『 昼下がり 』
昨日の冷たい雨が嘘のように、今日は一気に夏の気配。
眩しいくらいの太陽の光に思わず目を細める。
あの日の谷中も、今日に劣らぬ強い陽射しが降り注いでいたな・・・。
絵の世界に飛び込んでまだいくらも経たない頃、私は絵のモデル探しにノラ猫のメッカともいうべき谷中へ出かけた。
ノラの姿を捜しながら共同墓地の中をあちこち歩き回ってほどなく、一匹の黒猫に出逢った。
まさに一目惚れ。
その圧倒的な存在感に魅せられて、“追っかけ”のごとく後をついて歩きながらシャッターを押し続けた。
お顔もなかなかのド迫力。 何十枚もの写真を撮り、そのうちのいくつかは早々に作品のモデルに使った。
しかし、その時に撮った中で一番気になっていたのは、後ろ姿・・・。
それを絵にすることができたのは、そのコとの出逢いから数年たってからだった。
それがこの『 昼下がり 』。
飼い猫には無いノラ猫独特の逞しさを表現するのに、どうしてもその数年が必要だったのかもしれない。
前回の『 陽だまり 』同様に、ただ単に猫の絵・・・という枠を越え、そこに己の姿や心情を重ねていたのだろう。
知人の H さんは猫が大の苦手。
それでもあたたかい励ましを届けに、猫だらけを覚悟で個展に来てくれた。
そんな H さんがこの絵を前にして、しばしジッと微動だにせず・・・。 そしてまったく視線を動かすことなく、いきなり「この絵、欲しいんですけど・・・」。
一瞬耳を疑った。 (猫は苦手なはずなのに・・・義理で?)と思ったりもした。 しかし振り返った H さんの眼を見て、その疑いはすぐに消えた。
「何だか、頑張ろう・・・っていう気になる」
それは私にとって何よりも嬉しい言葉だった。
初夏の昼下がりの陽射しが想い出させてくれたあの黒猫の後ろ姿・・・。 そして H さんの嬉しい一言・・・。
ただただ素直に、頑張ろうと思った。
昨日の冷たい雨が嘘のように、今日は一気に夏の気配。
眩しいくらいの太陽の光に思わず目を細める。
あの日の谷中も、今日に劣らぬ強い陽射しが降り注いでいたな・・・。
絵の世界に飛び込んでまだいくらも経たない頃、私は絵のモデル探しにノラ猫のメッカともいうべき谷中へ出かけた。
ノラの姿を捜しながら共同墓地の中をあちこち歩き回ってほどなく、一匹の黒猫に出逢った。
まさに一目惚れ。
その圧倒的な存在感に魅せられて、“追っかけ”のごとく後をついて歩きながらシャッターを押し続けた。
お顔もなかなかのド迫力。 何十枚もの写真を撮り、そのうちのいくつかは早々に作品のモデルに使った。
しかし、その時に撮った中で一番気になっていたのは、後ろ姿・・・。
それを絵にすることができたのは、そのコとの出逢いから数年たってからだった。
それがこの『 昼下がり 』。
飼い猫には無いノラ猫独特の逞しさを表現するのに、どうしてもその数年が必要だったのかもしれない。
前回の『 陽だまり 』同様に、ただ単に猫の絵・・・という枠を越え、そこに己の姿や心情を重ねていたのだろう。
知人の H さんは猫が大の苦手。
それでもあたたかい励ましを届けに、猫だらけを覚悟で個展に来てくれた。
そんな H さんがこの絵を前にして、しばしジッと微動だにせず・・・。 そしてまったく視線を動かすことなく、いきなり「この絵、欲しいんですけど・・・」。
一瞬耳を疑った。 (猫は苦手なはずなのに・・・義理で?)と思ったりもした。 しかし振り返った H さんの眼を見て、その疑いはすぐに消えた。
「何だか、頑張ろう・・・っていう気になる」
それは私にとって何よりも嬉しい言葉だった。
初夏の昼下がりの陽射しが想い出させてくれたあの黒猫の後ろ姿・・・。 そして H さんの嬉しい一言・・・。
ただただ素直に、頑張ろうと思った。