元気の源

猫が大好き、動物が大好きな、パステル画家・山中翔之郎のブログです。

昼下がり

2012-05-23 12:32:47 | My Works -ノラ猫たち-
                 『 昼下がり 』


昨日の冷たい雨が嘘のように、今日は一気に夏の気配。
眩しいくらいの太陽の光に思わず目を細める。
あの日の谷中も、今日に劣らぬ強い陽射しが降り注いでいたな・・・。

絵の世界に飛び込んでまだいくらも経たない頃、私は絵のモデル探しにノラ猫のメッカともいうべき谷中へ出かけた。
ノラの姿を捜しながら共同墓地の中をあちこち歩き回ってほどなく、一匹の黒猫に出逢った。
まさに一目惚れ。
その圧倒的な存在感に魅せられて、“追っかけ”のごとく後をついて歩きながらシャッターを押し続けた。
お顔もなかなかのド迫力。 何十枚もの写真を撮り、そのうちのいくつかは早々に作品のモデルに使った。
しかし、その時に撮った中で一番気になっていたのは、後ろ姿・・・。
それを絵にすることができたのは、そのコとの出逢いから数年たってからだった。

それがこの『 昼下がり 』。
飼い猫には無いノラ猫独特の逞しさを表現するのに、どうしてもその数年が必要だったのかもしれない。
前回の『 陽だまり 』同様に、ただ単に猫の絵・・・という枠を越え、そこに己の姿や心情を重ねていたのだろう。


知人の H さんは猫が大の苦手。
それでもあたたかい励ましを届けに、猫だらけを覚悟で個展に来てくれた。
そんな H さんがこの絵を前にして、しばしジッと微動だにせず・・・。 そしてまったく視線を動かすことなく、いきなり「この絵、欲しいんですけど・・・」。
一瞬耳を疑った。 (猫は苦手なはずなのに・・・義理で?)と思ったりもした。 しかし振り返った H さんの眼を見て、その疑いはすぐに消えた。
「何だか、頑張ろう・・・っていう気になる」
それは私にとって何よりも嬉しい言葉だった。


初夏の昼下がりの陽射しが想い出させてくれたあの黒猫の後ろ姿・・・。 そして H さんの嬉しい一言・・・。
ただただ素直に、頑張ろうと思った。
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陽だまり

2012-05-19 15:47:03 | My Works -ノラ猫たち-
          『 陽だまり 』


ここのところずっと新作のご紹介が続いていたから・・・というわけではないが、ベランダの置いた鉢植えに咲く花々を見ていたら、ふと懐かしい作品を想い出した。

今回ご紹介する『 陽だまり 』は、2002年春のボザール・ミュー6回目の個展に出品した中の一点。

一見元さん似のモデルは、深川富岡八幡宮そばの遊歩道を根城にしていたノラ。
穏やかな陽の光がふりそそぐ日に出会ったこの光景を目の前にして、「ああ、ほんの少しの間でいいからノラ猫になってみたいなぁ」と心の底から思った。
その思いをそのまま絵の中に込めた。
ノラ猫でも、元さんでも、描きながら私自身が癒されていることをいつも感じるが、この『 陽だまり 』は特に癒し効果が強かったのだろうか。 気が付くと、パステルを手にしたままウトウトしていた・・・なんてことが何度もあった。
特別なことでもなんでもない、あたたかな日の光を浴びながらただただゆっくりと過ぎてゆく時の流れに身を任せているだけ・・・。
そのなんと贅沢なことか! まさに至福のひとときそのもの。


しかしそれが今は・・・、同じ日本の中でありながら、戸外に出ることどころか立ち入ることも許されない地域がある。
この絵を描いた時には、そんなことが起きることなど思いもしなかった。
平穏の象徴とも言える“陽だまり”の中に身を置くことが、生命に危険を及ぼすほどのことになるなんて・・・。
不本意にも故郷を離れなければならなかった方々の悔しさや悲しみは、私がいくら想像してもその千分の一にも、万分の一にさえも届かぬほど深く大きなものだと思う。
同時に、何も知らないまま取り残された数多くの動物たちが、今や危険極まりない場所となった陽だまりの中で同じようにぬくもりを求めている姿を想像すると、胸を引き裂かれるような痛みを感じる。
時として自然を前に人は無力であることを思い知らされる。 しかし、人間たちが自分で作り出したものに対して無力であることは許されない。
過ちは過ちとして認め、正し、そして必ずや進むべき道を見つけることができるはず!


