野性派でいこう!

日々の徒然です。子供四人。自然派。遺跡発掘事務所でお仕事。遺跡発掘調査で働き、やっぱり描いたり書いたりする日々。

考古学白熱教室

2015-04-01 21:23:13 | お仕事話


ベッドタウンのくせに地名に温泉がついている。

ちょっと日常から浮いているような小さな街の、小さなビルの事務所の一番奥の部屋。


机の上には縄文土器がところ狭しと並べられ、
足元にも、廊下の天箱にも、次の土器たちが待っている。

わたしたちの最近のお仕事は、この土器たちを洗い判別し名前をつけ、記録していく事である。

わたしたちを率いてくださるのは先生だ。

先生は、大学では学生に教えている。

時給で土器を扱う私たちにも、丁寧に根気強く教えてくれる。

歳はよくわからない。わたしよりは10は上だと聞いているが、
考古学の世界に生き、物事を徹底的に追及している迫力が年齢をわからなくさせる。

好きな物の前ではそれが100%になり、他がまるで遠退くような性質が、ちょっとわたしと似ているかもなどと思う。


山と積まれた土器の文様を辿る。
その力強い反復のリズムが、自由を創っている不思議。

先生はそのリズムを読み取って、縄文時代の人々を追う。

わたしたちは先生を追う。
先生の一語一句、逃したらもったいないと感じる。

生まれて初めて、勉強、をしている感覚がする。

先生が土器を説明してくれているのか、
約5000年前の土器たちが、わたしと先生を介しているのかわからなくなる。

土器のザラリとした器面をなでる。
土器の土埃でくしゃみがでる。
耳の中まで黒くなる埃っぽい狭い部屋だ。

それらがわたしに質量を与えている。

反復するわたしの日常。
それがまた、リズムになる。