漢字を学び心を育む

2回目のチャレンジで漢検1級に合格。
現在、ペン習字に傾倒。
硬筆書写検定1級が欲しいです

女房言葉のような気がします。

2011-09-18 16:56:46 | ◇1級:読み(訓読み)
 
 毎日 お いしましょう。






シュン
さら(う)、ふか(い)



【解字】形声。氵(水)+。音符の(シュン)は、出たに通じ、出すの意味。水中から、たまったどろなどをくみ出す、さらうの意味を表す。

  1. さら-う。
  2. くむ。くみだす。
  3. 井戸・川などの底の土砂などを取り去る。底を深くする。「浚渫」
  4. 他人の物を奪い取る。かっさらう。
  5. 深い。
  6. 待つ。
  7. 大きい。



 おさらい

 1.習ったことを繰り返し練習すること。復習。
 2.習得した技芸を発表すること。温習。



 最近、親や先生が子供の勉強やお稽古事について、この言葉は遣わなくなってきたように思います。
幼少期の学習については、繰り返しの復習が重要であることは今も昔も変わりはありません。
現代は、「復習」が大多数であり、「おさらい」は近い将来死語になってしまうのかもしれません。
でも、伝統芸術である日本舞踊ではまだ「おさらい会」という行事が存在しているみたいですね。


しかしまさか ”ドブ浚い” の字と同じとは意外に感じませんでしたか。



浚渫船はご存知でしょうか。

浚渫(シュンセツ)・・・水底の土砂や岩石をさらうこと。

実際見ているけど、名前を知らない方が多いのでしょうね。(←わたし)




浚渫の渫も「さらう」という意味を持ちますが、「お渫い」とは遣わないようです。


セツ、チョウ、
さら(う)、けが(す)、も(らす)、あなど(る)



【解字】形声。氵(水)+枼。音符の枼(セツ)は、刪(サン)に通じ、けずるの意味。水底のけずる、さらうの意味を表す。また、泄(セツ)に通じ、もらすの意味にも用いる。


  1. さら-う。水底の泥などを除き去る。「浚渫」
  2. 漏れる。泄。洩。
  3. 散る。
  4. 汚す。
  5. あなどる。なれなれしくする。
  6. やむ。やめる。休止する。
  7. きよい。




なるほど、「おさらい」を「お渫い」と遣わない理由がわかりました。

 浚は、”さらえる”

 渫は、”けずる”

という意味合いが強いようです。



しかし、四字熟語の


せいせつふしょく



【意 味】賢者が登用されないままでいること。

     「渫」は水底の泥やごみを除く意で、「井渫」は井戸の水がきれいに澄んでること、
     「不食」は飲用として用いられない意。
     せっかくきれいな井戸水があっても、汲んで用いられないということから。

【補 説】「井(セイ)渫(サラ)えども食(クラ)われず」とも読む。

【出 典】「易経」<井>


こちらは、「渫」の方を用いています。




ところで、浚の字義に

<他人の物を奪い取る。かっさらう。>

というのがあります。


 ■攫う、掠う(浚うと同語源)

 ■復習う、温習う(浚うと同語源)


これも意外ですね、人攫いの攫うと同じ語源だったとは。




あっ、女房言葉については、こちらを参照ください。

女房言葉 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%B3%E6%88%BF%E8%A8%80%E8%91%89


「練り」と言っても羊羹ではありません。

2011-08-24 20:20:22 | ◇1級:読み(訓読み)
 
 白い霧の に包まれた。










とばり、かたびら



【解字】形声。巾+隹。音符の隹スイは、圍(囲)に通じ、めぐらすの意味。めぐらせた布と、とばりの意味を表す。

  1. とばり。たれぬの。たれぎぬ。カーテン。
  2. ひきまく。まんまく。
  3. 車の覆い。また、柩の覆い。
  4. おおう。かくす。



 



 ”とばり” というと「帳」の方が知れ渡っているようです。


では、「帷トバリ」と「帳トバリ」の違いはなんでしょう。


字義からいえば、


「帷トバリ」 ⇒ 囲い巡らす。周囲に巡らす垂れ幕。(帷幄)

「帳トバリ」 ⇒ 長く張る。長い垂れ幕。(緞帳)