絵に向かって猫のすぐ左側に、他よりの少し伸びた数本の草が見えると思う。
私はそこに、ささやかながら生命の躍動感を表現するつもりで描いた。
気付かれなければそれでいい。 単なる雑草の一つにしか見えなければ、それはそれで構わなかった。
それでも私自身は、濃い緑のバックの中で目立つこともあってかなり緊張しながら、結構わくわくドキドキしながら描いたことを覚えている。
あの時はただ単に小さな新しい命が逞しく育っていく姿に感動を覚えていただけだった。
しかし今改めて見てみると、その数本の草の中に、今を生きる様々な生命たちのあるべき姿のヒントが隠れているように思えてきた。


未来(あす)の命のために、人は今何を決断し、実行し、継続していくべきなのか?
そしてその中の一人である自分は何をすべきなのか?
今改めて考える。
本来の“ 陽だまり ”を取り戻すために・・・。
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宙から & 新作ポストカードのお知らせ-2

2012-05-12 02:44:27 | My Works -我が家の元さん-
                     『 宙から 』


前回に続き、今回ご紹介する作品『 宙(そら)から 』も、4月の個展のために描いた新作。 星空の中の元さん作品5点のうちの1点です。

これまで“天体シリーズ”と呼んでいる作品を何十点と描いてきましたが、宇宙から見た地球を描いたのは初めて。
星になり、時には風になって、どこへでも自由に行くことができるようになった元さんは、きっとこんなふうに宙から私たちを見守ってくれているのだろう・・・と思いながら描きました。


新作ポストカードセットの二つ目は、この『 宙から 』に、既にご紹介済みの3点(↓)を加えた4枚セットです。

            
   『 星になって・・・』                      『 瞳のなかの宙 』
 

                  
                  『 げんき座 』


前回ご紹介した新セットと同様に、原画の雰囲気を感じていただけるきっかけになれば嬉しいです。

でも本音を言うと・・・、ポストカードだけで満足されずに、ぜひ原画を見ていただきたい~~~!
原画を目の前にした時だけしか感じることができない何かが、きっとあるはずですから・・・。
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ぼくの気持ち & 新作ポストカードのお知らせ-1

2012-05-11 02:07:50 | My Works -我が家の元さん-
                                
                 『 ぼくの気持ち 』


この『 ぼくの気持ち 』は、4月の個展に出品した新作のうちの一点です。

様々な色彩に包まれた元さんを描いた新作は全部で7点。 そのうちの多くが花をイメージしたものでした。 
といっても、具体的な花の種類は私にもわかりません。 元さんがいるあちらの世界にもきっときれいな花々が溢れている・・・そんなイメージを浮かべながら、どんな色を選ぶかは手の動きに任せることにしました。

その中で、この絵だけはちょっと花の種類を意識しました。
私にとって、“桜”は数ある花々の中でも特別な存在で、再生の象徴です。 そして尻尾に巻きつけられているのは、ささやかながら“勿忘草”。
どちらも私が勝手に想像した元さんの気持ちです。


今回の個展に出品した新作から、4枚組を2セット作りました。
そのうちの1セットが、この『 ぼくの気持ち 』も入っている、いわば“花々に包まれた元さんセット”ということになります。
ほか3点は、既にご紹介したこの(↓)作品たちです。

