shuの花日記

山や近所で見かけたお花をエピソードを添えて掲載しています。お花の説明は主にウィキペディア、花図鑑を参考にしています。

十勝岳に登りました

2019-08-10 23:05:21 | 山行・旅行


8月6日に大雪山・旭岳(2291m、日本百名山)から下山後、かつて勇駒別温泉と呼ばれていた旭岳温泉で汗を流したのち、十勝岳(2077m、日本百名山)の麓にあたる吹上温泉白銀荘前のキャンプ場にテントを張りました。
吹上温泉は十勝岳登山口の一つであり、当初ここから十勝岳へ登るつもりでしたが、登山道が森林の中を通ることからクマの出没を恐れたことと、急遽単独登山になったことで万一のことを考え、多くのハイカーが利用する望岳台登山口から登ることとしました。

8月7日、6時前に十勝岳望岳台防災シェルター(突発的な噴火による噴石から身を守るための緊急避難施設で、きれいなトイレもある)で入山届を済ませました。この建物は2014年の御嶽山噴火を教訓に、かつてのレストハウスを建て替えてできたようです。


実は、望岳台へは一度来たことがあります。
有史以来何度も噴火を繰り返している十勝岳ですが、1923年に起きた144名の死者を出した大正噴火のことを詳しく知ったのは、三浦綾子の小説「泥流地帯」を読んでのことでした。その後、上富良野町にある「十勝岳爆発記念碑」を訪れ手を合わせ、そして、望岳台を訪ねたのがほぼ10年前のことでした。
今回、当初の予定とは異なり望岳台を再訪できたのも、何かのご縁だと思いました。
さて、6時15分、標高900mの望岳台から登山開始です。


望岳台からの登山道は溶岩流が流れた跡を歩くので、植物は乏しいと思いきや、多くの花が咲いていて驚きました。
真っ先に目に飛び込んできたのは、エゾオヤマリンドウ(蝦夷御山竜胆、リンドウ科リンドウ属の多年草)です。このお花は標高1600m辺りまでたくさん咲いていました。




続いてシラタマノキ(白玉の木、ツツジ科の常緑小低木)です。この木は望岳台から少し上がった辺りで観ました。


マルバシモツケ(丸葉下野、バラ科シモツケ属の落葉低木)はたくさん観ましたが、お花が残っていたのは僅かでした。


30分ほど歩くと、吹上温泉白銀荘からの道と合流します。


さらに30分ほど歩くと美瑛岳方面への分岐となります。


オンタデ(御蓼、タデ科オンタデ属の多年草)は登山口付近からたくさん見かけましたが、この辺りから避難小屋付近で群生していて、標高1700m付近まで見かけました。標高が高いところではお花が赤く色づいていました。オンタデは雌雄異株なので、白いのが雄株、赤いのが雌株なのかもしれません。1600mを越えたところでは実をつけた株もいくつか見ました。




歩き始めて1時間10分ほどで避難小屋に着きました。ここで最初の休憩を取りました。


避難小屋を過ぎると登山道の勾配が急になり、見かけるお花も減っていきます。


エゾオヤマリンドウ、オンタデ以外では、イワブクロ(岩袋、ゴマノハグサ科の多年草)を時々観ました。
田中澄江氏は「花の百名山」の中で、十勝岳を代表するお花としてイワブクロを選んでいます。


数は少ないですが、メアカンキンバイ(雌阿寒金梅、バラ科タテヤマキンバイ属の小低木)も咲いていました。


急登を登りきったところで、大きな岩に腰を掛けて2回目の休憩としました。歩いてきた道が延々と見えました。


さて、標高1700m辺りを過ぎるとお花を観ることもほとんどなくなり、いよいよ火山地帯の中に入ってきた印象が強くなります。
目指す十勝岳が目の前に見えてきます。ガスがかかっていますが寒さは感じません。


振り返ると避難小屋や歩いてきた道がしっかり見えます。高度が上がっているのが嬉しいです。


標高1730m付近のスリバチ火口の縁を歩きます。この辺りで観たオンタデは背丈が20~30cmほどで、最後のお花でした。


登山道の右側はグラウンド火口で、その向こうに前十勝岳から上がっている噴煙が見えます。前十勝岳は当然ながら登山が禁止されています。


標高が1750~1800m付近はなだらかな道が続いていて、所々海岸を歩いているかのような深い砂に足がとられます。


左手にはこのコース唯一の雪渓が現れますが、簡単に雪渓に下りることはできそうにありませんでした。


そして、いよいよ標高差200m余りの最後の急登にかかります。


最後の登りは慎重に進みます。


9時55分山頂に到着しました。コースタイム4時間5分のところ、休憩を含めて3時間40分はまずまずのペースでした。


山頂から見た北東側の景色です。雲の隙間に美瑛岳の一部が見えています。


こちらは南西側の景色です。上ホロカメットク山を経て富良野岳へ道は続いています。


登ってきた北西側の風景です。


最後に噴煙を上げている前十勝岳の姿をご覧いただきます。


帰路は同じ道を戻り、望岳台には12時45分に到着しました。最後は持参した1.8Lの飲料水のほとんどを飲み終えての下山となりました。
今日も安全に下山できたことを感謝して、最後に防災シェルターに立ち寄り下山届に記入し、テント場へ戻りました。
コメント (8)
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大雪山・旭岳へ行ってきました

