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Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

「家系ラーメン」とは何か -柏王道家の清水さんが台頭した意味を探る-

先日、同僚のA先生から、突然こう尋ねられました。

「家系ラーメンって何ですか?」

「!?!?!😨」

当然ながら、A先生も「家系ラーメン」を知ってはいると思いますが、この問いの意味は、「今、色んな所で(例えば柏王道家の清水さんなどから)家系ラーメンが話題になっているじゃないですか。あれはいったい何なんですか?」という意味だと、僕は解釈しました。

そこで、今回は、今年大ブレイクした柏王道家の清水さんの発言を念頭に置きながら、「家系ラーメンとは何か」という問題に迫ってみたいと思います。(上の画像は、かつての柏王道家(2008年頃)のラーメンの画像です☝ はるか昔、僕は柏王道家によく行っていました💛)

僕自身、「おいしい家系ラーメン」は心から大好きです。千葉で言えば、杉田家、千葉家、武蔵家、末広家、柏王道家等のラーメンは本当大好きです。今日も「杉田家」で食べてきました✨

ただ、(今回の記事の核心にもなりますが)「おいしくないニセモノの家系ラーメン」は嫌いです。どことは書きませんが、「○○家」と付くお店の多くが当てはまると思ってよいと思います。上に挙げた5軒は、本当に美味しい家系ラーメンだと思います。このレベルに達しないお店が本当に多いのが現実なんです。

さて、本題にいきたいとおもいます。


①家系ラーメンのルーツ

言わずもがな、家系ラーメンのルーツは「ラーメンショップ」にあります。みなさんも一度は見たことや食べたことがあるのではないでしょうか?

このラーメンショップのラーメンこそ、家系ラーメンの総本山「吉村家」の創業者吉村さんの原点です。

全国各地に存在するあの「ラーメンショップ」です。

このラーメンが「家系ラーメンのルーツ」であります。このラーメンショップのラーメンもまた、家系ラーメン同様、「豚骨醤油ラーメン」でして、今なお、残っているラーメンショップはいっぱいあります。

ラーメンショップを語らずして、家系ラーメンは語れません。というのも、このラーメンショップのラーメンに惚れ込んだのが、「吉村家」創業者の吉村実さんだったからです。


そもそも家系の祖である「吉村家」の吉村実氏は、ラーメンショップ1号店の前身である「椿食堂」に勤めていたと言われている。つまり、家系と、そのルーツとなるラーメンショップの味が、全国的に見れば大衆食としてのラーメンの屋台骨になっていると言っても過言ではなかろう。

引用元はこちら


この証言が正しければ、吉村さんはラーメンショップ1号店の関係者(?!)ということになります。

この証言の他、色んなところで、吉村さんのラーメンの原点が「ラーメンショップ」だという記述があります。例えば、「家系ラーメンの創業者である吉村実(吉村家)は、平和島のラーメンショップ(現在は閉店)で働き、半年でノウハウを身につけた」、という話もあります(引用元はこちら)。

なので、「家系ラーメン」は、70年代~80年代に「ラーメンショップのラーメンを吉村さんの手で劇的に改良したもの」と捉えてよいかと思います。ラーメンショップがなければ、家系はなかったでしょうし、また、吉村さんがいなければ、やはり家系はなかったでしょう。

ラーメンショップのラーメンと家系ラーメンを食べ比べてみるのも面白いと思います。味は全然違いますが、なんとなく「共通点」や「つながり」が見えてくると思います☝

②家系総本山「吉村家」

吉村さんは、コンビニ「セブンイレブン1号店」が誕生した1974年に横浜の新杉田でラーメン店を創業しました。なので、今年で創業47年くらいになりますかね?! 47年というと、かなりかなり古いお店だと思います。

こちらが、(少し古い画像ですが…)横浜駅付近にある家系総本山「吉村家」の「家系ラーメン」です。このラーメンこそ、「ホンモノの家系ラーメン」ということになります。

家系ラーメンについては、既に多くの人が語っています。

僕のラーメンの師でもある石神秀幸さんは1998年に、初となる「石神本(『ラーメン王石神秀幸厳選!150店』)」の中で「吉村家」を紹介しています。

「濃厚な豚骨醤油味のスープに極太麺、具には海苔とほうれん草。横浜を中心に増殖を続け、今や全国に広がっている"家"系ラーメンだが、その本家本元がここ「吉村家」だ。少ない日でも1800人、多い日には3000人もの客を集める。社長の吉村氏はビルを建て、パチンコ店や本やを経営、年商60億の実業家だ。/…今でも朝3時から厨房に立ち、常連客の顔を思い浮かべながらスープを作るそうだ。材料の量もハンパじゃなく、1日豚骨1トン、鶏ガラ500羽、さらにモミジやキャベツ、昆布も加える。頻繁にガラを入れ替え、極力味を一定に保っているそうだ。その味わいは濃厚にしてまろやか、一度口にすると途中で箸を止められない。チャーシューはジューシーな焼豚だ」(『ラーメン王石神秀幸厳選!150店』、双葉社、1998:111)

