絵本『 うさぎのユック 』 金の星社 刊
表紙絵『 決意 』
年の瀬になると、あの日のことが蘇ってくる。
2004年12月29日・・・。
その日は朝から雪が降っていた。
私にとって初めての、そして今のところは唯一の絵本『うさぎのユック』の朗読コンサートが、その日の午後に築地聖路加病院のチャペルで開かれた。
それから遡ること3年近く・・・、2002年1月に聖路加画廊で個展を開いていた私は、酸素ボンベを引っ張りながら展示された猫の絵を熱心に見入っている一人の入院患者さんと言葉を交わした。 その人が後の 絵門ゆう子 さん、『うさぎのユック』の原作者だった。
その偶然の出逢いから始まり、数えられないほど多くの、今にして思えば奇跡とも言えるような更なる偶然の積み重ねの末、絵本『うさぎのユック』は完成した。
そしてこの表紙に使われた『 決意 』は、私がこの絵本制作に参加することになった大きな大きなきっかけを作ってくれた、まさに奇跡の一作なのである。
ご存知の方もいると思うが、絵門ゆう子さんはNHKのアナウンサーとして、更には女優としても活躍された華々しい経歴を持っている。
その後絵門さんが乳がんを患い、どのような経路で聖路加病院に入院することになったのか・・・。 その詳細はあえてここでは触れずにおく。
彼女がそのような大変な経験をしたのは本当に悲しいこと・・・。 しかし、それが大きなきっかけとなって絵本『うさぎのユック』誕生につながっていったのも紛れもない事実だった。
時には苦しみ、また時には悩みながらも、現実と真正面から向き合い、自らの運命をしっかりとみつめ続けた末に生まれた、大きな素晴らしい結果の中の一つなのだ。
たとえ僅かでもそのお手伝いをできたことは、私にとって誇りであり、決して忘れることのできない大切な想い出になった。
絵本となった『うさぎのユック』の初披露となった9年前のその日・・・。
コンサートが始まる15時過ぎになっても、聖路加病院旧館の正面に広がっている芝生は、朝から降る続けた雪にすっかり覆われ、まさに白銀の世界になっていた。
それはまるで、絵本の主人公である5匹の真っ白なうさぎの兄妹を象徴しているかのようだった。
雪模様の寒い中にもかかわらずチャペルの席をいっぱいに埋めた人たちの前で、絵門さんは雪の結晶の野用にキラキラと輝きながら『うさぎのユック』を朗読していた。
絵門さんが天国に旅立ってから既に7年半・・・。 しかし、あの日の絵門さんの姿、そして溢れんばかりの笑顔は、私だけでなく彼女を知る人たち全ての心の中でいつまでも消えることなく輝き続けると信じている。
ユックが教えてくれた“命の大切さ” “生きていることの素晴らしさ”を改めて胸に、これからも一日一日を、一瞬一瞬を、精一杯生きていきたいと思う。
表紙絵『 決意 』
年の瀬になると、あの日のことが蘇ってくる。
2004年12月29日・・・。
その日は朝から雪が降っていた。
私にとって初めての、そして今のところは唯一の絵本『うさぎのユック』の朗読コンサートが、その日の午後に築地聖路加病院のチャペルで開かれた。
それから遡ること3年近く・・・、2002年1月に聖路加画廊で個展を開いていた私は、酸素ボンベを引っ張りながら展示された猫の絵を熱心に見入っている一人の入院患者さんと言葉を交わした。 その人が後の 絵門ゆう子 さん、『うさぎのユック』の原作者だった。
その偶然の出逢いから始まり、数えられないほど多くの、今にして思えば奇跡とも言えるような更なる偶然の積み重ねの末、絵本『うさぎのユック』は完成した。
そしてこの表紙に使われた『 決意 』は、私がこの絵本制作に参加することになった大きな大きなきっかけを作ってくれた、まさに奇跡の一作なのである。
ご存知の方もいると思うが、絵門ゆう子さんはNHKのアナウンサーとして、更には女優としても活躍された華々しい経歴を持っている。
その後絵門さんが乳がんを患い、どのような経路で聖路加病院に入院することになったのか・・・。 その詳細はあえてここでは触れずにおく。
彼女がそのような大変な経験をしたのは本当に悲しいこと・・・。 しかし、それが大きなきっかけとなって絵本『うさぎのユック』誕生につながっていったのも紛れもない事実だった。
時には苦しみ、また時には悩みながらも、現実と真正面から向き合い、自らの運命をしっかりとみつめ続けた末に生まれた、大きな素晴らしい結果の中の一つなのだ。
たとえ僅かでもそのお手伝いをできたことは、私にとって誇りであり、決して忘れることのできない大切な想い出になった。
絵本となった『うさぎのユック』の初披露となった9年前のその日・・・。
コンサートが始まる15時過ぎになっても、聖路加病院旧館の正面に広がっている芝生は、朝から降る続けた雪にすっかり覆われ、まさに白銀の世界になっていた。
それはまるで、絵本の主人公である5匹の真っ白なうさぎの兄妹を象徴しているかのようだった。
雪模様の寒い中にもかかわらずチャペルの席をいっぱいに埋めた人たちの前で、絵門さんは雪の結晶の野用にキラキラと輝きながら『うさぎのユック』を朗読していた。
絵門さんが天国に旅立ってから既に7年半・・・。 しかし、あの日の絵門さんの姿、そして溢れんばかりの笑顔は、私だけでなく彼女を知る人たち全ての心の中でいつまでも消えることなく輝き続けると信じている。
ユックが教えてくれた“命の大切さ” “生きていることの素晴らしさ”を改めて胸に、これからも一日一日を、一瞬一瞬を、精一杯生きていきたいと思う。