元気の源

猫が大好き、動物が大好きな、パステル画家・山中翔之郎のブログです。

様々な白の頃

2012-01-21 12:58:03 | My Works -ノラ猫たち-


この冬初めて降る雪をみていたら、この作品を思い出した。

2008年12月に開いたボザール・ミューの個展では、それまでとは少し趣を変え、縦横に長~い作品ばかりに挑戦してみた。
その中で“ 春夏秋冬 ”それぞれの季節をテーマにしたノラ猫4部作を描き、“ 冬 ”をイメージした作品が今回ご紹介する『 様々な白の頃 』。


色で言えば、冬を連想させるのは何といっても“白”。
しかし、ただ白のパステルを塗り重ねるだけ・・・という訳にはいかない。
真っ白な雪に覆われたその下からは、春の訪れを待つ様々な新しい命の息吹が聞こえてくるはず・・・。
私はその命の息吹を種々様々な色に替え、寒さにも怯むことなく凛とした姿のノラ猫を包み込んでいった。
そして最後に、激しく降る雪のように、力を込めて白のパステルを重ねた。
うっすらと透けて見える様々な色たちのせいか、冷たいはずの雪が温かく感じられて嬉しかった。


この作品、確かまだ手元にあるはず・・・。
しばらく展示会に出していなかったが、今だからこそ、次の聖路加個展に出品しよう。

やがて春が来た時に、雪に覆われた悲しみが、苦しみが、悔しさが、雪解けとともに少しずつ流れてゆき、新たな希望の芽を育てる糧となりますように・・・!

そんな思いを込めて・・・。
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聖路加個展のご案内

2012-01-18 10:36:58 | 展示会
    


築地 聖路加国際病院内の第一画廊で毎年続けている個展も、今回で18回目になりました。
昨年から新設された第二画廊を含めると19回目・・・。 

第一画廊も今年からリニューアルされました。
場所はこれまでと同じレストラン前の通路ですが、壁紙が新しくなり、さらにダウンライトの数がかなり増えてとても明るくなりました。

ただ今回から会期が6日間となって、日曜日の展示ができなくなってしまったのが残念です。 
日曜日しか行けない・・・という方には、本当に申し訳ございません。 今後、また日曜展示ができるように努力していくつもりです。

毎回寒い1月~2月の開催で、ごめんなさい!
たまたま始めたこの時期が、私自身だけでなく、楽しみにしてくださっている方々にとっても、聖路加個展の季節として定着してしまったようです。
インフルエンザが流行り始めたとか心配なニュースが聞かれますが、どうかしっかりと予防していただき、お互いに元気でお会いできることを願っております。

もちろん今回も、会期中はずっと在廊しております。
作品やグッズの展示販売だけでなく、肖像画のご相談、ご依頼も承ります。
DMのコメントにも書いた通り(↑)、心がぽかぽかと温かくなるような空間を作りたいと思っております。
ぜひお出かけください。
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大掃除

2012-01-14 18:53:23 | My Works -我が家の元さん-
              『 まるまるイ 』


昨年暮れの最後の数日間は、私も人並みに大掃除・・・らしきことをしていた。
とにかく一年間の汚れが目に付くところを拭きまくった。
その手がある場所で一瞬止まった。
それはダイニングを兼ねたリビングの一角にある食器棚の前・・・。

そこは元さんの寝床が置かれていた場所。 
中にふわふわのクッションらしき物が入った、15センチほどの高さの淵で囲まれた円形の寝床の中で、元さんはよくこんなふうに(↑)に丸くなっていた。
そしてそれは彼が天国へ旅立つその時まで・・・。

一年前の今ごろも、まだその寝床の中に元さんがいた。
ただ一昨年夏からは、口の中にできた病気のせいで口から食べることのできない状態が続いていた。
それでも消えることのなかった食欲のせいか、あるいは自ら病気を治そうとする表れなのか、口の中には始終唾液が溜まっていた。
時折その溜まった唾液をうまく飲み込むことができずに、顔を左右に激しく振って周りにまき散らすことも・・・。
それは床だけでなく食器棚のガラス戸にも飛び散り、すぐに拭き取れなかったものは、やがて乾燥して硬く固まったままになっていた。


