カリフォルニア徒然草 または武蔵国人覚書

ダンナの海外赴任のため、想定外のアメリカ暮らしを経験。
日常のふとした出来事を、心覚として綴っています。

世界遺産に落書き

2008-07-03 19:02:26 | 雑記帳
イタリア・フィレンツェにある世界遺産サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂、
いわゆるドゥオーモに日本人旅行者が落書きをしたというのがニュースになってました。
某大学の学生が…っていうのに端を発して、某高校野球の監督が、とか某お笑い芸人も、と
芋づる式に出てきてますな。
んでもって当事者達は謝罪はもちろん、停学、解任など厳しい対応がとられているようです。
「“日本の恥”を晒し、世間を騒がせたことに対しての制裁」ってところでしょうか。
報道された以上何も処分しないと今度はその事を非難されるのを恐れてなのかもしれないけど。
確かに“世界中の観光客で一番マナーが良い”と言われている日本人がこんなことしちゃイカンね

ドゥオーモに行ったことがある人は知ってると思いますが、正直いって落書き、もの凄いです。
ここ以外でも、イタリアに限らず、世界遺産に限らず、観光名所って実は落書き天国ですよね。
落書きしてる現場を見たことはありませんが、マジック書きは勿論のこと、
木や石を彫り込んじゃってるのまであったりして、驚くやら呆れるやら。。。
旅行の興奮状態と「みんなやってる」という共犯意識が背中を押すんでしょうかね。

しかし、今回発覚した人たちって学校名やフルネームや芸名など個人を特定できる内容を、
しかも漢字や平仮名という、日本人には容易に目に付きやすい形で残していた。
これって要は、罪悪感がメチャメチャ希薄だったってことじゃない?
落書きってのは自己顕示欲の表れだと言いますから、誰かに見て欲しかったんだろうけど、
落書きは「器物損壊」ですよ!犯罪なんだよ!! 分かってなかったんだねぇ。。。
日本人は社会道徳的な事は生真面目に守ると言われてたけど、最近はそうでもないみたい

私自身は学生時代に考古学を専攻してた手前、史跡や遺物を傷つけてはならないと思ってます。
犯罪に当たるかどうかが問題なんじゃない。
修復できるかどうかが問題なんじゃない。
歴史的意味や価値は、やはりオリジナルであるかどうかで大きく違ってきますから。

ただ、一方で「古代の落書き」ってのがあるのも知ってるんですよね。
例えば火山噴火で一夜にして滅びたポンペイでは、街の壁の落書きから当時の風俗が伺える。
またエジプトでは、遺跡の石に古代の旅行者の落書きが残っていて、
3000年以上も前から、既に旅行者が訪れていたということが分かるんです。
ある意味、“落書き”が歴史的事実を語る証拠の一つになってるの。
書いた当人はそんなこと思ってもみなかったでしょうに、不思議なものですね。
各地に残る落書きを見ると「こいつらもいつかそんな存在になるのかなぁ」なんて思いもする。

古代といわれる時代から連綿と続く“落書き文化”。
こうしてみると落書きってのは人間の持って生まれた性分なのでしょうか。

でも、そうは言ってもやっぱり
世界遺産だろうが隣の家の壁だろうが落書きはいけませんよ!
旅の記念はもっと違う形で残しましょうね