なので ”夜のとばり” は、「帳」だと思います。

ちなみに「帷幄」は作戦計画を立てるところ。本陣。本営。
「帷=垂れ幕」「幄=引き幕」





ところで、わたしが興味を持ったのは、こちらのほう。



かた‐びら 【帷子】

《袷(あわせ)の片枚(かたひら)の意》
1 裏をつけない衣服の総称。ひとえもの。
2 生絹や麻布で仕立てた、夏に着るひとえの着物。
3 経帷子(きょうかたびら)。
4 几帳や帳などに用いて垂らす絹。夏は生絹(すずし)、冬は練り絹を用いた。




帷子が片枚(かたひら)なんて、素敵だと思いませんか。
こんな当て字・訓読みなら大好きです。


帷子に用いる生絹(すずし)も1級配当でしょうか。
初めて耳にする言葉です。

夏に着る、薄くて軽い衣服なので、<涼しい> が語源なような気がします。


スズシもネリも男の人はあまり馴染みがないでしょう。



 生絹:生糸(灰汁で煮ない=練らない)で織った布。

 練絹:灰汁で煮てニカワ質をとり、軟らかくした布。




なんだか、以前書いた記事を彷彿させてくれます。

 羅、紗、絽、絅ベール、繻サテン・・・


織り方の違いなんてわかりません。
http://blog.goo.ne.jp/sh_tech/e/e42ed7657af0bf6c426e18355ada1071




中庸は徳の至れり

2011-08-16 21:40:32 | ◇1級:読み(訓読み)

 
 錦を衣て絅を う。









ケイ
うすぎぬ



【解字】形声。糸+冋。

  1. ひとえのもの。うすぎぬ。着物の上にかける布。ベールの類。



 




錦(にしき)を衣(き)て絅(けい)を尚(くわ)う。

と読みます。


出典はあの「中庸は徳の至れり」で有名な論語からの一節。





いきんしょうけい



【意 味】才能や徳を外にあらわに出さないこと。

【補 説】「錦を着るときは、上から薄衣を掛けて華やかさを表に出さない方が良い。
     己の美徳を表に出さないのが君子の嗜みであるということ。
     「絅」は薄いうちかけ。「尚」は加える、添え着すること。

【出 典】「中庸-三十三章」「詩曰、衣錦尚絅。悪其文之著也」






1級では、漢文の出典を文語文で読むことが求められます。
如何せんこれがなんとも厄介というか難しい。

衣錦尚絅(いきんしょうけい)なら、何とか読める。
でも、意味を識るには「出典」を理解しないと心に刻めない。



  衣錦尚絅 ⇒ 才能や徳を外にあらわに出さないこと。


では、キセルのようなもので、大事なものが中抜けしている。



  衣錦尚絅 ⇒ 錦を衣て絅を尚う ⇒ 才能や徳を外にあらわに出さないこと。


という具合に憶えないと頭に入らない。



でも、「絅を尚う」って耳慣れない言葉ですね。
「薄いうちかけを添え着する」、ここでは「ベールで覆い隠す」という意味であってると思います。



『己の美徳を表に出さないのが君子の嗜みであるということ』



中国の故事には論語然り菜根譚然り、自らを律し諫め戒める自己抑制が必要であることを説いているものが多いようです。
「自分を褒めない、相手を馬鹿にしない」
のは、きっと万国共通の宗教的な考えだと思います。

でも、理解しているのに実行できないのが悲しいかな凡人の凡人たる所以なのでしょうか。








ついつい切れ味を・・

2011-07-22 20:14:49 | ◇1級:読み(訓読み)

 
 かの竜泉に剣を ぐとかや。
奥の細道/松尾芭蕉








サイ
にら(ぐ)、つと(める)、はげ(む)



【解字】形声。氵(水)+卒。音符の卒は、つきるの意味。刃物に焼きを入れるとき、冷やす水が一気に蒸発してつきるさまから、にらぐの意味を表す。

  1. にら-ぐ。焼きを入れる。刀などを鍛えるとき、質を硬くするため、赤く熱して急に水を入れること。「淬礪(サイレイ)」
  2. つとめる。はげむ。「淬励(サイレイ)」
  3. 洗う。浴びる。
  4. そめる(染)。
  5. さむい(寒)。









 にら-ぐ



一般人が生涯けっして使うことのないであろう言葉。

「淬」を使った熟語では、淬励(礪)サイレイ があります。
意味は、”心を奮い起こして物事に励むこと。つとめはげむ。淬勉。”