元さんが天国へ旅立ったのは、2月17日・・・。
それから10ヶ月余りが経った年の暮れまで、食器棚に残された元さんのよだれの跡を拭き取ることができなかった。
もちろん気が付かなかったわけではない。 むしろ幾度となく目に入っても、あえて自分自身に対して気が付かないふりをしていたような気がする。
それはけっして単なる汚れなどではなく、元さんが必死に生き続けた“ 証 ”のように思えたから・・・。
それを拭き取ってしまったら、元さんと共に病気と闘い続けた半年間の、あの何にも代えがたい毎日が消えてしまいそうな気がしたから・・・。

しかし暮れの大掃除では、一瞬の戸惑いを振り払ってその“ 証 ”を拭き取った。
今までどうしてもできなかったことを、なぜ急に・・・?
自分でもはっきりわからないが、けっして“急”ではないと思う。
一年の終わりという一つの大きな区切りが、いつまでもこのままではいけない・・・という思いをずっと抱き続けてきた私の背中をポンと押してくれたのかもしれない。

きっと例外なく、人は誰でも一生のうちに何回もの悲しい別れを経験する。
その時は二度と立ち上がれないほどに打ちのめされたとしても、時が経つにしたがって、少しずつ、少しずつ、前を向き、自らの人生を歩き始める。
例えば宗教上の、また地域ごとの慣習の中の、あるいは遙か昔から伝えられてきた暦の上の様々な特別な日がある。 そういう時の流れの中の節目の一つ一つをきっかけにして、人は悲しみを乗り越えていくのかな・・・。

寂しさがなくなることはけっしてない。 
むしろ寂しいと感じる気持ちを失くしてはいけない。
失った大切な存在は、想い出すから寂しいのではなく、寂しいと思う気持ちがあるからこそ想い出すことができるのだから・・・。
でも、悲しみは自分の心の持ちようで、生きる力に変えることができるのかもしれない。
そしてそれにはそれなりの時間が必要で、とてつもなく長い年月が掛かることもあれば、あっと言う間だったり・・・。 常識的とか平均的ということがまったく通用しない、まさに人それぞれで、その人にしか判らないものなのだと思う。


今、食器棚のガラス戸はきれいになり、元さんの生きた“証”と思っていた跡はすっかり消えてなくなっている。
しかし、私がずっと恐れていたような、元さんとの想い出が薄れたり消えたりすることはなかった。
目に見える形あるものに自分の心と手で限をつけることができたことで、私が無意識のうちに作った悲しみの囲い中でじっとしていた元さんが、想い出の草原に飛び出して生き生きと動き始めたようだ。


昨年末の大掃除は、思いがけず私自身の心の大掃除になった。
新年の始まりと共に、心の中の元さんとの新しい付き合いが始まったような気がしている。

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5年越し

2012-01-10 18:16:48 | My Works -肖像画-

『 いつも そばに いるよ 』
                            
                           『 しあわせの瞳 』


昨年の暮れ、10日余りを残すのみとなった頃、私は完成した2点の肖像画をようやく依頼主のWさんに届けることができた。

ミニチュアダックスの2匹。
胡蝶蘭がバックのアリスちゃんは、何年か前に天国へ旅立ってしまっている。 そしてその後に新たなW家の一員となったのが、星空をバックにしている銀河君。 今も元気にお茶目をしているらしい。

この二つの絵・・・。 肖像画ご依頼のお話を初めていただいてからお届けするまで、何と5年越し・・・。
何十枚もの写真を繰り返し見ながら、何度も打ち合わせを重ねていた結果、振り返ってみたら5年という月日が過ぎていた。

