伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

2023-11-28 20:42:12 | 小説
 荒木村重の謀反と有岡城落城後姿を消した村重の行方、捗々しく行かぬ毛利攻めから本能寺の変、山崎の戦いに至る織田家中と諸大名のバタバタぶりを描いた時代小説。
 有名どころの武将たちと千利休の他に、元甲賀の抜け忍の芸人曾呂利新左衛門、秀吉の軍勢に入り込んだ無名の百姓難波茂助を比較的重要なプレイヤーにしたところに特徴があるのだと思われます。百姓が武将の軍勢や野武士に殺され犯され略奪される様子、茂助が野武士に妻を殺され娘を犯されて殺されて復讐を試みる様子が描かれ、通常であれば、踏みつけられる民の痛み、武士たちの傲慢さがテーマと見えるところですが、茂助自身が弱い者を見つけるや略奪と強姦に明け暮れているところが、作者の方向性を示しているように思えます。


北野武 角川書店 2019年12月20日発行

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