形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

模型飛行機

2009-11-21 08:41:01 | 昭和の頃

子どもの頃に駄菓子屋に次いで、少年たちに人気があったのは模型屋
だった。 女の子はあまり入らなかったように思う。 模型のほうは、
駄菓子屋よりもあとから出てきた店だが、子どもが少し貯めたお小遣い
でも買えるような値段のものを置いていた。

少年たちに一番人気があったのは、模型飛行機だった。
模型飛行機といっても、今のような精密なものではない。 細い木の
胴体に、竹ヒゴを骨組みにして、紙を貼って作った翼をつける。 動力
はプロペラと、胴体の後ろに引っ掛けた長いゴムの束で、プロペラを巻い
てゴムを捩り、そのもどる力で飛んだ。 こういう模型飛行機は、
学校の図画工作の時間でも作ったことがある。

私は机の前に長時間座っているのは苦手だったが、この模型飛行機だけ
は特別で、友達と一緒に何度も作った。 それは飛行機の材料が入った、
細長い袋に青空を飛ぶ飛行機の絵が描いてあって、とてもカッコよかった
からだ。

自分で作った飛行機が、空を飛ぶのを想像しながら作るのは楽しい。
ところが組み立て方を書いた図面を見ながら作るのだが、飛ばして
みるとバランスよく作るのは難しく、よく頭から地面に落ちた。


子どもがまだ幼稚園ぐらいのとき、蒲田の路地裏で小さな模型屋を
見つけ、懐かしくて入ってみた。 入ると模型飛行機をまだ売って
いて、子どもに飛ぶところを見せてやりたいと思い買った。




それから数日後、出来上がった飛行機を持ち、意気揚々と子どもを
連れて多摩川の広い河川敷に行った。  
大空を悠々と飛ぶ飛行機を思い描きながら、土手の上で胴体を持ち、
はりきってプロペラを指で回しゴムを捩っていった。 さらに捩っていく・・・・。 

「バシャッ!」 突然、破裂みたいな音をたてて、模型飛行機は翼を
バラバラに吹き飛ばされ、プロペラの付いた、ただの棒になっちゃった。
巻き過ぎてゴムが切れたのだ。 まだ一度も飛ばしてないのに・・・・・ 
子どもとボー然と 、手の中の原型のないヒコーキを見ていた。


形之医学・しんそう療方 東京小石川
http://www.shinso-tokyo-koisikawa.com/


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