読まずに勝てる(?)将棋必勝法 詰将棋やらずに初段になれるって本当ですか?

2021年09月16日 | 詰将棋・実戦詰将棋

 前回(→こちら)の続き。

 ダラダラ棋譜並べネット将棋だけで二段になれた私。

 よくそんないい加減なことで、特に詰将棋を解かず、よく勝てるなとあきれる向きもあるかもしれないが、今回はまさにその「詰将棋」の話をしたい。

 私は詰将棋が苦手であり、これまで、ほとんどマジメに取り組んだことがない。

 その理由をズバリ答えるならば、

 

 「頭を使うのが、めんどくさい」

 

 そもそも将棋ファンに、不向きなんじゃないかという話だが、実のところ解けと言われれば、まあそこそこには、できたりする。

 ネット中継の休憩時間や、連盟ホームページにある「今日の詰将棋」みたいな問題なら、むずかしくないから、それこそサクッと解けるもの。

 棋力のおとろえた今試してみても、7手から11手詰くらいの問題なら、ウンウンうなって、がんばってやれば、一応大丈夫なようだ。

 これは別に「解けるぜ」という自慢とかではなく、オーソドックスな詰将棋というのは指し将棋(詰将棋ファンはいわゆる「将棋」のことをこう呼びます)の技量が上がれば、自然に解けるようになるものだから。

 つまり、ふつうは、

 

 「詰将棋を解く」→「上達する」

 

 というイメージだが、逆もまた真なりで、

 

 「上達する」→「詰将棋が解けるようになる」

 

 というパターンもあるわけだ。

 私は明らかにこっち

 なので、

 

 「詰将棋、やりたくない」

 「やっても解けないから、つまんない」

 

 という級位者の方がいれば、無理に取り組まなくてもいいと思うわけなのだ。

 実際、私はそれで初段以上になれたし、こないだも言ったように先崎学九段も、




 「詰将棋や詰碁をやらなくても、アマ三段くらいにはなれる」




 と本で書いている。希望にあふれている言葉だ。

 では、われわれのような詰将棋をやらない


 「終盤力がこんにゃく」


 というアマが、詰む詰まないの部分を、どう戦えばいいのか。

 ひとつは、テレビやネット中継の解説を参照する。

 将棋中継を見ていると、難解な局面ではたくさんの変化が出てきて、


 


 プロ「まあ、これは、だいたい詰みですよね」

 聞き手「だいたい、ですか(笑)」

 プロ「【約詰み】です。いや、それじゃダメですよね。じゃあ、いっちょ詰ましてみますか。あーやって、こーやって」

 聞き手「あれ? 意外と、むずかしいですね」

 プロ「【だいたい】で済ますと、これがあるんですよ(苦笑)。あ、待ってください! 詰みました。いやー最後が金じゃなく、先に桂でピッタリかあ」



 

 みたいな流れがよくある思うんですけど、この詰み筋をしっかりと見ておく。

 これなら、プロが考えてくれるし、目で追うだけでも結構勉強になります。

 あと、「投了図以下の解説」も学べます。

 実は将棋の詰みの場面というのは、その多くが「並べ詰み」。
 
 一時期、増田康宏六段

 

 「詰将棋は意味ない」

 

 と発言して話題を読んだが、もちろんまっすー本人が言うように、詰将棋自体が無駄というわけではない。

 疑問なのは、難解な詰将棋の持つ

 

 「絶対に実戦には出てこないマニアックな変化」

 

 これが不要と言っているだけで、むしろ実戦で出てくる「手筋」の類の詰み筋はマスターすべしと。
 
 具体的には、美濃囲いなら

 

 「▲71角、△92玉、▲93香、△同桂、▲82金

 

 矢倉なら、

 

 ▲23歩成、△同金、▲同飛成、△同玉、▲41角

 

 なんていう、実戦の頻出問題とか。

 

 

 

