カリフォルニア徒然草 または武蔵国人覚書

ダンナの海外赴任のため、想定外のアメリカ暮らしを経験。
日常のふとした出来事を、心覚として綴っています。

カリフォルニアの住民投票

2008-10-31 18:11:18 | 生活・習慣
11月4日はアメリカ大統領選挙の投票日。残すところもう1週間を切りました。
候補者は各地で最後の遊説合戦を行っていて、
オバマ候補は独自に自身の宣伝用テレビ番組を作成し、主要テレビ局で放映しました。
こういうところも日本の選挙制度とは全く違ってます。

事前の世論調査では、接戦ながらオバマ候補が弱冠の優勢。
確かに二人の演説の様子を見ていると、マケイン候補より余裕が感じられる気がします。
最も、事前の世論調査の結果と実際の投票結果が同じになるとは限らないようで、
「大ドンデン返しがあるんじゃないか」という声も聞かれます。
ブラッドリー効果っていうの、知ってる? 興味のある方はこちら→Wiki

ともあれ、“アメリカ史上初の黒人大統領”が生まれるかどうか、
世界中が見守っていると言っても過言ではないでしょう。

ここ数日、テレビではさかんに「投票に行きましょう!」という広告が流れています。
こういうところは日本と一緒ですね。
今回は事前投票の出足は好調で、投票率アップも見込めるそうです。
変革期の傾向と言えるでしょうか。

アメリカでは大統領挙の日、同時に各地で州法案について住民投票が行われます。
州議会から提案されたいろいろな案件について、住民に直接是非を問うという制度。
内容は「代替エネルギーによる発電量を増やそう」というものもあれば、
「家畜(産卵鶏や食用子牛)が自由に体の向きを変えられないケージ内飼育を禁止」
という、思わず笑っちゃうような内容のものまで、実にさまざま。

投票日が近くなると、Yes/Noそれぞれの立場でのテレビのCM合戦もさかんです。
両者とも、どっちつかずの有権者の票を獲得しようと真剣そのもの。
ですが、CMの内容はかなり偏っていて、中にはかなり過激な内容のものもあります。
「Yes on ○」「No on △」という映像や立て看板が、街中の至る所にあふれ、
有権者でない我々まで、残像となって目に焼きつく感じがする。

今日は街角で横断幕を持ってキャンペーンしてるのを見ました。
通り過ぎる車がクラクションを鳴らして応援(それとも拒否?)の意思を示すのに、人々が手を振って応える。

今、カリフォルニアで盛り上がっているのがProposition 8
Proposition 8は『カリフォルニア州での結婚は男女間のみとする』という内容で、
今春に州の最高裁で可決された「同性婚を禁止してはならない」という判決を
くつがえそうというものです。
(上記の街角キャンペーンもそれについての「Yes on 8」キャンペーンでした。)

カリフォルニア州で同姓婚が可能になり、他州から多くの人が詰め掛けているという話は
日本のテレビでもよく報道されてますよね。
Proposition 8にYesという人は同性婚に反対する保守的なグループ、
Noという人は同性婚の制度を守ろうとするグループと言えるでしょう。

先日、ブラッド・ピットがこの法案に対してNoの意思を示し、
反対キャンペーンに多額の寄付をしたと報道されていました。
他にも有名人や有名企業が法案反対の立場を公表しています。
その一方で、テレビや街角ではしきりに「Yes on 8」の文字が躍っています。
他の法案もそうですが、どちらの陣営も主張が過激で、心理合戦の色合いが濃い。
法案の内容や事実関係を知らないと、宣伝の上手い方に投票してしまうでしょうね。

そんなことを話していたら、ダンナが面白いものを見つけてきました。
カリフォルニア州総選挙 公式投票者ガイドサイトです。→こちら

ご覧いただくと分かるように、それぞれの法案の公式なタイトルと内容が載っています。
有権者の投票結果がそのまま法案の可否に繋がるとあってか、
この制度に対しては行政側の取り組みも真剣ということでしょうか。

面白いのは、それぞれの法案について、その概要だけでなく、法案の背景や財政的影響、
“賛成票/反対票が意味すること”や“賛成/反対の各陣営の論拠とそれへの反論”
といった内容が、詳細に記載されています。

さらに驚いたことに、これらの内容が英語以外の言語に翻訳されたページもあるんです。
日本語のページはこちら→Japanese
150ページ近くにも及ぶ内容で、翻訳内容もしっかりしていて分かりやすい。
レストランの日本語メニューなどで、可笑しな日本語をよく見かけますが、
それとは翻訳レベルが明らかに違っています。

他にもスペイン、中国、韓国、フィリピン、ベトナムの各バージョンがありました。
さすがは移民大国カリフォルニア。
移民の中には英語が苦手というか“話せても読み書きは苦手”って人が結構多いので
そういう人達が、法案の内容をよく理解しないままに投票すると、
政治が間違った方向に誘導される恐れがあるからなんでしょう。

日本でも衆議院議員選挙の時、同時に最高裁判所裁判官の国民審査がありますが、
正直言って、名前を見てもそれがどんな人で何をやったのかも知らないから、
どう対応してよいものやら、いつも悩みました。
(実際、これによって罷免された裁判官は、未だ存在しないといいます

それに比べたら、この制度は実にしっかりしているなと感心しました。
なんだか、投票しに行きたくなっちゃった


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