カリフォルニア徒然草 または武蔵国人覚書

ダンナの海外赴任のため、想定外のアメリカ暮らしを経験。
日常のふとした出来事を、心覚として綴っています。

国立公園の元祖を訪ねて~(10)グランドティトンの動物たち

2008-08-14 22:08:21 | 旅行:イエローストーン
午後2時半を回りました。
どこかで昼食をとりがてら休憩したい気分。
ジェニーレイクの岸辺にはビジターセンターの隣にちょっとしたストアがありますが、
あまり品揃えは良くない。
Signal Mountain Lodgeの所ならカフェがあるんじゃない?って事になりました。

ティトン・パークロードを北に戻ります。
途中の展望ポイントMoutain Turnoutは、景色が好いので立ち寄ってみました。
南側のティトンの山並みを
ぐるりと一望できるポイント。

※動画もあります。
こちらをどうぞ

Signal Mountain Lodgeは、ジャクソンレイクの南東の岸辺にあるビレッジです。
背後にはシグナルマウンテンSignal Mountainという天然の展望台があります。
標高2314mの山頂までは車で登れて絶景を楽しめるというから、これは是非行かなくちゃ!

しかし山頂へ至る山道の入り口は閉鎖されていました。
看板には「道路工事のため、8月は週末(金・土・日)のみ開放」?!
またですか。。。 イエローストーン・キャニオン、ノースリムの悪夢ふたたび。
道路工事は行楽シーズンが終わってからにして欲しい
やるせない失望感と空腹を抱えて、シグナルマウンテン・ビレッジに向かいました。

ここはロッジの他、ギフトショップ、ガソリンスタンド、ジェネラルストアもあって、
なかなか賑やかなビレッジでしたが、ロッジにはレストラン1軒のみで、
ジェネラルストアにはカフェは無く、品揃えも今ひとつでランチになるものが無い。

ますます気分が凹みましたが、やむを得ない。
当座をしのぐためポテトチップと水を買い、ついでにガソリンも入れて、
別の場所に向かおうとメインロードに出ると、そこは異様な空気に包まれていた!!

これまでの経験で、こういう人の動きには鼻が利くようになった我々。
カメラを手に、騒ぎの中心に向かって駆け出す。
ビレッジ裏手の木立の中に分け入って、手近な人に「何が居るの?」と尋ねると
「熊よ!あそこにグリズリーが居るの!!」と森の奥を指差す。

示された指の先、木々の間を透かしてみると、茶色い影が動いた。

距離はざっと30mくらい?

人の気配を感じるのか、
こちらには近づいて来ない。
熊が移動すると、人の群れもそれに合わせて動いていくのが笑えます。
(そういう自分も、一緒になって後を追ってるんですけど)

家族や友人を呼ぼうと大きな声を出す人が居ると、レンジャーが制止します。
やはり刺激すると危険なのでしょう。ビレッジも近いですしね。
盛り上がった肩。

先日見たブラックベアより
ひとまわり大きい。
結局この熊、30分近くウロウロしていたので、遠かったけどたっぷり楽しめました。

凹んだ気持ちが熊のおかげで浮上して、すっかり元気になった二人。
ポテチで空腹を押さえ、南のビレッジに向かうことにしました。
峻険な尾根が鮮烈な印象

ティトン・パークロードを南下していると、川沿いの道でまたもや怪しい渋滞。
対向車の人に何を見てるのか聞くと、ムースが居ると言う。
慌てて車を下りて、川向こうの茂みの奥に目を凝らすと・・・ん?何か動いた?
居ました、

ムースMooseです!
(ヘラジカ)
優しげな目つき。

メスのようです。

暑いのでしょう、
木陰から動こうともしない。

ムースはグランドティトンのシンボルアニマルです。
朝早起きしてオクスボーベンドに行ったり湖畔のトレイルを歩いたりしたのは、
ひとえにムースを見たいが為。
やっと望みが叶いました

満足感とともにドーナンズDonansにやってきました。
さっそくストア奥のデリでサンドイッチをオーダー。
専用シートにパンの種類や具材を書いてオーダーする
カスタムメイド方式。

出来立てで美味しい~

ここは、先に書いた国立公園区域内の私有地のひとつ。実際、公園ゲートも一旦出ます。
国立公園局は園内私有地の買い上げに努めているそうですが、強制力はないので、
所有者の中には移転や売却の意志の無い人も少なくない。
ここドーナンズのオーナーもそんな一人なんだって。
ドーナンズは
公園の南端にあって、
グランドティトンの連峰を
一望できます。

確かに、
こんな風景が自分のものなら、
手放したくないでしょうねぇ


午後5時、日射しがだいぶ夕方っぽくなってきましたが、それでもまだ陽は高い。
アンテロープフラット・ロードAntelope Flats Roadをドライブしてみましょう。
ジャクソンホール・ハイウェイから東に入る道で、一段高い丘の上なので見晴らしが良い。
モルモン教徒の入植地跡に、
今も建物が残っています。

ツバメの巣がいっぱいあって
始終頭上を飛び交っていた。

バッファローが2頭、
ゆっくりと歩いていくのが
この空気に合ってる。
バッファローの巨体が
豆粒に見えるほど
雄大な景色

映画『シェーン』のラストシーン(名ゼリフ「シェーン!カムバーック!!」ってやつ)
主人公の行く手にそびえていたのがグランドティトンなんだそうですね。
映画は観てないけど、そのシーンだけは見たことがあって、たしかこんな感じだった。

ハイウェイに戻って北上。右手には牧場や平原、そして左手にはティトンの山並み。
ここでは何処に居ても山が視界に飛び込んできます。

スネークリバーの流れが道路に近づいた辺りでまたもやムースに出逢いました。
水辺を好むと聞いていた通り、浅瀬で水草を食べています。
今度は全体が見えました。

エルクやミュールとは違った
独特の顔つき体つき。

鹿というよりロバみたい?