 教科書通りな「美濃くずし」からの詰み筋。

 ▲71角に△92玉は▲93香、△同桂、▲82金。

 また持駒が金だけだと、▲82金と打って、△93玉に▲72金と銀を取りながら王手して、△92玉には▲82角成。

 △84玉には▲75銀(▲85銀)で詰むが、舟囲いのように先手の歩が▲87にいると、▲75銀には△85玉と抜けて詰まない。

 などなど、こういう定番の形をたくさんおぼえておくと、終盤でとっても役に立ちまくりです。

 

 

 こういう

 

 「当たり前すぎて、詰将棋だと今さら出てこない形」

 

 こそが即戦力になるわけで、

 「投了図以下の解説」

 はそれこそ初心者にとって、の山と言っていい。

 こういうのをたくさん身につけると、逆算的に詰将棋も解けるようになります。これはマジで。

 詰将棋の役割は、

 

 「手を読む根気をやしなう」

 「脳内にある将棋盤を可視化する」

 

 というところにあるから、逆にある程度、将棋がわかってきてから、手を付けるというのはアリ。 

 あと、これは有段者になってから私もやったが、解くのがめんどいなら「鑑賞」という手もある。

 これはなかなか、ピンとこないかもしれないけど、詰将棋には「芸術」という面もあるのです。

 自分は湯川博士さんと門脇芳雄さんの

 

 『秘伝 将棋無双 詰将棋の聖典「詰むや詰まざるや」に挑戦!』

 

 という本に大感動して、詰将棋の美しさに開眼したのだが、それを解くのでなく、ただ「鑑賞」する。

 これが存外、役に立ったような気がする。

 解くのが無理でも、問題を見て、解けなかったらすぐ解答ページを開き、その手順を頭の中でなんとなく再現してみる。

 これなら終盤力ヘボヘボでも、なんとかなるし、なんといっても美しい詰将棋を味わうというのは、至福の時間でもあるのだ。

 浦野真彦八段の『詰将棋ハンドブック』なんか、あれはまあ、解きやすく作ってくれてるけど、「鑑賞」するにもステキな作品ばかりで超オススメ。

 数学でも問題を解くには、ただ考えるだけでなく、様々な問題と解答をに触れて、パターンをたくさん身にしみこませるのがいいから、詰将棋もそうのはず。

 実際、詰将棋の上達メソッドとして、

 

 


「詰将棋の本は問題を見て解けなかったら、答えを見てもいい」



 

 とは、よく言うもの。

 もちろん解ければベストだけど、むずかしければ、すぐに答えを見て、ちゃちゃっとの問題にいく。

 で、最後の問題が終わったら(答えを見たら)、最初のページに戻って、またくり返し。

 それをサクサクやっていれば、4回目には、ほとんど解けるようになる。

 私はこれと同じやり方を、大学受験のときやって、旺文社の『英単語ターゲット1900』を3ヶ月ちょっとでクリアできたりしたから、きっと効果あり。

 要するに、詰将棋を使った「棋譜並べ」をやればいいのですね(棋譜並べのやり方については→こちら

 最後に、やっぱり一番大事なのは、ミもフタもないけど、

 

 「そもそも一手違いの終盤戦にしない」

 

 スプリント勝負にならないように手厚く勝つ。

 あるいは、詰ますんじゃなく、相手に寄せ損なわせる

 あとまあ、実戦では


 見切り発車で、王手してたら詰んだ(詰まされた)」


 なんてケースも多いので、もういっそ「くじ引き」みたいなものと割り切る。

 まあ、これでも案外勝てるしなあ。

 だって、おんなじくらいの棋力でこっちが詰ませられないんだったら、まあだいたい向こうも出来てません。

 テキトーだけど、実戦ではこれくらい図太い気持ちで戦うのも大事。

 なんだか、マジメな将棋の先生に怒られそうなことばかり書いてるけど、こんなもんでも初段になれるんですから、なかなか希望のあるハナシではありませんか。

 

 (江戸時代の詰将棋「将棋無双」編に続く→こちら

 

 

 


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