2019-08-10 05:44:03 | 山行・旅行


8月5日から4泊5日の日程で、北海道へ出かけました。4泊の中3泊はテント泊で残りの1泊は簡易宿泊施設を利用、5日の中の2日を大雪山・旭岳(2291m、日本百名山)と十勝岳(2077m、日本百名山)登山に当て、残る3日は北海道内外の移動と休養(雨天予備日)とする計画で、実際もその通りになりました。

8月6日は大雪山・旭岳登山で、前泊した東川町青少年野営場から登山口の旭岳ロープウェイ山麓駅までは750mの距離です。
ロープウェイの駅の隣に、新しくできた旭岳ビジターセンターがあり、車はそこに停めました。
15分ごとに出発する101人乗りの大型ロープウェイに乗ると、10分で標高1600mの姿見駅に到着です。




姿見駅を出ると、目の前には旭岳がどーんと聳え、姿見の池に通じる登山道の周りはお花でいっぱいです。


ミヤマアキノキリンソウ(深山秋の麒麟草、キク科アキノキリンソウ属の多年草)。


ミヤマリンドウ(深山竜胆、リンドウ科リンドウ属の多年草)。


シラネニンジン(白根人参、セリ科シラネニンジン属の多年草)。


イワブクロ(岩袋、ゴマノハグサ科の多年草)。


マルバシモツケ(丸葉下野、バラ科シモツケ属の落葉低木)。


チングルマ(珍車、稚児車、バラ科ダイコンソウ属の落葉小低木)はお花が終わり、果実となっています。


姿見の池からは荒々しい火山の風景の中に入って行きますが、この描写については深田久弥氏の日本百名山を引用しましょう。少し長くなりますが、姿見の池に至る風景から始めることとします。
「勇駒別からの登り始めの、深々した針葉樹林には誰しも目を見張る。その樹林の上にスックとそびえ立つ旭岳は、この上なく美しく気高い。北海道の最高地点たるに恥じない。その林の中を歩いて、天女ヶ原という気持ちのいい湿原を過ぎると、勾配の急な坂道になり、やがて樹林帯を抜けて姿見の池へ出る。旭岳のすぐ下にある美しい池で、正面の大爆裂火口は荒々しい岸壁となり、そこから流れ出た地獄谷には諸所に白い噴煙があがっている。勇駒別の浴客はこの辺まで遊びに来るらしい。
それから先、爆裂火口の南縁をなす稜線を頂上目ざして一途の急登になる。おまけに足元がガラガラの噴出物の砂礫だから歩きにくい。幾度も立留まって息を入れながら登るにつれて、雄大な景色が展けてくる。忠別川を距てて向こうに伸び伸びと拡がった高根ヶ原、まるで山上の大グラウンドのようである。見おろすと、樹林で覆われた広い平、その縁の間に、小さな沼が幾つも光っている。内地の山に比べて途方もなく大スケールの大きいことを、ここに来て初めて登山者は感得する。」

この時間、姿見の池はそよ風が吹き続けて、山容を写すことはありませんでした。


姿見の池を過ぎると、登山道は荒々しい岩と砂礫の道になり、お花を観ることもありませんでした。


左に広がる大爆裂火口は、岩肌がきれいです。時々青空も覗き火口に陽が当たると、噴火で積った火山岩の地層が輝きました。


休み休み歩いて8合目です。砂礫の道はまだまだ続きます。


驚いたことに、9合目を過ぎると道端にお花が現れました。お花には元気づけられます。
エゾイワツメクサ(蝦夷岩爪草、ナデシコ科ハコベ属の多年草)です。


姿見の池付近でも観たイワブクロも咲いていました。


そして、お花に励まされながら、ようやく山頂に着きました。


山頂からは歩いてきた道と、その脇の爆裂火口と地獄谷の風景、そして深田久弥氏が山上の大グラウンドと喩えた高根ヶ原の風景が広がって見えます。


反対側には大雪山の2000m級の峰々が連なって見えます。次回来るときは縦走したいものです。


山頂付近には、これまで見なかった黄色いお花が咲いていました。自信はありませんが、メアカンキンバイ(雌阿寒金梅、バラ科タテヤマキンバイ属の小低木)のようです。




山頂で早めの昼食を摂り、ゆっくり時間をすごした後、登ってきた道をゆるゆる下山しました。
姿見の池は、多少風も収まり、旭岳の雄姿を写し始めていました。


付近には、多少見ごろを過ぎたもののコマクサ(駒草、ケマンソウ亜科コマクサ属の多年草)も咲いていました。


姿見の池からは、登ってきた道とは違うコースでロープウェイの駅に向かいます。途中には池沼が点在します。こちらは鏡池。


こちらはすり鉢池。


すり鉢池の周りにはお花畑が残っていました。


チングルマもまだきれいです。


池を通り過ぎると、チングルマは、果実に。


エゾオヤマリンドウ(蝦夷御山竜胆、リンドウ科リンドウ属の多年草)。


エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)。


こうして、今回の北海道旅行のメインイベントの一つ、大雪山・旭岳登山を無事に終え、帰路もロープウェイで下山して、次の目的地の十勝岳麓の上富良野町吹上温泉白銀荘前キャンプ場へ向かいました。









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