             
     『 想い出がいっぱい 』                    『 日 課 』


                  
                  『 すやすや 花枕 』



もう原画をご覧いただくことのない作品もありますが、ポストカードを通じて原画も雰囲気を感じていただければ嬉しいです。

もう1セットのご案内は、次回に・・・。
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寄付のご報告

2012-05-09 16:27:24 | 日記


4月16日 ~ 22日、銀座ボザール・ミューにおける個展中、東日本大震災で被災した子供たち、そして動物たちのための募金箱を会場に設置しました。

募金箱の中に集まった皆様の温かいお気持ちは \17,505になりました。
本当にありがとうございました。
これにささやかですが元さんと私からの気持ちを加えて、今回は緊急災害時動物救援本部に寄付させていただきました。

一年前はただ何かをしないではいられないという気持ちだけで、まったくと言っていいほど後先のことも考えることなく寄付をしました。
あれから一年・・・、あの時と比べたら今回はかなり少ない額になってしまいました。
しかし、大切なのは決して気持ちを切らすことなく、どんなに少なく細くても、長く長く続けていくことだと思います。
無理をし過ぎて自分自身の生活がおかしくなってしまっては何にもなりません。 これから先少しでも長く続けていくためにも、先ず自分自身が心身ともに元気でいなくては・・・! その上で身の丈に合ったほどほどの無理をして、その結果生み出すことができたものこそが本当の支援なのでは・・・。
どれほどのことができるかはわかりませんが、これからも精一杯絵を描くことを続けながら、さらにもうほんの少しの無理をしていきたいと思います。

細くてもいい 長く 長く

ご報告が遅くなって申しわけございません。
みなさんのお気持ちを預けていただいたことに、改めて御礼申し上げます。


どうか被災地の復興が着実に進みますように・・・!
被災された方々、そして動物たちに、どうか幸せな日々が訪れますように・・・!
どうか新たな災害が起こりませぬように・・・!
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横浜山手 “猫の展覧会” 終了!

2012-05-08 23:59:05 | 展示会


昨日7日、横浜のArt Gallery 山手で開催されていた“猫の展覧会”が終了しました。

今年のゴールデンウィーク中の天気は何やら不安定でした。
朝は青空かと思えば、夕方には傘が必要になったり・・・。 一日ずっと天気が良かったのは連休終わり近くの一~二日しかなかったですね。
そんな中をお出かけいただいた皆様、本当にありがとうございました。

残念ながらお会いできなかった方々とは、ぜひ次回の個展でお会いできればと思っております。
6月後半には、聖路加第二画廊で。 9月中旬には横浜Art Gallery 山手で、それぞれ個展を予定しています。
ぜひお出かけください。

ありがとうございました。

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安らぎの中で・・・

2012-05-02 12:06:54 | My Works -我が家の元さん-
          『 安らぎの中で・・・』


元さんの斜め後ろ姿を描いたこの絵は、2005年秋にボザール・ミューで開いた個展“色彩の中の猫たち”に出品した一作です。
あの頃の元さんが視線の先に何を見据えていたのか・・・? そして何を思っていたのか・・・? 
もちろん訊いてみたところで答えてくれるはずもありませんでしたが、この絵の中で描こうとした“安らぎ”のイメージは、元さん自身というより、その姿を見ている私自身が感じていたものだったようです。
その“安らぎ”を色彩で表現しようとして、私が手に取ったパステルはこの色でした。


今、横浜のArt Gallery 山手で開催されている“猫の展覧会”で、この『 安らぎの中で・・・』が展示されています。
そのほかに、前々回ご紹介したDMに掲載された作品『 まぶしい・・・』と、だいぶ前になりますが一昨年の12月にこのブログの中でご紹介したことのある『 夢ふかふか 』の、色彩の中の元さんトリオを中心に、ペンや墨の線描にパステルで彩色した小品15点(予定よりだいぶ増えました)を出品しています。

 
 『 まぶしい・・・』

                     
                       『 夢ふかふか 』
          

天気予報では今日明日と雨模様とのことですが、連休後半はまずまずの天気になりそう。
横浜方面にお出かけの際は、ぜひお立ち寄りください。
ちなみに・・・、私は5日(土)午後2時ごろから夕方までギャラリーの中でうろうろしていようと思っています。

ゴールデンウィークも後半。 皆さんにとって、素敵な休日となりますように!
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