人間様は 大変だ

昨日の風が嘘のよう，空は青く小春日和の朝です。
庭に出て，コーヒーを飲んでいるんです。

『カアー，カアー』


いつものカラスが，お隣のアンテナに止まって何か言っています。
「え～と，何だと？」
『カアー，カァー，カッ，カアー』
『おーい，爺さん，暇にしているから遊んでやるぞぅ』
と言う事らしいんですが・・・

「今日はダメ，外でお前と遊ぶ暇はないからなー」

折角の誘いですが，今日は室内の仕事が有ります。
カラスに断りを入れて，家に入ります。

“毎年の事だからなぁ”

いつもは２人，それが正月には大人７人，子供２人計９人に増えます。
リビングを，少しでも広く使える様に模様替えします。

「あっ，イタ！！　重たい，一旦降ろして」
「ダメ！！　足が引っかかってる，やっぱりソファを動かすのが，先！！」
「やっぱり，前の方が良い，元に戻そう」
『それなら，これをあっちに，あっちにこれを，こう向けて』

一旦動かし，また元に戻してまた動かし，ドタバタはいつもの事です

“ふー，まぁこれで良いか，これで良し”
昼食も忘れて，「仕事に励み」やっと一応完了しましたが・・・

“雰囲気は少し変わったが，３年前と同じかなぁ”
スペースは限られています，家具も変わり映えしません。
毎年の模様替えも，結局は，何年か前と同じになるようです。

「おーい，終わったぞー，今からなら遊べるぞー」
山で騒いでいるカラスに呼びかけましたが・・・
思いがけず，今日は，まっとうな答えが返ってきます。

『カア，カア，カア，カ，ご苦労さん』
『盆だ　正月だ　広いの　狭いの　リビング・キッチン・ダイニング』
『人間様は　大変だ』

『わしらは　その点救われる
　　　山中　ぜぇーんぶ　居間に寝室，台所や食堂だ』