獅子丸のモノローグ

☆気まぐれ不定期コラム☆

私が愛したクルマたち(9) ホンダ・バラードスポーツCR-X

2012年07月04日 | カタログ倉庫

 ’82年秋に登場した「プレリュード」で、私は日産派→ホンダ派になった。
 そして、’83年の春。多感なモラトリアムの高校生だった私を誘惑するクルマが、またしてもホンダからリリースされたのだった。


 それは、「バラードスポーツCR-X」。


 ホンダが久々に放った、ライトウェイトスポーツカーである。


 セミ・リトラクタブルライトのフロントマスク。


 テールを短くカットし、寸詰まりながらも愛らしいサイド・ビュー。


 下半身に「H.P.ALLOY」という軽量な新素材を纏う、ツートンカラーのボディ。
 

 スパッ!と切り落とされたテールエンドが、きわめて斬新に見えた。
 ただし、この処理は後方視界にやや難があった模様で、2代目CR-Xでは、ここにエクストラウインドウが配されている


 大胆なチェック柄のフロントシート。余談だが、チェッカーズがデビューしたのは、この年の9月である。


 デジタルメーターは、’80年代前半の流行アイテムであった。


 車高の低いこのクルマのヘッドルームを確保し、短いルーフに装着させるための革新的アイディアが、「世界初」の「電動アウタースライド・サンルーフ」だ。
 また、エアコンが今ほど普及していなかったこの時代。「ルーフベンチレーション」は、天井から新鮮なエアシャワーを降り注いだという。


 低いノーズと、流れるようなルーフ。そして「セミ・リトラクタブルヘッドライト」。
 それに加え、トレッドに対しホイールベースが短い、ワイド&ショートボディ。
 我が家にあった文献をひもとくと、CR-Xのトレッド/ホイールベース比は0.64であるという。
 ちなみに、当時のランチア・ストラトスのその数値は0.66で、ランボルギーニ・カウンタックでさえ0.62とのこと。


 「マンマキシマム・メカミニマム」を具現した、ボディ&メカニズム。


 SOHCでありながら、1気筒あたり3バルブで、低燃費と高出力を具現したエンジン。


 特に、1.3L車は、燃費への対策がてんこ盛り!そのMT車の10モード燃費は、20.0km/Lと、当時としては破格の数字だった。


 だが、ATの「ホンダマチック」は3速に過ぎず、おせじにも効率のいいトランスミッションでは無かったと思われる。


 低いノーズを実現するのに大いに寄与したと思われる、「トーションバー・ストラット式フロントサス」。


 ’80年代前半。プレリュード以降のホンダ車は、FFでありながらもノーズが低く、前方視界は大いに良好だった模様。バケットシートが、その低重心の走りを支える。


 ステアリングホイールは、革巻きではなかったものの、しっとりとした質感のプラスティックで、手になじんだものだ。
 このステアリングは、かつて友人の尾車氏が乗っていた「クイント・インテグラ」のそれと共通で、後に氏より私がそれを譲り受け、愛車の「シティ」に装着していたものだ。


 当時の高級車感覚の「タッチスイッチ式ヒーターコントロール」は、ドライバーの手に届きやすい位置に配置され、操作性良好だったと思料される。
 リヤワイパースイッチが同軸に配された「回転式ワイパースイッチ」も、然りである。ただし、1.3L車の場合は「間欠機構」と「リヤワイパー」が省略されていた模様で、そこは大いに残念。


 「トライアングルメーターバイザー」により、視認性と操作性を両立。
 当時としては斬新だった「エレクトロニック・ナビゲータ」は、平均車速・平均燃費・消費燃料等を表示できる優れモノ。


 非常用のリアシートといえる「1マイル・リアシート」。「1マイル(1.6km)なら我慢できる」という意味で、名付けられたらしい。その昔、自動車評論家の星島浩氏が、モーターファン誌で「犬も参るからワン・マイルシートだ!」と、枯れたジョークを放っていたことを思い出す。



 「セミコンシールドワイパー」「フラッシュサーフェスウィンドウ」「サッシュレスドア」、そして「インテグラル・ドアハンドル」は、良好な空力特性に大いに貢献。


 「サイドデミスター」で、雨天時の側方視界を確保。


 「センターポケット」には、サングラス等の小物を格納できる。タバコも、入りそうですネ・・・


 「フットレスト」は、やや平板で、実際にスポーツ走行時の役に立ったかどうかは、謎である。
 また、「テンポラリースペアタイヤ」は、この頃から登場したアイテムだ。


 足元のお洒落と軽快感を両立する「アルミホイール」は、オプションであった。
 特に、上の写真の左の「丸4つ」のアルミのデザインは、なかなかキュート。


 燃費も良好だった「1.3」は、お洒落なシティ・コミュータとして、悪くない選択だったように思う。「間欠ワイパー」が未装備なのが、ただ一点の曇りと言えましょう。


 装備充実の「1.5i」。この当時のCR-Xは、スポーティでありながらも都会的で、汗臭くないイメージのクルマだった。
 「1.5i」の場合、ボディ下半身の「H.P.ALLOY」にはシルバー塗装が施されている。
 だが、私見では、ブラックの樹脂色そのままの「1.3」の方が、潔くスポーティに見える。





 若い二人のためのデュエット・クルーザーCR-X。
 全長3675mm×全幅1625mm×全高1290mm。そのコンパクトなサイズは、現代のクルマが失ってしまったモノだ。
 さらには、1.3L車の価格は、札幌地区の場合102.7万円からと、大変リーズナブル!当時の若者でも、手が届く範囲だっただろう。
 まあ、およそ30年前と現代では、貨幣価値がだいぶ異なるとはいえ・・・現代の86BRZは、今の若者が気軽に買える価格帯のクルマではない。2000ccだし・・・
 やっぱ、手ごろな価格で、排気量1.3~1.5リットルのライトウェイト・スポーツが、日本から再度出てきてほしいものだ。私の、小さな願いである。

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