噂通りここは難所でした。でも実際に登りだすまでは所詮27kmトレイルだと思ってナメてました・・・・
リタイヤ者に複数遭遇したんですが、不思議とまったくぶれる気持ちはなく、前進あるのみ!と思ってました。

さて、AS8 西富士中学からは難所の天子ヶ岳。正直、ここは高低差はあるけど、ナメてました。27kmというのは長いけど、エイド間隔が広いくらいで、あとは新城くらいの上り下りだろうと・・・。んで、事前の予想タイムは7時間40分。キロ17分。ところが実際は12時間00分。倍近くかかってしまいました。このタイムは登山地図のコースタイムとほぼ同じ。ということで、上りは巻き道での上りじゃなくて、直登道に近い傾斜が急な道。下りはズルズルの泥道。笹の根もあるので、滑らない方がおかしい道。ハセツネでも経験あるけど、そのコンディションが長いなあ。
ということで、まずはひたすらストックで登っていく。熊森山のAM1:00をクリアできるようになんとかプッシュする。どうやら毛無山の1945mを登らせるとエスケープが取りにくいらしいので、その前にふるい落とすようだ。これは運営安全上理解できます。というか、モンブランの時はもう少し厳しく削ぎ落としていくような関門設定だったと思う。それに比べれば、まだ優しいな。
でもチェック外だったので、ピーク間の距離を把握していない。ピーク間の距離がわかれば、ペースとかでスピードがわかるんだけど、ひたすら前に行くだけでした。
【携帯って便利?】


夜中に登っている途中、なぜか携帯が鳴り出す。「ん?」しょうがないのでザックを下ろして携帯を見る。息子である。会話するが、世間話というか、国内航空券の取り方などでキンチョー感無し。息子にはレースのことは言ってないので、仕方ない。
まさかオヤジがこんな妙なレースで夜中に標高1700mくらいをウロウロしてるとは思うまい。つながるって便利?不便?
この時点で5分ほど稜線でしゃべる余裕があったということ。微笑ましいです。
ピークごとに係員がいてくれるのは助かる。安心するけど、そろそろ眠気もあって、いろいろ幻覚というか錯覚が見える。
光の加減で大きい小屋が見えたり(実は林の影と光でそう錯覚しただけ)止まると寒いし、眠くなるので、ひたすら歩く。だんだん腹も減ってくるけど、あんぱんを2つしかもらってないので、節約する。(これも見誤ったなあ)それほどノソノソしているつもりもないが、時間は結構経過する。ようやく、違う雰囲気の簡易エイドに到着。ペットボトルの水が積んである。どうやらここが予備関門の熊森山か。23:56なので、1時間前でクリア。500ccのボトルをもらうが、今のところ水は足りているので、そのままザックに入れる。5年前のハセツネで水切れを経験してから、ハイドラの節約給水はクセになっていた。気分転換でチューチュー飲むと後でえらい目に会う。
そこからの下りもドロドロ。ゆっくり降りていくと前から光。あれ?こんな夜に前から来る人は、ルート管理者かな?と思ったら、女性。「しまった、俺、コース間違えて逆走してしまった?」というと、「いえ、私、水が無くなったんで、エイドまで逆に行ってリタイヤするんです」とのこと。ちょっと心配になって、というか、せっかくここまで来てと思って「500ccの水、いっぱいあったから頼んだら貰えないかな」と言ったんだけど、
「いえ、もうここまでかなり逆走したし、心が折れました」ということでした。きっと水以外にも何か足とか疲れでそういう心理になったのだろう。そこまで言わせてごめんなさい。気持ちはわかるなあ。
次の毛無山が最高地点。この付近でまた男性選手と係員が地図でなにか会話している。ちょうどAM1時30くらい。「どうする?」と選手に言われた。どうするってなんだろう? 「先の関門が厳しいのでここでリタイヤしようと思う」 え?まだAM8:00までかなりあるけど。係員曰く「無理でしょうね!(言い切った)普通でも5-6時間かかるので、この道の状態では、スピード上げられないでしょう。夜が明けてもそこからでは・・・(間に合わないの意)」
俺「いえ、行けるところまで行きますよ。そこで時間切れになればそれまでです」といって、二人の会話を後にさっさと先に。不思議と腹は立たなかったし、「何を言ってんだろう?理解できないな」という感じだった。当然間に合うと思っていた。もちろん、間に合ったけど、まだまだ迷う時間ではないのにと思っていた。
今から思うと、男性選手はいろいろな状況や道や気持ちから、リタイヤをしたいので、その理由を係員にコメント求めたような気がする。そうやって聞くと、係員の情報はそちら(安全)に傾くように無難なコメントをする。その情報を取捨選択するのは自分の心の持ちようなのだなと思った。

モンブランで関門に引っかかった経験からなのだろうけど、最後まで諦めないという気持ちの前傾姿勢だった気がします。
それにしても、今回のコース、富士山ばかり気を取られてたけど、こんなにしっかりした山脈があるとは。ナメててごめん。1900クラスのピークが5、6個あるよね。しかも長いし。すごいなあ。天子山脈。
この辺もそうだけど、レスキューシートでごろごろ寝てる人がいた。ハセツネっぽい光景だけど、UTMBだとレギュレーションで失格だよなあ。仮眠所以外で寝るとレース中止と見なされるので。
ようやく眺望が良くなってAM4時くらい。雨ヶ岳。富士山も少し見える。前になにかそびえてる。あれ?これが竜ヶ岳か?そうすると、一旦下って、またあの山を登るのか???まさかなあ。
というかもちろん手前の峠で降りるコースもあるけど、UTMFのコースはこの竜ヶ岳を超えるコース設定 Iphoneで見ても現在地はバッチリ竜ヶ岳の手前。
しょうがない、多分、地元の福岡の山の「からす落ち」から「福智山山頂」はこのくらいの高低差じゃないかなと思い直して行くことにする。下りで遅い女性がいたんだけど、上りではかなり速い。この人についていく事にする。おかげでいいペースで竜ヶ岳が越えられた。ありがとう。

竜ヶ岳を超えたら、あとは本当に下り。おそらく時間的にAM8時前に着ける。そうすれば完走が見える。下りは滑りそうだけど、もう走ってしまった。かなり抜いたなあ・・・。本栖湖スポーツセンターも入口からエイドまでが1kmくらいながーい。見えてるけど長い。それでももう時間内到達が確実だったので嬉しくて走ってしまった。