今日の宿はコルターベイにあるColter Bay Cabinsです。
夕食は、朝と同じジェネラルストアで惣菜類を買い込んで簡単に済ませる事にしました。
不規則にちょこちょこ食べてたので、レストランでガツンという気分じゃなかった。
ストア前の一つしかないベンチを占領して、行き交う人を見ながら夕涼み気分。
食事を済ませてからチェックイン、自分達のキャビンに向かいました。
バス付きの2Queen Beds
(ただしバスタブ無し)

テレビ、冷蔵庫、金庫は無し。
ボディソープあり、
シャンプー、リンスあり
丸太組みのキャビン。

2部屋で一棟になってます。

キャビンのあるエリアからは湖まで徒歩で行けます。
朝見たのと同じ場所ですが、
夕方はまた趣が違います。
ちょうど尾根の向こうに
陽が沈みました。


早起きと暑さのせいか、あるいはそろそろ旅の疲れが出てきたのか、
お風呂に入ってさっぱりしたら、急激に眠くなってきました。
山間のロッジでは、夜は特にすることもないですしね。
午後9時半、外はまだ薄明るいってのに、二人ともバタン・キューで意識を失いました。


早寝のおかげで12時過ぎに目が覚めた。
ふと思い立ってロッジの外に出てみると、頭上には満点の星が瞬いていました!
こんなに見事な星空は、何年も前にハワイのマウイ島で見て以来です。
勿体無いのでダンナにも声をかけます。ダンナも起き出してきた。
キャビンの前で二人、しばし無言で夜空に見入ってしまいました。

国立公園の元祖を訪ねて~(9)湖の向こう側

2008-08-14 18:11:11 | 旅行:イエローストーン
気を取り直して再出発。

コルターベイからJacksonhole HWYを南下し、
ダムの手前の分岐でティトン・パークロードTeton Park Roadに入ります。

“自然の姿をそのままに残す”国立公園の中にダムがあるなんて、ちょっと意外。
実はこれ、グランドティトンが国立公園に指定される以前に建造されたものです。
グランドティトンは、国立公園に指定された時点ですでに開発されてしまっていて、
今でも公園区域内に私有地が幾つも残っているんだそうです。
確かにハイウェイを走っているとき、民間の観光牧場や個人の邸宅が見えましたっけ。
何はともあれ、このダムはアイダホ州の農家の貴重な農業用水を賄っているのです。

ティトン・パークロードは、ジャクソンレイクに沿って走っていて、
ハイウェイより一層ティトン山脈が間近に見えます。

こんなに日当たりがいいのに、なんで雪が溶けないんでしょうねぇ

ジャクソンレイクの南側には小さな湖が幾つかあります。
そのうちの一つジェニーレイクJenny Lakeは、対岸へ渡ることが出来ます。
ちょっとしたトレイルもあるというので行ってみようと思います。
船着場の待ち行列。
日陰が無いのでツライ。

往復料金を払うと、
手の甲にスタンプを押される。

帰りにこれをチェックするって。
消えないように気を付けねば・・・
これがシャトルボート。
20人も乗ったら満員?
というような小さいもの。

対岸の船着場は建物も無く、桟橋のみの簡単なもの。
船を下りたら、すぐトレイルが始まります。
木立に囲まれ、山を眺めながら登ります。
岩陰にシマリスが居ました。
人間を見るとすぐ逃げる。
道の脇にはこんな荒々しい景色も。

このトレイル、意外に足元が悪いです。
ミュールで歩いてたお姉さん、大丈夫だったかなぁ。。。

ヒドゥン滝Hidden Falls

滝壺に一気に落ちるというより、
山肌を流れ落ちてる感じですが、
流水量たっぷりで勢いがあり、
なかなかに見応えのある滝です。

ここから終点のインスピレーションポイントまでの登りは一層きつくなります。
炎天下での登りはキビシイ~
見晴らしのいい所に出ました。

終点まではもうひと登りしなきゃいけないんですが、体力温存のため、ここまでにしておきます。

この場所は開けていて、木陰や腰を下ろせる岩場なんかがあるので、
寝っころがって休憩する人や、持参した食事を広げる人の姿も。
食べ物の匂いに惹かれて、
リス達が集まってきました。

しきりと人の方に寄って来ます。
お得意の
「なんかくれる?」ポーズ

一息入れたら、戻りましょう。
流れがかなり激しい。
傾斜のきついトレイルです。

船着場前はボートを待つ人の長い行列が出来ていた。4艘目でやっと乗れました。
いま登ったトレイルは、
あの辺りかな?
Teewinot Mtn.

先住民の言葉で
「たくさんの鋭鋒」という意味。
山に見送られて
湖を後にします。