私が免許を取って2ヶ月後、姉が38万円で買ったこのシティ('82年式)を15万円で譲ってくれた(タダでくれてもイイのにね!)。燃費はすこぶる良くて、15km/Lを割ることはほとんど無く、財布の軽い学生の私にはありがたいクルマであった。
このクルマとは正味2年間の付き合いであったが、なんというか、それはとても濃密な2年間であった。大学の仲間たちや高校時代の友人たちとのドライブ。スピード違反で3度つかまり、免停となったこと。高校のグラウンドに乗り込んで、危うくひっくり返りそうになったこと。大倉山で札幌の夜景をみながら、友と愛や平和を語ったこと。「君は政治的で戦略的なプロストになっちゃダメさ!いまこそ君はひたすらひたむきに速く走るセナにならなきゃ!まっすぐ突き進むのさ!2位を狙っちゃダメさ!男は優勝かリタイアかどちらか一つさ!」そんな彼のセリフが、今脳裏によみがえる。
もしもクルマを持ってなかったら、ウチのカミさんとの付き合い方もだいぶ違っていただろうし、数々の楽しい思い出はとてもお金で買えるものではない。そう考えれば15万円という価格は決して高いものではなかったと、自分を納得させている、そんな私がここにいる。