただけたなら幸いです。

今回お会いするできた方も、残念ながらお会いできなかった方も、また次の機会には笑顔でお会いしましょう!

本当に、本当に、ありがとうございました。
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