きっとこの2点の作品が完成するためには、5年間という時間が必要だったのだと思う。
お話をいただいてから一ト月後には完成している絵もあれば、この2点のようなことも・・・。
もちろん時間の長短に関係なく、絵に向かい合っているときの私の気持ちはいつも同じ。 ただそれぞれの絵には、それが生まれるために必要な時間とタイミングがあるのだと思う。
私はその絵が生まれるべき瞬間の来た時に、何か不思議な力によって描かされているのだと思っている。
今回のこの2点は、どんなに時間がかかっても、最初に絵にしたいと思ったWさんのお気持ちが変わることなく、こうして実現できたということが何よりも素晴らしいことだと思う。
それにしても・・・、長らくお待たせをしました。


これまで300点近い肖像画を描かせてもらってきた。
自分でもよく分からないが、依頼を受けてから完成まで掛かった時間はまったくのバラバラ・・・。
ただ、完成したそれぞれの絵を依頼主に届けた時のことを思い出してみると、ふとこんな思いが浮かんでくる。
「愛するこのコを絵にしたい」という依頼主の気持ちが熟した時に合わせて、その絵が完成 = 生まれてくるのではないか・・・と。
その素晴らしい瞬間に、一番近くで関わることができる自分は幸せ者だと思う。
これからも、少しでも多くその瞬間に立ち会っていきたい。


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祥雲龍翔

2012-01-06 11:48:17 | 日記
                      『 絆 』           


めでたい雲が浮かぶ空を、龍のごとく飛翔する

今年の年賀状のデザインを考えていたとき、ネットの賀詞集の中で見つけたこの言葉が気に入って使うことにした。
干支の“龍”=“辰”と共に、自分の名前の中の一字も入っているからかもしれない。


今年の年賀状は“おめでとう”という言葉が例年と比べてずいぶん少ないと聞いた。
昨年が、3月の大震災を始めとして多くの災害に襲われた一年であったことからなのだろう。 誰もがそれまで当たり前と思っていた多くのことをもう一度考え、見つめ直した一年・・・。
その結果、これまで当然のように使ってきた“おめでとう”というもっともシンプルでストレートな表現を、同じように軽々に使うことが躊躇われたのかもしれない。

新年を迎え、それを愛でることが間違っているわけではない。
むしろ、千年に一度という大きな大きな悲しみを経験しながらも、こうして新たな年を迎えることができた・・・ということに感謝しなければ。
“おめでとう”の文字が減った代わりに、“ありがとう”という言葉が多くの年賀状に見られたというのも納得・・・。
もちろん年が変わったことで何もかもがリセットされたわけではなく、むしろこれからが本当の意味での始まりなのだと思う。
元旦早々に起きた比較的大きな地震は、どこか麻痺しかかっていた私の気持ちに「忘れるなっ!」と喝を入れてくれた。
犠牲になった多くの方々、そして今もなお大変な毎日を余儀なくされている被災者の方々のことをしっかりと思いながら、またこうして前に進むための新たな一年を迎えられたことに感謝しつつ、改めて声に出して伝えたい。

明けまして おめでとうございます


今回アップした『 絆 』は、“祥雲龍翔”の賀詞と共に年賀状で使った作品。
水槽の中のタツノオトシゴ親子にじゃれる猫・・・という構図の中に、いろいろな思いを込めてみた。
この小さい画像では解り難いかもしれないが、タツノオトシゴの視線を意識しながら描くのが、難しくもあり楽しかった。
年末にご案内した“わをん あい展”に出品している2点のうちの1点でもあるので、ぜひ原画を・・・。
同展の新年の部は16日~20日の5日間です。

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新年のご挨拶

2012-01-01 03:37:40 | 日記


2012年が始まりました。

今年がどうか良い年になりますように!

ただシンプルに、心の底からそう願います。

新しい年に替わったからと言って昨年のことを忘れてしまうのではなく、新しい年に替わった時だからこそ絶対に忘れてしまってはいけないことをもう一度思い出し、しっかりと心に刻みつけてこの一年を過ごしていきたいと思います。


皆さんにとって、今年が素敵な出来事で満ち溢れた一年となりますように・・・!
笑顔でいっぱいの忘れ得ぬ一年でありますように・・・!
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