この冬初めて降る雪をみていたら、この作品を思い出した。
2008年12月に開いたボザール・ミューの個展では、それまでとは少し趣を変え、縦横に長~い作品ばかりに挑戦してみた。
その中で“ 春夏秋冬 ”それぞれの季節をテーマにしたノラ猫4部作を描き、“ 冬 ”をイメージした作品が今回ご紹介する『 様々な白の頃 』。
色で言えば、冬を連想させるのは何といっても“白”。
しかし、ただ白のパステルを塗り重ねるだけ・・・という訳にはいかない。
真っ白な雪に覆われたその下からは、春の訪れを待つ様々な新しい命の息吹が聞こえてくるはず・・・。
私はその命の息吹を種々様々な色に替え、寒さにも怯むことなく凛とした姿のノラ猫を包み込んでいった。
そして最後に、激しく降る雪のように、力を込めて白のパステルを重ねた。
うっすらと透けて見える様々な色たちのせいか、冷たいはずの雪が温かく感じられて嬉しかった。
この作品、確かまだ手元にあるはず・・・。
しばらく展示会に出していなかったが、今だからこそ、次の聖路加個展に出品しよう。
やがて春が来た時に、雪に覆われた悲しみが、苦しみが、悔しさが、雪解けとともに少しずつ流れてゆき、新たな希望の芽を育てる糧となりますように・・・!
そんな思いを込めて・・・。