説文には、
「火を滅する器なり」とあり、刀刃をにらぐ時に水を入れておく器の意とするが、にらぐことを淬または焠という。
その時の音の擬声語である。」



日本語で言ういうところの「淬ぐ」の意味は、


淬(焠)ぎ 
1.刀を鍛えるときに鋼を焼いて水にくぐらすこと。「類聚名義抄」
2.どもること。「三蔵法師伝」

 【日本難訓難語大辞典】


2のどもるはよくよくわかりませんが、
「焼きを入れる」という意味のようです。
現在では、本来の意味よりも比喩として”制裁をくわえる”という意味での方が多く使われていますが。



この「にら-ぐ」の語源を知りたくて、ネットとか図書館でいろいろ調べてみた。

現代において「淬ぐ人」は刀鍛冶だけです。
私たちは、正月の行事(祭事)として毎年TVに映し出される「日本刀打ち初め式」でしかお目に掛かることはありません。
そう、えぼし(鳥帽子)に直垂(ひたたれ)姿の刀匠が鉄鋼にハンマーを打ち下ろし火花を散らすお馴染みの図になります。




でも、そんな”甘っちょろい”行事しか知らなかったわたしは、この動画を見て度肝を抜かれました。


日本刀ができるまで
http://www.youtube.com/watch?v=vAsCkSA159s&feature=related


「鍛錬」とは鉄を練り鍛えること。

鋼を叩いて平たく折り返して鍛錬する。(何十回も繰り返す)
炭素量を均一し不純物を取り除き鋼の中の空気を抜く。(酸化を防ぐ)
日本刀の武器のとしての強靭さ美術品としての美しさを生み出すこと。





では、なぜ「にら-ぐ」なのか。

 水にくぐらす ⇒ にらぐ

への転訛なのかなと自分勝手に想像する。






星降る夜に

2011-06-06 21:43:28 | ◇1級:読み(訓読み)
 
 戦場を い風が吹き渡る。







ショウ、セイ
なまぐさ(い)、みにく(い)、けが(らわしい)





【解字】形声。月(肉)+星。音符の星は、ほしの意味。肉の中に星のようにまじる白い脂肪のある、しもふり肉の意味を表す。

  1. なまぐさ-い。
  2. 豚のしもふり肉。
  3. 生肉。
  4. あぶら。鶏肉のあぶら。
  5. きたない。けがらわしい。








「生臭い」では迫力がないし、なんとも魚が腐ったような感じが拭えない。

「腥い」は、血生臭さ(生き血)が漂いやはり迫力が違う。



でも、肉の中の星降るような脂身で「霜降り肉」なんてすごく ”お上手” だと思いませんか。




あくまで主観ですが、


 ①魚をつかんだ手が生臭い

 ②生臭坊主

 ③派閥をめぐる腥い



このような使い分けかなと感じます。


ちなみに、 ”「なまぐさい」を漢字で書きなさい” という問題は見たこともないし出題されないと思う。


なぜなら、「腥い/生臭い」のどちらでも正解となるのだから。




部長、今度の案件は ”もやい” でいきましょう。

2011-05-30 18:21:05 | ◇1級:読み(訓読み)
 
 漁船を岸に う。






ホウ
ふね。もやいぶね。もや(う)



【解字】形声。舟+方。音符の方ホウは、並ぶの意味。並べてつないだ舟の意味を表す。

  1. ふね。また、いかだ。
  2. もやい(もやひ)。もやいぶね。二つ並べてたがいにつなぎ合わせた舟。「舫舟」「舫船」
  3. のぞく。とりさる。




舫う

 ・船と船とを繋ぎ合わせる。
 ・船を岸の杭などに繋ぎ止める。


英語では、

  fasten(繋ぐ)
  work together,share(共有)



漁師やヨットマンの間ではまだまだ生きている言葉のようです。
船・ヨットを波止場(ハーバー)に繫ぎ止めること。


語源は、「もやい=寄り合う」から来ている。


船をつなぐのは【舫】、
労力の共同や利益のことは【催合・最合】と記す。
催合は結(ゆい)、手伝などの共同慣行中最も共同性が強く、
労働の共同のみならず生産手段の共有をも含む。

もやい⇒共同で仕事をする。

モヤイ船・・・・・共同出資して船を造り共同出漁する。
モヤイ網・・・・・地引網を経営し漁獲物を分配する。 
モヤイ狩・・・・・共同で狩りに出て獲物を平等分配する。 
モヤイ風呂・・・何軒かの家で風呂桶を共同する。 
モヤイ田・・・・・共同で田を所有、耕作する。 
モヤイ山・・・・・共有林。 




