著作権について説明し、SNS投稿での著作権の侵害となるもの・ならないもの・微妙なものなどを採り上げてどのような対応が可能か等を論じた本。
著者の肩書きが「弁護士・You Tuber」とされているので、著作物利用者側の視点で論じたものかと期待をしましたが、基本的にビジネスローヤーとして、企業側、著作権ビジネス関係者(出版社・放送事業者・音楽出版社等)の立場で論じています。
「著作権」は作品を「作った人」と「広める人」を守っている(6ページ)と、著作権とは何かの説明から、もっぱら著作者を守るのではなく自らは作品を生み出さない著作権ビジネスで儲ける人びとを守るものという認識を示しているのが、ある意味では清々しいとも言えます(最初の方では、「広める人」は実演家=俳優、歌手、演奏家のことと説明しています(40ページ等)が、「著作権を正しく利用するには」(52~57ページ)では著作権をどう利益に結びつけるかが説明され、出版社等が儲けて著作者はそこから一部の利益の配分を受けるという構造の説明があります)。一番儲けているのは著作者ではなく何も著作物を生み出さずに著作権ビジネスで儲けている事業者だという現実を前提に、海賊版サイト運営等を厳しく処罰するのはまだしも、そこへのリンクを張ったサイトも処罰し、違法アップロードされたコンテンツをダウンロードした個人消費者まで処罰することは、私はやり過ぎだ(著作権ビジネスで儲ける事業者を保護するためにそこまでやるか)と思うのですが、著者にとっては「海賊版は許さないぞ!という法改正は頼もしいですね。」(64ページ)ですからね。まぁ、コンテストへの応募の際に応募作品の著作権が主催者に帰属することとされていることがあるので注意するように述べている(124~125ページ)ところは、横暴な出版社等への注意を促していますが。
ハンディなサイズで、SNS投稿で気になりそうなさまざまなケースを採り上げて、OK・NGを示しているので、サブタイトルにいう「これって違法?」の心配が消えるとまで言っていいかはともかく、使いやすい本だと思います。「他人の著作物を利用する場合の手順」のフローチャート(115ページ)で、最後の「引用などの権利制限にあたるかどうか」で「YES」「NO」が逆になっているのは、たぶん著者自身が図の校正までせずに編集者校正に任せてのミスとは思いますが、お粗末ですけどね。
井上拓 誠文堂新光社 2022年8月20日発行
著者の肩書きが「弁護士・You Tuber」とされているので、著作物利用者側の視点で論じたものかと期待をしましたが、基本的にビジネスローヤーとして、企業側、著作権ビジネス関係者(出版社・放送事業者・音楽出版社等)の立場で論じています。
「著作権」は作品を「作った人」と「広める人」を守っている(6ページ)と、著作権とは何かの説明から、もっぱら著作者を守るのではなく自らは作品を生み出さない著作権ビジネスで儲ける人びとを守るものという認識を示しているのが、ある意味では清々しいとも言えます(最初の方では、「広める人」は実演家=俳優、歌手、演奏家のことと説明しています(40ページ等)が、「著作権を正しく利用するには」(52~57ページ)では著作権をどう利益に結びつけるかが説明され、出版社等が儲けて著作者はそこから一部の利益の配分を受けるという構造の説明があります)。一番儲けているのは著作者ではなく何も著作物を生み出さずに著作権ビジネスで儲けている事業者だという現実を前提に、海賊版サイト運営等を厳しく処罰するのはまだしも、そこへのリンクを張ったサイトも処罰し、違法アップロードされたコンテンツをダウンロードした個人消費者まで処罰することは、私はやり過ぎだ(著作権ビジネスで儲ける事業者を保護するためにそこまでやるか)と思うのですが、著者にとっては「海賊版は許さないぞ!という法改正は頼もしいですね。」(64ページ)ですからね。まぁ、コンテストへの応募の際に応募作品の著作権が主催者に帰属することとされていることがあるので注意するように述べている(124~125ページ)ところは、横暴な出版社等への注意を促していますが。
ハンディなサイズで、SNS投稿で気になりそうなさまざまなケースを採り上げて、OK・NGを示しているので、サブタイトルにいう「これって違法?」の心配が消えるとまで言っていいかはともかく、使いやすい本だと思います。「他人の著作物を利用する場合の手順」のフローチャート(115ページ)で、最後の「引用などの権利制限にあたるかどうか」で「YES」「NO」が逆になっているのは、たぶん著者自身が図の校正までせずに編集者校正に任せてのミスとは思いますが、お粗末ですけどね。
井上拓 誠文堂新光社 2022年8月20日発行
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