また、元祖ラーメン評論家の故武内伸さんは次のように吉村家のことを書いていました。

「ラーメン発祥の地と言われている横浜。横浜には中華街から脈々と流れる澄んだスープに細いストレート麺のご当地ラーメンが存在する。しかし、現在は横浜ラーメンといえば、トンコツ醤油に極太麺、大きなノリが3枚というビジュアルの「家系」と呼ばれるラーメンが主流になった。その元祖が家系総本家の「吉村家」である。今や「家系」のラーメンは北海道から九州まで全国に広がった恐ろしい勢いのラーメンだ。人気の秘密は、トンコツ醤油に鶏油を加えるスープのインパクトにもあるが、水分の多い厚手に切り出した麺の食感にあるのではないかと思う。強い麺と強いスープに強い社長。無敵の組み合わせだ」(『佐野実&武内伸 ラーメン見聞録』、日本文芸社、2005:76)

この二人の解説文の中で、注目したいのが、石神さんの「今や全国に広がっている"家"系ラーメンだが、その本家本元がここ「吉村家」だ」と、武内さんの「今や「家系」のラーメンは北海道から九州まで全国に広がった恐ろしい勢いのラーメンだ」という言葉です。

ラーメンショップの味を劇的に変え、全く新しい「濃厚な豚骨醤油ラーメン」を生み出した吉村さんですが、この吉村さんのラーメンに触発された人があまりにも多くいたんです。実際に吉村家で修業した正統派のお弟子さんから、全く吉村家のラーメンとは関係なく名前だけパクろうとしたイカサマ人間まで、いろんな人が出てきたんですね。吉村家のラーメンと何もかも重ならないのに、「売れるから」という理由だけで、名前に「○○家」と付けて、吉村家の人気にあやかろうとする人はもう数えきれないくらいにいるのではないでしょうか。

だから、吉村さんは、自らのお店を「家系総本山吉村家」と称し、自身のことも「統将吉村実」としたのだと思われます。

③「柏王道家」の清水さんのYouTubeでの爆発的飛躍

ようやく、この記事の本質に迫るところにやってきました。ここからが本題です。

この2021年1月に、もともと吉村家直系のお店だった「柏王道家」がYouTubeで自身のチャンネルを開設したんです。

僕もこの時期に、この動画を見たのですが、(今は削除されているものも含めて)とんでもなくインパクトのある動画が次々とupされていったのです。今やネットにおいて欠かせないYouTubeという媒体で、多くのラーメンファンを虜にするような面白い動画を今なお次々に制作しているんです。

今は削除されているようですが、この頃にupした動画の中で、清水さんは、吉村家の直系から外されたことについて赤裸々に語っていました。(これが、多くの人の興味・関心を引き起こしました)

その動画で取り上げていたのが、「はまれぽ.com」というサイトに掲載された吉村さんへのインタビュー記事でした。これは、今もネット上で読むことができるので、読んでみてほしいです。

はまれぽ.comの吉村さんへのインタビュー記事はこちら

この中で、直系を外れたお店について語るところがあるのですが、その中にこのような吉村さんの発言が出ていました。


「千葉県K市の店は金儲けに走った。金儲けに入ると人は変わる。10年間、K市で1位だったけど最近は名前も出ない。あそこもね、移転するまで僕が行ってたんだけどね。金は追っちゃダメ、追われねぇと。僕は金儲けやらない、教えてもロイヤリティは一切とらない。お金は今日3000円くらいの夜飯が食えればいい。そんなもんでいい」


この一文に出てくる「K市の店」は、首都圏のラーメン好きならすぐに分かるんです。そう、柏市の柏王道家だって。こんな発言を誰でも見られるネットで出しちゃっていいのか?!って僕もこれを読んだ当時思いましたが、清水さんも同じような思いをもっていたんだ、と思います。

一連の彼のYouTube動画を見て、吉村さん側の言い分だけでなく、清水さん側の言い分も聞けてよかったです。「破門された」と思っていましたが、どうやらそんな単純な話ではなさそうです。

僕は、吉村家も柏王道家も、同じく「おいしい家系ラーメン」を出すお店だと思っています。柏王道家には久しく行っていませんが、柏王道家が創業した頃(それこそ僕がブログを始める前)、柏に行く機会がよくあって、結構行きました。柏に行くと、「王道家に行ける💓」って思ってましたからね。

2008年の僕の記事で、柏王道家のラーメンについて次のように書いていました。


やはり、やはり素晴らしい一杯だった。「これが本当の家系ラーメンじゃ!」、って叫んでいるようだった。強烈なパンチのスープ。鶏油の鮮烈なインパクトはまだまだ色褪せちゃいない。すごいラーメンだ。 色んなラーメンがしのぎを削っているが、やはり家系ラーメンは旨い。端的にうまい。うまいもんはうまい。本場吉村家の直系とあって、味としてはホンモノそのもの。でも、本家吉村家よりも美味しいんじゃないかな~と思ってしまう僕がいる。この柏王道家は、いつまでもあり続けてほしいラーメン屋さんだ。柏の財産と言ってもいいだろう。

引用元はこちら


今の王道家については、よく分かりません。柏に行く機会がほとんどないので、今の王道家がどうなっているのかについては語れません(😢)。でも、「吉村家よりも美味しいんじゃないかな~」って言っちゃっていますね(苦笑)

そんな「柏王道家」ですが、今や、清水さんは「ラーメン業界」のカリスマ店主になろうとしています。いや、もう既に、ラーメン業界の「台風の目」と言ってよいほど、大きな存在になっています。僕的には、彼の発言や態度や雰囲気が、かつての吉村さんに重なってしょうがないです。評論家批判も吉村さんとそっくり!