わたしの実家は農家です。
小さい頃、他の家の農作業を手伝って労賃を得ることを大人が「出面デメン」と言っているのをしょっちゅう耳にしていた。
ここには詳しく記しませんが、ググるとどうやら土木用語のようです。
わたしも高校生の頃アルバイトで他農家の農作業や土方をして「出面賃」を稼いでいました。


「もやい」から何となく「でめん」を連想してしまいました。
共同、助け合うということが似ているようなので。





ウール100%

2011-05-19 19:45:41 | ◇1級:読み(訓読み)
さっぽろ羊ヶ丘展望台

 
  を追う。







テイ
おひつじ



【解字】形声。羊+氐。音符の氐テイは、つのつきあうの意味。角つきあう羊、雄羊の意味を表す。

  1. おひつじ(をひつじ)。雄の羊。牡羊(ボヨウ)。また、三歳の羊。






おそらくですが、、

 訓読みでは、 羝  = おひつじ
 音読みでは、 羝羊 = テイヨウ

しかないと思います。


 おひつじ ⇒ 雄羊、牡羊(ボヨウ)


のことで羊さんを丁寧に言ったのではありません。
ちなみに星座のおひつじ座は「牡羊座」と書きます。



「羝」の出典は、


【易経】
 小人用壮、君子用罔。貞。羝羊触藩羸其角。

 小人は壮を用い、君子は用いること罔し、貞くすればし、羝羊の藩に触れ、其の角を羸しましむるがごとし。

 小人ほど勢いに乗じて妄進しようとする。君子は無をもってする。
 羝羊が角ふりたててひた走る果は、藩に引っかかって動きが取れないというようなことになる。



どうやらオスの羊の方がメスよりも ”やんちゃ” のようですね。
メスは、雌羊(めひつじ)または、牝羊(ヒンヨウ)ですが、オスみたく一文字で表す漢字はないようです。

写真のさっぽろ羊ヶ丘展望台は、札幌ドームの近くにありクラーク博士の銅像がある観光スポットです。
窓から放牧されている羊を見ながらジンギスカンを食することができるという北海道でも稀有なレストランです。


 「ママぁ、ひつじさんモコモコしててカワイイ! それにお肉もとってもおいしいネ!」


 「そ、そ、そうね、可愛いわねえ(汗)。。あなたが今食べてるジンギスカンは、、(あ゛ 」






---

羝(オヒツジ)のように、一文字で熟語を表す漢字が他にもあります。



 犢 (こうし)



そうです、舐犢之愛でご存知でしょう。(子供を溺愛すること)
牛を売るという字義になりますが、 ”こうし” なら「子牛」「仔牛」と書けばいいと思います。
でも、漢文・漢字を勉強しているのだから「犢」の字の訓読みも必要ですね。





人としての生き方

2011-04-10 18:09:33 | ◇1級:読み(訓読み)
 
讒夫毀士、如寸雲蔽日、不久自明。
媚子阿人、似隙風侵肌、不覚其損。


 
菜根譚 前集193項より



讒夫毀士は、寸雲の日を蔽うがごとく、久しからずしておのずから明らかなり。
媚子阿人は、隙風の肌を侵すに似て、その損を覚えず。

中傷したり悪口を言う連中は、ちぎれ雲が太陽を一時おおい隠すようなもので、やがては真実がひとりでに明らかになるものである。
だが、こびへつらう手合いは、すきま風が膚を冷えさせ風邪をひくようなもので、いつとはなしにわが身を損なわせるものである。
讒夫毀士(ザンプキシ)は放置してよい。
媚子阿人(ビシアジン)は麻薬のように己の体を蝕む。

「論語に学ぶ会・早川塾」様より参考にさせていただきました。
http://www.niigata-ogawaya.co.jp/rongo3/s-192.htm





どうやら媚子阿人の方が質が悪いようです。
讒夫毀士は一人称で、媚子阿人は隠れて自分を表に出しませんからね。


漢字を勉強するようになってから気付いたことがあります。
それは、「そしる」とか「へつらう」とか「おもねる」、「こびる」という言葉がやけに多く出てくること。
中国の人はそんな ”邪な” 気持ちを忌み嫌っていたからなのでしょうか。
それにしても同じ読みと同じ意味でたくさんの種類の漢字がありますが、TPOによって使い分けはあるのだろうか。

