日本労働弁護団の中心メンバーによる労働法・労働事件の実務解説書シリーズの労働時間・休日・休暇関係の部分。
2008年に刊行された「問題解決労働法」シリーズの改訂版です。
「はじめに」の冒頭から示されているように、過労死を生む長時間労働を強いる労働現場(経営者)への怒りがこの本全体の基調となっており、著者の主張がにじみ出るところが多くなっています。同じ労働側の弁護士として、意見部分に賛同する点が多く、快く読めてしまうのですが、そういう視点からの本だという認識で読むべきでしょう。
管理監督者(深夜労働に関する規定以外の時間外・休日労働に関する規制が及ばない)の判断基準(32~47ページ)、固定残業代(158~174ページ)、事業場外みなし労働(事業場外での労働時間について「労働時間を算定しがたい」場合には実労働時間にかかわらず一定の時間/多くは所定労働時間の労働、とみなす制度:176~196ページ)は、よくまとまっていて、実務上大変参考になると思います。
シリーズ全体でのテーマの割り振りの問題ですが、労働時間に関しては実務上は残業代請求との関係で問題になる論点が多いにもかかわらずこの本では残業代請求そのものは扱わないため、説明の目的というか焦点が残業代請求と連携せず、そこが少し読みにくいかなと感じられました。
このシリーズでありがちな、2008年時の記述が見直されていなくて、最新情報に差し替えてほしいなと思う部分や、誤植・変換ミスが通常の書籍よりも多いと感じられるという問題はやはりあります。
棗一郎 2016年8月10日発行 旬報社
2008年に刊行された「問題解決労働法」シリーズの改訂版です。
「はじめに」の冒頭から示されているように、過労死を生む長時間労働を強いる労働現場(経営者)への怒りがこの本全体の基調となっており、著者の主張がにじみ出るところが多くなっています。同じ労働側の弁護士として、意見部分に賛同する点が多く、快く読めてしまうのですが、そういう視点からの本だという認識で読むべきでしょう。
管理監督者(深夜労働に関する規定以外の時間外・休日労働に関する規制が及ばない)の判断基準(32~47ページ)、固定残業代(158~174ページ)、事業場外みなし労働(事業場外での労働時間について「労働時間を算定しがたい」場合には実労働時間にかかわらず一定の時間/多くは所定労働時間の労働、とみなす制度:176~196ページ)は、よくまとまっていて、実務上大変参考になると思います。
シリーズ全体でのテーマの割り振りの問題ですが、労働時間に関しては実務上は残業代請求との関係で問題になる論点が多いにもかかわらずこの本では残業代請求そのものは扱わないため、説明の目的というか焦点が残業代請求と連携せず、そこが少し読みにくいかなと感じられました。
このシリーズでありがちな、2008年時の記述が見直されていなくて、最新情報に差し替えてほしいなと思う部分や、誤植・変換ミスが通常の書籍よりも多いと感じられるという問題はやはりあります。
棗一郎 2016年8月10日発行 旬報社