清水さんは、(これまでのYouTubeの動画を全部見て綜合すると)「ホンモノの家系ラーメンを広めたい」「ニセモノの家系ラーメンをなくしたい」「家系ブランドを守りたい」「もっとラーメン業界を盛り上げたい」といった願いをもって、YouTubeの動画制作に取り組んでいるように思います。

その背景には、どんな人にでも自身の味を教えて、弟子たちの間で分裂や対立が起こり、またニセモノが跋扈して、ブランドを守り切れなかった「東池袋大勝軒」の存在がある、とも語っていました。「大勝軒」もまた、「吉村家」と同じくらい、全国に広がった一ブランドで、多くのお弟子さんを輩出しましたが、山岸さんが他界された後、色んなゴタゴタがあり、またニセモノの大勝軒(やそれに便乗したお店)が増え、今や、ほとんどその名を聴かなくなりました。清水さんは、この大勝軒の失敗もしっかり踏まえた上で、YouTubeを始めたのだ、と僕は捉えています。

④家系ラーメンの未来-「おいしい家系ラーメン」を大事にしよう!

冒頭でも書きましたが、僕は「おいしい家系ラーメン」が大好きです。直系であっても直系でなくても、おいしい家系ラーメンなら、どこのお店であっても、大好きです。

だからこそ、ちゃんとした「家系ラーメンの味」を出しているお店にまず行ってもらいたいと思います。というのも、「ニセモノの家系ラーメン店」があまりにも多すぎるからです。

では、いったい何が違うのか。これについては、清水さんもはっきりと断言していないように思います(言おうと思えば言えると思いますが…)。何が違うかを知るためには、「本当においしい家系ラーメン」と「ニセモノのおいしくない家系を名乗ったニセモノのラーメン」を食べてみるのが一番だと思います。

(見極めるポイントは、ずばり「スープ」だと思います。麺は酒井製麺が代表的ですが、別に酒井製麺でなくても、スープと合っていれば問題ないかな、と。「ほうれん草」と「のり」は、ヴィジュアル的には「家系」を象徴しますが、「ホンモノ」「ニセモノ」の見極めにおいてはさほど重要ではありません)

清水さんの想いを(ポジティブに)解釈するならば、「まずは、本当にうまい家系ラーメンを食ってくれ。そうすれば、この先二度とニセモノの家系ラーメンに騙されることはないから」、だと思います。柏王道家は(昔と変わってなければ/昔以上に美味しくなっているとすれば)吉村家に負けない「おいしい家系ラーメン」を出していると思います。

でも、柏王道家だけではありません。本当においしい家系ラーメンを出すお店は何軒もあります。このブログでも、首都圏の家系ラーメン店をいっぱいレポしてきました。その中には、明らかに「ニセモノ」というお店もありました。かつては美味しかったけど、どんどん味がしょぼくなり、まずくなったお店もありました。最初から、「○○家と名乗るな!」って怒りたくなるお店もありました。

ことあるごとに、僕は、「千葉市内で食べるなら、直系の杉田家、千葉の老舗の千葉家と末広家をまず食べて!」と書いています。そして、「次いで、武蔵家千葉本店と裏武蔵家を食べて!」とも書いています。これらのお店のおいしい家系ラーメンを食べたなら、ニセモノの偽りの家系ラーメンを見抜くことはできるはずです。そして、二度とそのニセモノのお店に行くこともなくなることでしょう。(これこそが、家系ラーメンのブランドを守ることに直結すると思います)

清水さんと同じ想いかは分かりませんが、僕も「おいしく真面目な家系ラーメン」を出すお店を守りたい、と思っています。儲け主義でクソまずいラーメンを(○○家という名で)売っているお店を嫌悪します。

おいしい家系ラーメンは、本当に本当に本当においしいんです。僕としては、是非本当においしい家系ラーメンをみなさんにも味わってもらいたいなぁって願っています。

こんなことを書いていたら、またおいしい家系ラーメンが食べたくなってきた…💔

家から自転車で行けるみつわ台の「千葉家」のラーメンです💛

ここのラーメンもむっちゃ美味しいですから~~✨

横浜エリアで本当に美味しい「寿々喜家」のラーメンです!

自分の生活圏で一番行くのが、この「杉田家」かなぁ~。

人が集まらない時間帯にだけ、いつも行ってます🎵(それくらい、もういつでも混んでるお店なので…)

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