結構ダブって出てる漢字もありますね。
甲骨文・象形文字から成り立った漢字です。
あまり良い意味ではない漢字には、何となく厭な感じが漂っていると思いませんか。笑



そしる
 非る
 誹る
 毀る
 謗る
 讒る
 誚る
 誣る
 貶る
 譏る



へつらう
 諂う
 佞う
 諛う
 讒う



おもねる
 阿る
 佞る
 諂る



こびる
 媚る
 諂る




世の中には、誹謗中傷する者や自分より上の者にへつらい、日和見する輩はたくさんいます。
それは社会の縮図であるネットの世界では、匿名性がある分より顕著なのかもしれません。
特に強者に対し「媚びへつらう」ことは大人の社会ではもちろんのこと、
子供の間でもそのような自己防衛的な気持ちは自然と生まれてくるものです。
明治生まれの祖父はその辺りをしっかりと諫め戒め叱ってくれました。
いえ、世間一般・近所が協力して子供を育ててくれていたと思います。

今、団塊の世代の子供が親になっている年代です。
もう少し恐いオヤジがいても私はいいと思います。



猫背のように・・・

2011-02-07 20:11:00 | ◇1級:読み(訓読み)
 
 天に り 地に




【意味】ひどく恐れるようす。高い天でも背をかがめ、厚い大地の上でも抜き足さし足で歩くこと。






キョク
かがむ、せぐくま(る)



【解字】形声。貝+局。音符の局は、背を曲げるの意味。足や背をまげる、かがむの意味を表す。

  1. かがむ。せぐくまる。からだを曲げて背をまるくちぢめる。
  2. 片足を挙げる。




シャク、セキ
ぬきあし、さしあし



【解字】形声。足+脊。音符の脊は、椎骨が積み重なっている背ぼねの意味。椎骨のように足を一つ一つ積み重ねるの意味から、ぬきあしの意味を表す。

  1. ぬきあし。さしあし。
  2. 音を立てないように歩く歩き方⇒「跼蹐」キョクセキ



てんにせぐくまり、ちにぬきあしす


跼の解字がなぜ、貝+局なのか不思議です。

また、

蹐の訓読みが「ぬきあし」「さしあし」というのもどこかで聞いたことありますね。笑


出典は四字熟語にもある

 『跼天蹐地』キョクテンセキチ

   [詩経、小雅、正月]


また、こんな諺もありますね。

 『騏驥の跼躅は駑馬の安歩に如かず』(ききのきょくちょくはどばのあんぽにしかず)

【意味】すぐれた人も怠けていれば、平凡な人が努力するのに及ばないというたとえ。
    ※跼躅:行き悩む様子。



もともとは例外なく漢文(漢詩)からきている言葉。

跼だって、蹐だって 音読するのはさほど難しいものではない。
旁の音符の局と脊(←来年度から常用漢字です)を読めばいいのだから。

でも、跼を「せぐくまり」、蹐を「ぬきあし」と訓読させた倭人を尊敬してしまいます。

「ぬきあし」は普段からよく耳にする言葉ですね。
でも、「せぐくまる」なんて聞いたことがありません。

おそらく、

 背を丸くする + かがまる(屈まる) = 背かがまる ⇒ せぐくまる

の合成語の転訛だと思います。



ググってみたら、


 『せぐくまる 蒲団の中や 夜もすがら』

 by夏目漱石


と遣っている方がいらっしゃたんですね。
さすがです。笑



素敵な言葉です。

2011-01-11 22:30:35 | ◇1級:読み(訓読み)
 
 朝に耕し、暮れに る。






ウン
くさぎ(る)、のぞ(く)



【解字】形声。耒+云。音符の云ウンは、めぐり動かすの意味。すきで土を動かし草を除くの意味を表す。

  1. くさぎる。田畑の雑草を除きさる。
  2. つちかう。根元の土をかける。
  3. のぞく。とりさる。




くさぎる。

耒部(らいぶ)

会意。丯+木。木の柄の先に除草具をとりつけた、すきの意味を表す。


常用漢字の「耕」、「耗」、「籍」の三字の偏については、少し簡略化している。


 常用漢字 「耕」 「耗」 「籍」

 表外漢字 「耒」 「耘」 「耙」 「耜」 「耡」 「耨」



耒部は6画です。

耕は、三+縦棒+横払い+井 =10画になります。

耘も、三+縦棒+横払い+云 =10画になります。


「土と木」で区切るのではなく、一気に横三本を書いてから縦棒です。

(実はわたし、耕の偏を「土と木」で書いていました!)


しかし、最初の一画が左から右へ行くのか、右から左へ払うのかが大きな違いになります。

この辺が一番のネックでしょうね。



でも、「くさぎる」なんて素敵だと思いませんか。




「ちょっと俺、耘るに行ってくっからさあー。」